ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

君は笑顔で善いよ 抜け殻の僕を忘れ 懐かしさだけ愛し 新品な想いを着て 君は確かに居たよ ネオン街から逃げ 冷たい暗がりの中 野良猫を撫でたね 君は夢を観るかな 僕と君の逃避行が 正しかった悪夢を 赦されてた悪夢を 君は涙を拭きなよ 倖せが切なくても …

硝子が割れて 死を感じたら 煌めく欠片で 素足を刻んだ 生傷増やして 魂のダンスを 鮮血が撒かれ 汚くなるまで 君は気づいて 大泣きをする 痛みに憐れみ 背後から抱く 僕の返り血は 君の洋服へと 僕の正気さえ 君の追憶へと 「壊れる本性」

花を虐待しては その屍体で遊ぶ 幼くも魅惑的な 娘は美神だった 崇高な造りには 運命も惹かれて 高潔な好奇心で 野は刑場となる 肌は絹を滑らせ 瞳は全て見抜く 完璧な肉に宿る 躊躇われる色よ 無知さえ妖艶に 男性を跪かせて 彼女が笑うたび 世界は絶命した…

お巡りさん この人です 私の季節を 盗んだ人は 涼める時も 温もる時も 共に過すと 誓ったのに 今や歳月は 地獄と化し 灼熱の中で 凍え続けて お巡りさん 逢わせてよ 墓穴で睡る あの罪人と 「骨に手錠を」

外で雨が降る 止む事は無い 足音が響いて 僕の身は竦む 太陽が怒れど 雨は降り注ぐ 君の声を求め 静寂の中捜す 夏に損なえど 冬に奪われど 僕の雨宿りは 罪深くも続く 瞳を閉ざせば 雨は嘘になる 永訣に沈む時 君が微笑んだ 「個人的な雨」

冬に死にたい 最も厭な季節 雪の下へ隠れ 悪い春を怖る 冷たい素肌は 清らかな儘に 凍てつく唇を 君の為に潤す 心は痩せ細り 淋しく触れば 予想外な熱に 少し感動する 太陽が明滅し 白を奪う時は 共に融け落ち 君の傍へ行く 「冷凍の死期」

孤独な修羅が 故郷で死ねば 下劣な親族が その肉を暴く 呂律の回らぬ 遺書が語るは 生涯を捧げた 切実なる恋慕 筆圧が全てを 悟らせ黙らす 叶わぬ恋ほど 恋は無かれと 憐れみの声は 冒涜と等しい 彼こそ想えば 倖せに満ちて 「修羅の恋文」

墓石の喧騒に ただ黙り込み 恨み辛みだけ 耳を傾けてる そんな子供が 大人に成れば 浮世は甘美に 愚直に観える 未練を断てば 南無阿弥陀仏 明日が雨なら 南無阿弥陀仏 墓場で学んだ 獰猛なる生で 今宵も孕ませ 醜女が善がる 「卒塔婆」

花の屍鬼で 僕が飾るは 古びた栄光 褪せた肯定 歳を数えて 名残が育ち 貴方の腕の 児は骨の儘 形見を尊み 時が死せど 追憶に縋り 口で重ねる 老いた嘘に 心揺らぐか 老いぬ愛に 心癒えるか 「遺失物」

透明な金魚に 躰を喰われて 露わな心情で 人を傷つける 栄養が足りず 愛を吐き出す 沈めば沈む程 自分を疑える 級友の群れに 嘘を重ねてる 水槽は寒くて 窮屈な処だと 魂の尾びれで 泳ぎし鮮魚よ 思う儘に生き 思う儘に死ね 「水中学級」

君の背ほどに 育った誇りへ 吃れど語るは 楽しげな復讐 沈黙は刃物に 孤独は花束に 黄金の想いが 闇夜を照らす 思い通りなら 脳の声を捨て 隠した痛みを 街に放つのに 恋慕の教養が 気持ち悪いね 今日も夢想し 愛情を真似る 「狂曲映画」

君の面影残る 返事を探して 言葉足らずに 墓場を彷徨う 淋しい肉塊は 土が喰うから 穴を掘っては 多くを奪うぞ 冷たい雨だけ 切実に降れど 屍体の腐乱は 愛した名残か 死ぬに哀しい 君だけ暴けば 僕ごと砕いて 一杯の猛毒に 「死も分たれず」

麦茶は温くなり 汗を掻く畳の上 姉様の肉は甘く 絶頂に線香薫る 若き野獣が暴れ 困らせた白昼は 乱れる姿に狂い 熱い酸素を吐く 雨宿りのバス停 肌を這う成長期 消音の中で貪り 青い早熟が尖る 溢る涙を舐めて 僕は完璧に死ぬ 永遠の淋しさを 腕の中に感じて…

陽炎に眩んだ 山奥の駐車場 金切り声だけ 無謀に響いた 吐息に穢され 尊厳を貫けば 気丈な君さえ 人形と化する 鎮魂の花束が 死灰に至れど 僕の胸は地獄 闇で心を濯ぐ 風に靡く君は 草原が薫って 柔く微笑めば 頬辺も燃えて 「憎悪と混線」

死ぬる女しか 愛せぬ本能が 彼の片想いを 誠実に歪める 壊れる狭間を 切なげに眺め 弱る灯の影が 胸を塗り潰す 絶え絶えの息 虚ろな瞳の色 空を切る指先 死に至る淫靡 決して叶わぬ 冒涜の恋慕を 彼は絶望せず 真摯に想った 「死の恋人」

