ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

貴方は月と呟いた それは夜の呼び水になった 雪と花が足りないと 僕は勝手に寂しくなった 笑顔が傷跡のようで 触れることさえ躊躇った オジギソウが枯れて 僕は余計に孤独になった 月光が照らした肌は 冷たく滑らかに眠った 狼の遠吠えの代わりに 切実なamen…

音の無い花火が 瞳に映り込む 広がる炎の輪に 世界が消失する 眼鏡は反射を忘れ 指先は空を切り それでも確かにある 大きな空の華 熱さも風も無い 夜も昼も関係ない ただ脳みそに響く 圧倒的な重圧 僕は歪んでえずく 人間性ごと全て吐く 遅れて届く声までも …

愛を問うた戸惑いに 彼女の姿を思い出す 一つの恋慕の顛末で 全てを殺したあの夏を 誰もが敵と知っていた 理解を誘う声が痛い 大事なものが苦しくなった 奇跡を望む想いが憎い 病気、殺意、不信感 失うべくして失っていく 記憶、感触、喪失感 彼女に投げる石…

沈む海に 大陸は赤面する 渇いた肌に ソーダ水の雨 旧文明の 絵画は下手くそで 有難がるのは 土を食うモグラ 水は砕けて 塩の足跡を残す 溶岩の鼓動に 熱は待ちきれない この地球が 現代人を想像する その前の記憶 愛の不在なadieu 「この星の黒歴史」

左足を探しています 夏の初めに失った 彼の足を探しています 警報機のない踏切で お洒落な靴を履いています 投げ出されたのは上半身 何処かに落ちてるはずなのです 車輪の歪んだ自転車が転がり きっと死ぬまで探します 彼の声さえ忘れてしまえど 左足を探し…

信号も守れぬ強気な彼らが 可愛いあの娘を護っているよ 僕は赤信号に立っている ずっとずっと立っている 理性と規律を兼ね合えば 平穏な魂は約束される 破壊と期待を何気なく 下せる奴は地獄に落ちろ 気丈な少女はいつだって 正しい悪意に惚れ落ちる 守って…

甘い殺意を齧ったら 臆病な虫歯が痛み出す 太陽は血管を裸にして そこを流れる卑屈な涎 蟻が群がる三丁目 僕の心は陽炎のまま ナイフの代わりの鉛筆で 震える独白を振り回す 好きと嫌いの方程式に 没頭している哲学者 すぐ傍の解を知らぬまま 兵隊さんに殺さ…

虫籠の中で蠢く 僕の自尊心 共喰いを続けて 毒が満ちていく 肥えた自尊心は 一匹で笑う そして卵を産んで 僕を孤独にする 虫籠の中身を覗き 他人が増える 僕の味に飽きたなら 瞳は通り過ぎる あの才人を殺せと 虫籠は騒ぎ出し 惨めな標本を焼けば 自我の足が…

人間未満 潮風以上 君の祈りを 錆らせまいと 感情未満 想像以上 僕は意識の 理解に努める 現象未満 熱量以上 胸に秘めたる 想いは赤焼け 星々未満 聖性以上 操を捧ぐに 足りる恋慕よ 「亡霊の電卓」

夢を介して 今を区切って 意識の鎖は 断ち切られる 明日の定理 昨日の信仰 それを含めて 生きるを生きる 熱は流れて 人は忘れて 気が触れるほど 肌は色付く 今日の疾患 今日の幻想 それを含めて 生きるを生きる 「低気圧ベッド」

盲目の夢遊病者は 偽物の景色に恋をする 空は淑女の宝石で 海は少女の胎内だ 貴方の躰が分からない その頼り無さが愛おしい ジャズの鍵盤を耳にして 世界は夜だと気づくのだ 騒がしい街並みも好き 蜃気楼で肌が汗ばむ 囁きたちは転調し 自分の命と交感する …

我が躰に責任はなく 情愛の暴力だけを注ぐ 生命と名付けた症例に 身重のお腹へ針を刺す はじける女の血潮さえ 浴びたら雨と変わらない 傘も差さずに仰ぐなら 育つ花さえ踏みにじる 水子の霊を瓶に詰め からりからりらからりんと 祭囃子に飲み込まれ からりか…

寄せる波に 足を奪われて 来たる日々に 心奪われて この生活に 誇り奪われて 貴方の前で 意味を奪われて それでも僕は 僕を奪われず 雨の音から 詩篇を奪った 「略奪の雨」

明日は僕の命日 昨日は僕の誕生日 だけど僕は今日にいる 永遠に近い今日にいる 日々の恋は逆しま 愛を語って何になる だけど僕は夢を見る 反芻された夢を見る 痛みに堪えた傷 報いの知らせは天の声 だけど僕は信じない 慈悲の言葉は信じない 貴方に出会い時…

