ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

また手慰めて 糸引く指先は 海の味がした 私の奥の奥で 恋慕を慰めて 泣き痕辿れば 星の音がした 高鳴るは若さ 別れに慰めて 窓の外見れば 雨の色を視た 冬は寂しくて 死に際慰めて 思い出騙れば 天は愛を注ぎ 言葉が残った 「慰撫する女」

鬼と祀られて 人をやめたのに 流れる血は赤く 涙舐めれば辛く 悲劇で良いから あの人を許して 一度だけの間違い 恋は香るだけで 鬼は血塗れて 地獄へ堕ちるのに 情に夢を見て 上手に死ねない 人のふりをして 笑顔の稽古をする 禁忌の座敷牢で 愛がただ欲しく…

泣くのは心 無害な劇薬 悲愴の最中 孤独な彼は 赦しの電燈 花は散るのを 俯瞰は誰ぞ 猫は撫でしも 油の海辺で 雨に隠して イルカは死骸 手創の美談 不浄な太陽 僕らの成因 恥らう遺言 石投げられて 「フイルム」

螺子で巻いた女は 笑顔を見せてくれる カラクリの口角に 歯車は低い音を立て 僕と踊ってくれないか オルゴールは繰り返す ワルツは永遠を知り 僕は別れに囚われる 機械仕掛けの恋に 色づく肌の冷たさ 恋人と呼べた人は 寂しい花瓶を飾った 精巧な恋情を尽く…

「人は……」 彼の口癖を思い出すのはいつも、汗ばむような若い夏の夜を振り返る時だった。彼は宇宙を思案するのを喜びとし、特に夏の星を好んでいた。その姿に、臆病な僕は自分が咎びとのように思え、少し気まずい想いをしたのを覚えている。僕は宇宙の得体の…

下手な言葉に 存外救われて 胸に仕舞えば 愛も秘すれる 僕を贄にし 生命を営んで 大概の優しさに 遠慮は忘れず 煙草ひと箱と 少しの麦酒に 嘘を噛み潰せば これ以上は無く 孤独な空にも 悲愴な海にも 貴方は居ない ただ歳を数える 「凡人故」

見たくないから 瞳を塞いだ 二度とまみえぬ 光の下僕 奇譚が始まり 手のひら濡らす それでも離さぬ 白い血の味 頭が暴れて 骸骨陥没 手首がもげても 覆い続ける とうとう血肉が 枯れ果てたなら 二つの果実が 女を睨む 「不要な眼球」

悪い知らせを届けるのは いつも電話のベルでした 喧しく延々と不愉快に 僕を責め立て脅迫します 時には脳みその中で端末が 鳴り響く幻を視ています 受話器が不在の街なかで 鈴の音が意地悪く急かします 僕はやり過ごす術も無く 癇癪が収まるのを待つのです …

南の彼方にある 六月の夏の空 乱反射する風に 僕は期待をする 全てが正しく 誠実な季節が 僕に汗をかかせ 心を晴らす事を 銃弾が飛び交い 血の海を啜る それでも戦場の 空は高く美しい 蝉の我慢が実り 半袖が賑わえば 僕の旅も終わる きっと愛も戻る 「六月…

夕暮れはいつも 地獄の有様でした 温度の無い放火は 僕の胸を焦がします 一種の人類には 緑色にも視えます 人々はその目を 幸福と名づけました 沈みゆく太陽に 興味が持てません 夕暮れのひと時で 吸い殻に変わります 古い唇を開いて 深淵が飲み干せば 僕は…

貴方は無口で 儚く飾る 欲すことなく 四季に殉じて 色を匂わせ 気性を委ね 恥知らずさえ 野生の美粧 貴方の命は 連なっている 統計の如く 赤、白、黄色 恋を運んだ 蟲らを敬い 露を流すは 恵みの感涙 「花のカラフル」

緩んだ灯りを 大地に注ぐ みなもの顔は 肌荒れ酷く 愛の口実には 迷惑している ただ在るだけで 望みはしない 形が変わるは 貴方も同じ 雲が覆えど 姿は満ちて 天動説への 唯一の下僕 落ち続けるは この片想い 「月のライト」

全ての穢れを 覆い隠して 朝は張り詰め 天が覗くを 賢治は運ぶ 足取り重く 僕は書で知り 窓を眺める 百合より白く 海より冷たい 清い馳走を 口に含めば 骨も隠れる 底冷えの肺 柔く積もって あの人を待つ 「雪のヴェール」

僕は宇宙を嫌悪する 浪漫を感じる故もなく その暗黒に落ちるのを 怯えて嘘で気を逸らす 膨大な空間の暴力は 全てを見下す為にある 僕は隅で丸まりたくて 気が触れるまで逃げ惑う 宇宙は大きな穴だから その深淵にて泣く僕に 星々は尊大に煌めいて 賞賛の声ま…

