ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2014-01-01から1年間の記事一覧

全身を強く打って死んだ少年が、そんな甘い言葉の嘘を吐くなと僕を詰ってくる。僕は言葉の使い方を知らないままに、ただ都合の良い、恐ろしくならない、痛みの欠片もない、塗装されたヴィジョンの手助けをするニュースの、整えた知らせに支配されている。 み…

天気雨が冷やす川沿いを 顎から上が無い僕が歩く 雨水は歯茎のお椀に溜まって 溢れた涎は道を薄紅に染める 人々は其れにすら興味を持たない 僕は最早前を見ることも禁じられた 脳みそが無いから悲しくは無いが ただ時折吹き出す血液に飢えている 「ああ、こ…

貴方が居なくなったら 食器の音にも怯えないよ 貴方が居なくなったら 煙草の匂いも怒られない 貴方が居なくなったら 女の子だって連れ込める 貴方が居なくなったら 冴えない服でも気にしない 貴方が居なくなったら 誰も文句を言わないよ 貴方が居なくなった…

意固地な詩に始終し 人生は浪費を尽くす 僕を賭ける対価は 役立たずな自尊心 共感を得たいのは誰か 燻る若者たちの汗水 決して文学を気取る 識者の為ではなかった 僕は僕を自由にする 電脳世界の端っこで 僕は僕を享受する 半透明な著作性で 僕の背中を追わ…

醜女は抱かれて 遠い目をする 添い寝していた 父の手つきを その復讐だと 気づかぬままに パンより安価に 奴隷を演ずる 愛が凡てと 語らう人など 思考停止の 墓場で死ね 冷や水浴びた 膣で感ずは 神の不在を 気にせぬ星々 「娼婦の哲学」

神に犯されし 聖女は児に 罰を負わせて 祝福と呼ぶ 聖女が愛する 神など狂気だ 現代に於ける 共依存を想う 自我の強さに 惹かれる女は 不幸の程度で 同一性を得る 傷が痛めば 愛と呼ばれる 神のDVにも 自責を求めて 「マリア」

僕の哀しみは 老犬の形をして 膝の上で窺い 乾いた咳をする 僕の後を追うも 足取りは弱く 潤んだ瞳には 柔らな否定を映す か細く吠える夜は 僕も眠れなくて 汚れた毛並みに 卑屈の正体がある 衰弱する息遣いを 僕の弱音と併せ 真理を知る犬に 愛おしさを知る…

狂気に近い黄色に 悲しみに近い青色 怒りは赤色に似て 僕は僕の色を探す 透明を祈った朝は 僕の純潔を信じた 闇に溶けたい夜は 僕の残酷に頼った 光無き処に色は無く 闇無き処に愛は無い 深淵を口に含んでは 求むる故に閉じ込める 黄色に耳を刻んで 青色で過…

君を驚かせて 色付きを赤く 不細工な僕の 唯一の役割 分かれ道には 必ず潜んで 君が進む道の 傍でおどける 涙には大声を 傷にはダンスを 僕はパーだから 道化が喜ばれる いつかは君が 真の愛を知る時 僕は暗転して 幸せと呟くよ 「君の道化」

胎児と呼んだ 醜い腫瘍で 子宮が疼くと 少女は嘆いた 悪しき血濡れ 病気の類い 不埒な肉塊 魔の食べ残し 其処に愛は無く 結実は不感症 異物感の果てに 他人は育ちきる 産声をあげる 穢れた血肉に 少女は狂して 神さえ呪った 「濁った羊水」

自分への罰に 苦い珈琲を飲む 喫茶店は昔の エヴァンスを流す 僕の煙草は燃え 魂が白く昇る 指先で遊んだ トーストは冷める 孤独な二人席が 僕を否定してる 飲み干したならば この場面は終わる 香ばしい匂いに 誘われたのが過ち 豆を煎る音色に 期待したのが…

時間は空へと 繋がっている 青空の向こうの 僕は大人びて 諦めてないか 苦しんでないか 幾らかの歳と 建前を手にして 戻れない日々は 夜の星のように 一つも掴めずに 心を動かすだけ 此処で死んでも 僕の空は続く そんな終焉さえ 贅沢に祈るの 「病棟の空」

花の美しさは知らずに その言葉に掴まれる 凛と咲き誇るだけで 意味を成す命の価値 僕にも花言葉が欲しい 感傷の指に遊ばれて 露で花弁が濡れるように 鮮明な涙を流したい 誓いや告白や弔いに 僕の死骸を添えてくれ 気づく誰かの様を見て この魂は永遠となる…

君の血液は凍り 僕は指先で涙する 薄い色の唇には 紫苑の花を添える 青い顔の傷痕が 君の頑張りを示す 敷き詰めた綿に 安楽な旅を祈った 燃えるのは辛い 君が奪われるから 拾うのは悲しい 骨は灰の味がする 僕は約束を破るよ 罪人の赤を搾り切り ただ地獄を…

音の鳴る踏切を潜り 風の詩篇を浴びたら 今は視えない理想の国へ 僕も辿り着くはずだ 息切れで肩は揺れる 瞳には寒空の星々 空気は肌を突き破り 震える指にキスをする 群衆の金切り声など 僕にはもう必要なくて 警笛は最後の暴力か 或いは瞬間の暗号か 一秒…