美しい夢を見ると 自らの美しさを過信する 世界にはない風景 他人にはない心象 夢とは後付けの物語 遡り統合する色素 矛盾の中に美観をみとめ 我が天啓は肥大する ならば夢で出逢った 少女は必然の化物として 陰りなき恋慕を持つ 傷のない日々を観せる その…

強き向日葵の生首を 生ける花瓶に憧れて 僕は首を無くしたが 代わりの花は何でしょう それはきっと蒲公英と 獅子の名を持つ雑草と 誰かが笑った教室で 僕の机に静かに咲くぞ 何十本も生けましょう 寂しい思いをせぬように 綿毛で聾を作りましょう 幼き子供の…

夜の綻びが浮つき 吐息は色をつける ベッドで汗をかいた 貴方の瞳は綺麗ね うねる臓物さえも 僕には透けて見えるよ 脳みそに送られる 愛への切実さまでも 裸の貴方は眠そうに 子供の夢に涙する 感傷的では良くないね 上気した頬を少しつねる 外は銃弾が飛ぶ…

小指を失ったら 君を強くブテない 血液の色をした 愛が果たせない 小指の傷口から 夜がホドかれていく 少しずつ満たして 部屋を切なくする 堪らず窓を開けて 夜を逃がそうとする 僕の影は溶けて 紡糸に奪われていく 君が僕を忘れる 僕が強くブテないから 毛…

肌を這う蟲は 酸素の悪戯 僕の脳に達して 思考を外に飛ばす 竦むのは罪だ 止まってはならぬ 殴るのは罰だ 信じてはならぬ 生活は騒がしい 枯葉が噂する 電柱が立つ真実は 僕の耳だけが知る 笑うのは嘘だ 考えてはならぬ 泣いたのも嘘さ 忘れてはならぬ まる…

一小節の細胞が 六十四の言葉になって 僕らの想いを代弁し 若き蕾の脳を揺すぶる 世界を壊す衝動も 悲哀を解す熱量も 全て円盤に詰め込んで 今日は太陽に恋をする 暗い部屋に取り込まれ 猫背の私は神様を 切り捨てる程の怨嗟にて 熟した雌花を刈り取るの 低…

自殺の風を真に受けて 線画の君は死にました 影を残せば生きてたか 重ねて描けば許せたか 不確かな幾重の線分が 塗り潰した赤に変わる時 人は魂という概念を 当て嵌めたがる癖がある 「醜いこれは彼女じゃない。 自由な魂が我が身を照らす」 「消せぬ絵具に…

君以外は全部嫌い 照らす太陽の白々しさも 街を飛び交うおべっかも テレビが映す惨状も ラヴホテル街の嬌声も 眠くなるような説教も 傷を浴びせる論客も 君が泣いてるその訳も 僕が許せぬこの僕も 君が好きを教えてる 陽射しが与える優しさを 褒め称える程の…

寝息の音を聴きながら 死んでしまったかと考える 淡く閉ざした瞼を眺め もう逢えないのかと考える 涙も笑顔も優しさも その場に於いて色を持つ 一番正しい答えはきっと 大きく丈夫な姿見鏡 透明の中にある街並みで 貴方の大切を揃えよう 僕の懸念を笑えるよ…

僕の恋慕が掻き立てられる 夢で出会った少女と二人 地獄の底へと繋がる坂を お手手を繋いで降りていく その気の強さが煽情的だ 何かに祈る畏れも習慣もない 僕は追憶が構成した言い訳で 酷く生真面目に地獄に向かう 僕は嘘吐きな手楯を授かり 彼女は純潔たる…

クローゼットの中の 着飾った肉布の死体 全て処分しなければ 僕の気持ちは進めない 東の山に埋めようか 西の空き地で燃やそうか 南の海に捨てようか それとも我が家で食べようか 僕が色味の衣替えをしたら それは僕とは呼べない誰かで 懐かしいものを全て忘…

文法を間違える才能 自分を見失う才能 食事を散らかす才能 仕事をすぐ辞める才能 壊れた神の言いなりに 僕は愚かに年をとる この才能を愛すまで あと何十年ほど間違えよう 新しい言葉を地に刻み 様々な人に化けつつも 一切れのパンを与えしは 貧しい命の確か…

地獄の底での祈り方 ただ我が罪を触媒に その足あとを埋めること 地獄の底での祈り方 電子信号の渋滞の中に 骸骨の夢を飛ばすこと 地獄の底での祈り方 夜の窓辺のそよ風に 忘れる勇気を混ぜること 地獄の底での祈り方 我が欠落を滑らかにする 時の残忍さを望…

花も枯れるぞ 我が心あり 嵐も止むぞ 我が残滓あり 時すでに遅し 蒼い蝶々を ただ握り潰し 深淵に散らす 冷蔵庫を殴る 蹴り倒し投げて その中で暴れる 貴方への好意 魂は波を待つ 複数形の一人 言葉が胸を打つ 勝手な約束でも 「別れのイロハ」