ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

沸いた怒りや憎しみは 或いは嘆きや悲しみは 死んだら直ぐに心から 垢のように落ちるから つまりは僕らの魂とは 完全なる死の訪れで 一切の邪心を奪い取り 緩やかに磨かれたものだ 無念や失意の喧騒は 死人の胸には宿らない 怨嗟や後悔の慟哭は 神が全てを背…

白い一匹の蟲が 僕を誘っている 希薄なビル街へ 湿った線路上へ 肺で酸素を奪い 蟲は僕の骨を這う 脳みそを齧っては 心臓を少しだけ止める ――これ以上生きるのは ――これ以上傷つくのは 蟲は代償行為だ ただ煙草の灰に視た 憧憬の末路にある 夏の日照りの亡霊…

口蓋に囚われた僕は その舌を丁寧に沿わす 唾液の海に溺れながら 歯茎の優しさに寄り添う 僕の唇など容易く 引き千切る程の犬歯を いつも愛して止まない 瞬間、僕は獣になる 中指を舐める行為で 鉄の辛味が味わって 齧る甘えが心地よい 濡れた爪先を削る夜 …

溶けた鉄が流れ 金剛の骨を持ち 王水の涙を流す 完璧な生き物 自らの温度を持ち 自らの重力を受け 自らの速度を保つ 遠き星の友人 彼らは青い太陽で 紫色に日焼けして 赤い雨だけ憂鬱な 少し無口な聖職者 友よ、君の瞳には 僕らは何と映るのか 姿かたちは醜…

お前の金切り声が 僕を自由にする 濁り始める血液を 僕の欲望で浄化する お前は気儘な奴で 僕を嫉妬させる 穢れた肌は透明で 僕の情緒を狂わせる お前は幾度も泣いた 僕が慰めていても 手足が邪魔だと教えたら 僕に媚びてる顔を蹴る お前は苦しむほどに 僕を…

宇宙の春は生に満ち それゆえ無情でありますか 此方はとても住み易く 蟲らが悲鳴を上げています 宇宙の夏は熱を持ち それゆえ偉大でありますか 此方はとても汗をかき 魚が海辺で溺れています 宇宙の秋は切なくて それゆえ孤独でありますか 此方はとても色が…

世界の皆さん 僕は天使から 使命を受けて 君らの悪意を 監視してたの 知ってますか 腐った林檎を 神様はパイに したりしない 終焉の彼処に 僕だけ赦され 君らは憎悪を 乱反射しつつ 地獄へ落ちる 可哀想だなあ 可哀想だなあ でも仕方ない 僕を裏切った 罰な…

私の躰を買うのなら 心も全て汚してよ 抱きしめた後の優しさが 何より私を傷つける 外は暫く雨が降り 私は貴方に縛られる 感じた真似の戯言に 貴方は平気な顔をする 愛の在処でも特別に 安価で下品な207で 私は果てるたび宝石が 咥内の中を満たしてく どうせ…

音楽は輝き 幼い僕の心を奪う 音色の洪水は 一瞬で僕を飲み込む 新しい旋律が 必要なの 心打つ台詞が 大切なの 全てが幸いの物語で泳いでいたのに それから色々と事情があったから 効かない薬は淫らな口癖を増やして ああ、病者は、色々、色々、色々で 音楽…

僕は掻き消え 香りが残る 其れに顰めて 避けてく人々 生前の頃は 羽音の五月蝿い 亀虫みたいに 詩篇を書いた 消える記憶に 途方に暮れて 蘇ったならば 千切れる日々よ そして全てを飲み干して 無力な翅脈で空を望んだ だから大気に 含まれていく 細切れの言…

粘土細工の愛情に 僕は両手を汚してる 指で抉った穴を覗けば 遠くの君も綺麗だな 幾重に渡り形を混ぜて 僕は誰しも愛せてた 或いはそれを正すなら 僕は未だに愛を知らない 悪なる愛を倣っては 僕は頭を下げ続ける 其れが粘土に色を塗り テロルな朝を待ってい…

骨がましい 骨がましい 喉につかえる この言葉 ――愛を正す ――夢を触る ――命を望む ――声を探す 何れも醜く 不明瞭 もっと近しい 模造があるぞ 詩を模って 感受を尽くし 小骨を砕く そんな言葉が 此れは孤独な 僕の聖戦 安直な言葉を 殺せし儀式 「骨抜き」

影は点滅して 僕を此処に縛る 形を失う一瞬 夜の闇は僕なのに 存在を確かめて 安心する白色 少し橙が混ざり 表面をそっと滑る 蛍光灯のせいで 視えるものに苦しむ 瞳を掻き毟っても 痛みは錯覚に止まる 僕の中の誰かが 光の粒を呪った後に 或いは心の地縛霊…