老犬が吠えるのは 哀愁の為でなく 巨大な仕組みに 迎合されるから 子供が夜のたび 涙を流すのは 運命を悟るまでに 時間が必要だから 花を美しいとするは 全て構造上の副作用 雨を憂鬱だと思うは 遺伝子が刻む追経験 だから僕が眠れずに 永訣の日を恐れるのは…

少女は僕との夜伽の度に 観音開きの夢を観る 脈打つ臓物の嬌声に 鬼の胃袋は喜んでいる 嗄れた声の老婆らが 丁寧に捌いて切り分ける 欠損と共に臭いは立ち込み 彼女の肉感は失われる 呻る少女を僕は眺めて 悪夢の涎を掬って舐める 汗ばむほどの恐怖の色は 彼…

母の手様、母の手様。 僕は貴方の自慢には成れませんでした。どうも僕には、世の中の状態の善さと悪さの見え方が人とは随分と違っているのです。他人は知らぬ文字を使い、知らぬ概念に則り、知らぬ色を見つけ、知らぬ声で語っているようにしか思えないのです…

寝息に口づけて そっと旅に出る 列車は東京行き 窓で雪が染まる 君は気丈だから 日々の穴を堪え 空白な愛のまま 幸せと演じるか 忘れてください 捨ててください 舞台の台詞さえ 真実に成る為に 寝息に口づけて そっと旅に出る 雪は赤く色付き 僕の血肉は凍る…

薄い月に誘われて 僕は寒空をcrawlする 軋む宇宙に響くのは 娘が破瓜する夜の音 ある者は酒に酔い 煙草の炎で愛を観る ある者は疲れ果て 他人の幸いに苦悩する 僕は緩やかに腕を伸ばし 幾億のpatternを覗く しかし夜は秘するもの 月は断頭台へ沈んでく 泳い…

おさなごみつめ よだれをながし おにはうなって なみだとかわる いとしいひとと みとむるほどに そのちにうえる しにたいほどに ひとになりたい このかつぼうで あいするものを くらわぬような ぼくはこんぼう じごくのおかで ひとをくらえば ことわりもなく…

あなをほる あなをほる ぼくのはかばは ここらがすてき ひをつける ひをつける ぼくのおこつの いいやきかげん みずをのむ みずをのむ ぼくのよわねが こぼれぬように めをとじる めをとじる ぼくはしにぎわ きちんとやるよ 「あまきしよ」

あなたがかいた しをよむことが わたしのしあわせ わたしのすべて ざんこくなもじが とてもやさしく かくしたふくみは いつもないてる あなたはなやめる かわいいひとね おちこむあなたへ せなかをさする わたしはたずねる かいているのね? あなたはこたえ…

はずかしがりやの さつじんき かめらがなくても すがおはかくす さびしがりやの ぞんびたち むれなすぜつぼう あしなみあわす しりたがりやの くるいびと いまだにわがこで じっけんしてる しにたがりやの ぼくらには しにがみさまさえ あきれてはじる 「ね…

こきゅうがゆれる みぎてにかなづち ひとみはふるえる つめたいひやあせ ぼくはさけんだ いま、まきもどし ぼくはいのった すぐ、まきもどし あかあかちゃいろ ときどきまっくろ しろいろくだけて めいんはももいろ ぼくはわらった いま、まきもどし ぼくは…

あっあっあっ あなたがみえる あっあっあっ あるいてきてる あっあっあっ あいがたかなる あっあっあっ あいずをしてる あっあっあっ あしおとすぎる あっあっあっ あしたもいのる 「こいみち」

あついといきは ほしをゆであげ ぼくはひとを なぐりたくなる おもいあたまは ちじくをまげて ぼくはひとを ゆるせなくなる いためたきずは ひびをはやめて ぼくはひとを のろいたくなる とまったゆびは あいをうしない ぼくはひとを わすれたくなる 「まく…

深海でプツプツと泡を吐きながら揺蕩う。僕は腕で躰を抱きしめるようにして縮こまる。だけど口から溢れる泡は、きっと永遠に尽きることがない。 泣き言の泡は小さく細かく、思い出話の泡は大きく途切れ途切れに。 全ては僕が失い、失えるものたちへの懺悔。…

三日に一度は死にたくなって、十日に一度は楽しくなるの。突然全てが嫌いになる時には、その理由さえも完璧に語れるわ。世の中が正しいと決めたものに反吐が出そうよ。でも吐いた嘔吐物の中に希望が無いか手を汚すの。豚や牛のように扱われるのには慣れても…

僕は殻に篭る蛹です。 卑しくも、弱さや薄暗さを隠匿することが許された蛹です。殻の中に蠢く自意識や欲望や嫌悪感を隠してジッと笑顔を浮かべます。秘する事に始終し、しかし隣人を愛する余裕もなく、下卑た偏見で世の中を知ったつもりになります。だけどい…

ゴム製の幼女とメイク・ラヴしていると、正しい重圧の力学によって彼女は風船みたいに膨らみ割れました。散らばった肉片、いやゴム片は、目が覚めるような赤色を放ち僕の嗜虐心をくすぐります。僕は無造作にその肉塊(しつこく言えばゴム塊ですが)に手を突…