僕が硝子なら 粉々になりたい 傷つける砂で 生足は血塗れで 貴方は燥いで 傷口に行き届く 僕の哀しみさえ 踏み締めるから 迷惑な自らを 生きてきたけれど こんなカタチで 救われるなんて 僕の嫌な部分を 赦せる人なんて 信じてなかった そのはずなのに アア…

山は悲しんでいる 川は苦しんでいる だけど僕は知らない 耳を傾ける事もない 都合の良い海が欲しい 静謐な海底に沈んで 退化した魂を宿し 眠るように忘れたい 聞こえの良い言葉で 武器を取る人々を憂う 湖畔に石を投げる事さえ 今では下品で乱暴となる 同じ…

僕の味付けは 少し薄味で 素材を生かすと 言うのも随分だ 貴方の目前で 捌かれる肉に 僕の祈りなどは 含まれていないよ 一口目の幸せに 貴方は喜ぶのかな 僕の臓腑も全て 捧げ終えたところ 貴方の好物に 僕の名を呼んでよ 懸念する脳まで 食べ尽くす晩餐で …

神は好んで 黒猫を模して 研いだ爪にて 断罪をする 暗い言葉を 後ろに隠せば その気まぐれに 畏れを授ける 真理の代わりに ニャアと鳴きしも 七日で世界を 飽きて投げ出す しかし真に 美しく在り 全ては許され 尊ばれるのだ 「黒猫の器」

貴方は治す 嘆ずるほどに 貴方は看取る 自責を抱いて 孤独な信義に 私は寄り添う ただ不器用な 命の賛美よ 悪路に咲きし 花々もあります 貴方のメスは 祈りに似ている 愛しさに泣き 私は生きるよ この身で貴方を 許し続けて 「アッチョンブリケ」

過ちみたいな 恋に落ちたら 荷物を纏めて 旅へと出よう 僕らをやめて 全て脱ぎ捨て 誰も知らない 透けた名前に 四季折々さえ 口実にして 恋しい涙で 海は満ちてく 新品の記憶に 蛮族の交尾を 僕らは生きてる 拒めぬほどに 「舐め合い」

頭蓋骨を砕いて 溢れる脳髄を 目一杯頬張れば 達成感は一入です 僕が食べ残した 肉片は囁きます 貴方を愛していると 幸せになりたいと 眠るように歩く足 絶頂の無き空腹感 僕が僕を僕とする 部品は洗練されます あちらが賑やかだ 僕も仲間に入れて 我が儘な…

僕は爆弾に恋をした タフで気丈な原爆に 彼女が爆発したならば 世界は必ず終わります 冷たい肌に触れるたび 切ない祈りを感じてる その形状を確かめて 僕は壊れそうになる 僕の全てをあげるから 放射線で犯されたい きっと淫らな高熱に 僕は僕さえ止めるから…

悪を成す為 道理を知るは 我が子を井戸に 突き落とすこと 手足がもげた 子供は喚く 僕が咽ばみ 書き写すまで 腐乱死体は 水を味付け 溶けた臓腑は 馳走と喜ぶ 僕の凡てよ 憎悪で狂え 僕は泣けまい 寵児を啜れば 「我が悪」

季節外れの言葉を 大切そうに呟く あまりに優しくて 季節は赤面する 春は思いやって 夏は謙遜をする 秋は抱き寄せて 冬はやり直せる 日々の福音の前に 年々は利口になる 激情や感動の類は 静かに心に積もる そして美麗な昼夜らよ 僕らは芸術に触れたのだ 無…

癒しの副産物の 背骨を複雑にし 丸めて紙に包んで ゴミ箱に捨てた 遊びの産声を 無理に引き抜き 鋏で切り取ったら トイレに流した 束縛の知る女の 面の皮を剥がし 骨身を切り刻んで 山中に埋めた 血塗れの僕を 彼らは許さない いつか亡霊の君に 精神を狂わせ…

君は嘘吐きだね 君は強情だね 君は泣き虫だね 君は複雑だね 一人で生きる君に 全てを話して欲しい 僕が必要とされる 言い訳の代わりに 君は寒がりだね 君は上品だね 君は意地悪だね 君は大人だね 一人が平気な君に 全てを許して欲しい 僕と最初に交わる 挨拶…

釣りをしてたら 子猫が釣れた まだまだ小さく 無邪気な子猫 それを釣り餌に 海へと投げた 溺れて暴れる 可愛い子猫 今助けたなら ヤらせてくれるか 呪いが解けた 聖女となって そのうち釣れた 大きな魚は リリースしたよ 「これが愛です」 「夢に観る愛」

貴方の咳が気がかりで もう気軽には笑えない 蝕む不安は予感を嘯き 僕の秘密らが咽び泣く 貴方の咳が気がかりで 安心しながら眠れない 明日の明日の明日まで 正確無比な季節を睨む 貴方の咳が気がかりで 言葉も切実に選ばれる 病める臆病で色に触れ 寂しい冗…

断頭台へ 駆けていく 夕暮れまでに 間に合うように 断頭台へ 駆けていく 懺悔の声が 震える前に 断頭台は 何処にある? 僕はいつしか そこで死にます 断頭台へ 駆けていく 首から上を 貴方に贈りに 「断頭台」