僕の正しい通学路は 地獄の底の匂いがする 黒い野良猫の目ん玉を 齧る少女が時間を急ぐ 教室の喧騒のその果てに あらゆる罵倒を組み立てる 僕の白い脳みそはまだ 南アフリカへと逃げたまま 先生と級友は夕暮れに 死んだものだと信じてる 僕は彫刻刀で刻みだ…

煙草の灰より軽く 奴隷の鎖より重く 最初のキスより熱く 最期の肌より冷たく 僕の情熱は痩せて 視野を狭べてよろめく 若き日の懐かしさに あの人の手首の傷に ポプラが育っていく 言葉には名前が無い 木々の意味も知らずに ただその恩恵を信じる 首を絞めて…

僕の指先の綻びが 螺旋を描いて糸になる 棒針を器用にすり抜けて 小さく我が儘な星になる 剥き出しになった心臓は 元に戻るのを恐れている 壊れた物はそのままに 愛してあげれば良いはずだ 時間と労力を遠くで眺め 思想と再生に寒気を覚える 形を乱した物々…

支配される 使役される 廃棄される 忘却される 研磨される 懸念される 悲観される 忘却される 物は物として 愛は愛として 形は形として 命は命として 想起される 後悔される 非難される 忘却される 「幾つかの終焉」

僕の心の蜘蛛は 幾何学な巣を作り その完璧な顎で 言葉を砕いている 別れの言葉 喜びの言葉 懐かしい言葉 勇敢な言葉 毒々しい模様に 沢山の眼を持ち 美しさを放棄し 咀嚼する強さよ 輝く円網には 彼でさえ齧れぬ 寂しい告白だけ 残されている 「心の蜘蛛」

貴方のお腹に 隠れた夕暮れ スカートの中は 宇宙が広がる 僕は墓守り 命にのけもの 触れるは毒と 死骸が囁く 鍬で胃の腑を 暴いてみたい 銀河を泳ぎ 遠くへ行きたい 清い貴方よ 醜い僕の 死命も知らずに 優しくするな 「墓守りの恋」

大いなる幸いは 死路に怒りを持たぬこと そうだ、と僕は考える 全ての赦しに鳴く鳥の 何と美しいことだろう 林檎を齧って手渡した 少女の面影を眺めてる 星々は罪に焼かれても 涙を忘れて唄ってる 大いなる幸いは 傍に居ずとも分かること だって、と僕は信じ…

キル、キル、キル、 魚の瞳で唱える僕の キル、キル、キル、 堰を切ったは金属バッド キル、キル、キル、 肺が忘れて歯を鳴らす キル、キル、キル、 百回死ぬまで振り下ろす キル、キル、キル、 痺れた両手を裏切って キル、キル、キル、 鼓動で目醒める万能…

理由が欲しいと 貴方が泣いた 傍にいるのが 何より強くも 意思の同調より 運命論の痣より 肌の重ね方より 僕と貴方はいた 安心したいのと 貴方は縋った 傍観の果てこそ 何よりも確かで 傷跡の合致より 変貌の禁止より 言葉への劣化より 僕と貴方はいた 好き…

恋する眼鏡 色眼鏡 貴方以外は 万華鏡 夢見る眼鏡 色眼鏡 幸せ写した A3ノビ 愛する眼鏡 色眼鏡 子供愛おし 映像機 お別れ眼鏡 色眼鏡 最期の闇に 潰れる目 「色眼鏡」

僕の血は脈打つ 薬の価値を残して 不実からの卒業 暗弱からの美点 うつ病の吸血鬼は 統合失調症の夢魔は 過食症の人喰い鬼は 僕のことを愛すると誓う 僕の血は噴き出す 薬の味をばら撒いて 人間からの永訣 生物からの剥奪 境界例の少女は 自傷癖の少年は そ…

石ころの愛に 路地裏の焦燥を 電灯の優しさに 鉄骨の使命感を 傷だらけの声が ベッドの海に潜る 煙草の灰の砂漠は 何度も人肌を裏切る ピストル談義に 強姦学を学び 無音作用に於いて 暴力範式を導く 僕は定説を疎んで 群像の意味を嫌った 此れは負け犬が贈…

煙草を吸う少女が 世界に終わりを連れてくる 手首をナイフで削り その粉で空をも飛べるのだ 少女は何が少ないの 君は切実に尋ねて泣いたから 少ないのは世界の方さ なんて口八丁も言えずにいる 屋上もお風呂場も 死の念願を幾重に重ねている 電車のホームと…

夜の舌触りに 脳は欠伸をする 退屈の色は無く ただ安堵の記録に 羊水は暗く 血液は遠いその湿り気が丁度 僕の部屋にある 夏の夜は美人だ 銀河は大人しい 頬を撫でると 氷菓の静けさ 生涯の整頓を 終焉の理不尽を 歯触りで知る 夜更けの無垢にて 「夜の味」