幸いは君のせい 美しい君のせい 僕は抵抗せずに 液晶に口づける 人格を疑わずに 僕は恋を果たす 役割に没頭した 六畳間の世界で ナイフの鏡面に 僕は議決を下す 信号に愛を視て 醜肉は刺し殺せ 叫び声が響いて 怒号に殴られて 僕は魂を高める 僕は次元を跨ぐ…

お題「アイスコーヒー」より。

貴方が愛した珈琲は 酷く冷たい黒でした 闇夜の氷河を想う程 酷く淋しい黒でした 私は薫りも味わえず 砂糖の分だけ幼いね 強い苦味に怯えては ミルク色の恋をする 優雅な貴方に憧れて 私も大人と啜るけど 本当は氷を睨むたび 気づけば散々涙する 翳る貴方が…

文脈の断片を 大切に集めて 一つの曲解に 依存し生きる 僕の痛む痕と 僕が解る愛で 世界を差別し 箱庭にて眠る 街の邪悪さに 僕は影を作る 真実は泥濘で 酷く息苦しい 目を背けたら 虚構が微笑し 敬虔な雨の中 僕は嘘を叫ぶ 「断片小説」

躊躇い傷から 流れる血液に 僕の傲慢さが 強く匂い立つ 青春の不在に 孤独な錠剤を 多めに服用し 僕は恥を防ぐ 校庭の蟻には 地獄を観せど 猫を殺す程の 凶気は無くて 咲かないから 刈り取った花 茎から流れる 甘い甘い花蜜 「その触れ方」

遅咲きの旋律に 僕の想いは燃え 少ない君の命を 哀しみから奪う 憂鬱と名付けた 霊魂の叫びには 讃美より苛烈な 醜い衝動が宿る 僕は鍵盤を叩き 或いは弦を弾き 一途に奏でるは 伝える為の渇望 技巧も才も無い 非力な楽曲さえ 君が隣で唄えば 恐れず響くのに…

彼岸の音色が 遠く聴こえる 睡りを堪えて 闘う我が子に 手を握り締め 不孝と諭した その残酷さを 知り得る癖に この児の中に 天使が降りる 凡ゆる言葉で 感謝を告げる 舌打ちの音に 血の気を失う 真っ黒な瞳は 僕を見透かす 「親なる泥酔」

君が降らせた 真夏の粉雪に 天へと昇るは 乱暴な蜃気楼 僅かに残った 君の欠片には 嘘と紛う程に 君は存在せず 僕は血を噛み 全てが憎くて 群れる雑踏の 喧騒に耳塞ぐ 君を想う限り 失う筈が無い 夏の射光の中 面影に告げる 「融けぬ雪」

街を遠回りし 五感を疑えば 神様に問おう 浮世は本物か 台詞に昂まり 泣き崩れたら 神様に問おう 僕を赦すのか 天国の汽笛に 歩調を早めて 神様に問おう 悪は何とする 慰霊碑の下で 屍体と早寝し 神様に問おう 僕を何故厭う 「空な慈悲」

血を流す獣には 親しき肉を与え 牙を剥いた時の 憤りに見惚れる 理解を得ない爪 切り裂くは保身 人が避ける眼光 睨むのは先入観 機械の森で吼え 月に敵意を抱く 娘の檻も破って 乱暴に喰い漁る 血を失った獣に 僕が顔を奪えば 呪う形相を纏い 躰中で絶叫する…

裸のままの君に 僕は祈る他ない 熱い吐息を眺め 美しさに涙する 無垢な声を上げ 甘えて笑う君に 淋しさが痛んで 追憶に胸が騒ぐ 君は僕の役割を 柔い舌で慰める 僕は君に縋って 夜明けまで踊る 残酷な朝が来て 君が全てを赦す 僕は愛に震えて 首の骨を砕いた…

詩篇を突き立て 僕は凶気を示す 言葉は欺瞞だが 胸が高鳴るだろ 地下の詩人達は 屍鬼の如く呆け 徒党に安堵して 切実さを嫌がる 僕は一節で殺し 一連で墓を掘る 心に宿る為なら 幾重の傷も創る 束縛の文学性や 犠牲の芸術性に 僕は美点を認め 散文は悪と成る…

夕暮れの楽園で 燃える街を観る 僕は粗雑に唄い 天使を射殺する 昼の理性も無く 夜の感傷も無く 不定な酔狂の中 赫色は噎せ返る 正当なる虐殺に 僕は美観を求む 頭を巧く狙えば 羽毛の雪が降る 苦悶も声も愛も 銃声が塗り潰す 神は其れを憂い 僕を虚実とする…

愛おしい花に 全てを捧げど 土足な悪意に 踏み躙られる 神様は一息で 僕を創り上げ 孤独な恋慕と 感性を与えた 花に名を与え 淋しさが増す 僕は君となら 怖くないのに 雨粒の宝石を 砕かず贈れば 花束は永遠に 僕の為に咲く 「花の願い」

お題「洋服のままプールに飛び込む」より。

人を壊す程の夏 着の儘で僕らは プールへと潜り 無呼吸に昂まる 陰でシガーキス 心地よい冒涜に 赤面さえ隠さず 君は大胆になる 水飛沫の快感に 乱反射する恋は 僕の一夏の命を 必ず完璧にする 涼しい肌の薫り 貼り付くは芸術 笑顔の君に痺れ 不純な熱が猛る…

告げ口に拠り 愛を証明する 裏切りの名で 貴方が嘆けど 無償の哲学を 否定しながら 貴方へ縋って 近くに添わる 真の礼讃とは 哀しみに近い 崇高な駄々を 見破る如くに 殺してでもと 誓った慕情に 泣いた夜さえ 貴方が全てで 「タダイ」