2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧
詩蘭の花が 言葉を遺す 僕は苦悩で 夜も睡れぬ 空の数だけ 運命が在る 君は可憐な 微笑む虚構 死想の闇が 罪過を宿す 僕は無心で 解に哀しむ 夢の末路に 聖域が成る 君は健気な 愛しき真理 「偽香の声」
肉を好む蝶が 屍体に纏わる 彼岸で喜ぶは 翅の色や薫り 青の無い鳥は 自由な空の中 全て叶えるが 誰も幸を得ぬ 真祖は永遠を 風の声で知る 暗い欲に塗れ 壮言へ費やす 少女は物語で 僕を悪に択ぶ 花の想う恋も 神様が赦さぬ 「嵐の教え」
弱者の骨を 砕く音色で 楽曲奏でる 穢れた脳髄 甘口飽きて 刃を振るう 何より醜い 優性の殺意 失う物しか 存在しない 思想は口実 賤しき凶行 約束通りに 命を責めど 集った怨恨 残虐な否定 「下種の墓」
徒然なる儘に 十字架を抱く 移り香の痕は 美しく霞めど 秒針に残され 造型も忘れる 心が枯れ果て 追憶を重ねる 悪食な運命は 僕の鬼が殺す 自転する娘に 誠実で在る為 帰納は正され 物語に混じる 空が生血流し 靴音を讃える 「亡びの楽園」
畸形の姫は 塔に囚われ 翅も無い儘 空を望んだ 恋が祈れぬ 命に恥じて 大事な嘘は 夢と壊れた 醜い禁忌に 背く事無く 神の言葉を 闇で唱える 幸は不幸で ただ罪深い 人を狂わす その美しさ 「クオリア」
この一週間、暫く詩が書けるか怪しいです。 毎日楽しみにしている人がいたらすいません。 また平常通りになれば、作詩を始めるので、それまで、どうか宜しくお願いします。
英雄は気高く 聖人は根強く 世界の隅まで 闇を隔絶した 哲学を重ねて 教えに問えば 神は歓喜して 深淵へ導いた 君はか弱くて 僕は切なくて 温かい孤独で 夜に依存した 誰も裏切らぬ 無口な暗幕に 光よ在れなど 善悪の狂気だ 「黒の巣窟」
水面に縋る 太った金魚 赤い尾鰭も 淡く汚れる 僕の愉悦が 提灯追って 汗ばむ雄に 風鈴は鳴く 骨子露わな お古の団扇 空く穴凹は 恥を重ねる 君の浴衣に 乱れて恋し 盛夏な胸で 花火が響く 「宵の盆」
同じ夜に生き 交わる運命を お伽話と知り 少し傷ついた 遠く唄う君に 僕の心は燃え 古びた鍵盤を 闇で調律する 愛故に愛して 嘘故に想って 星が運ぶ風も 真実と信じた 泣き虫な朝が 全て奪う前に 詩篇だけ残し 聖い棺で睡る 「恋する暗黒」
心が壊れた 優しい兄よ 私に気付き 何故泪する 映らぬ瞳で 風を眺めて 想い出話の 中毒に成る 幾千も告ぐ 哀しい悪癖 麻縄の輪を 希望と語る 私に読めぬ 恋文遺せば 再び出逢い 空で重なる 「惜別の病」
悲痛な声だけ 鳴り響く夏に 呪える運命を 死で以て抗え 悪趣味な神が 終焉に与えた 時を飛ぶ翅は 苦悶の中煌く 君が僕を忘れ 全て潰えても 遍在した風に 踠く魂は残る 呆気無い幸福 大罪さえ糧に 重ね往く絶望 理由さえ嘘に 「ナーシサス」
君の逆鱗が 僕を救った 生傷塗れな 心に添いて 罪深き園に 永遠を捜す 古い遊具は 最果ての砦 僕の分まで 君が泪した 想う空虚に 命を与えて 二匹以外の 全てが滅ぶ 幼い憎悪で 燃える現世 「小さな殺戮」
地雷原駆けて 汗ばむ少女は 美しい希望を 青空に知った 遠のく表情に 真意を秘めて 絶叫する僕も 声色で撫でる 晴天を踊って 銃声と唄えば 両翼が羽搏き 楽園に至るか 突然の想いを 僕に告げた時 鮮烈な爆炎が 南風と混じる 「天使の焔」
聖き砂漠で 詩人は睡る 葬送の風が 磨いた地平 名を失えば 骨も鎮まる 蠍が吐いた 一匙の墓標 灼きし命は 夜を求める 痛い静謐に 熔けた追憶 魂は褪せず 写真に宿る 帰郷信じた 貴方の永遠 「アネクメネ」
切なる暗号も 丁寧に紐解く 永遠の前夜を 僕は夢見てる 気の荒い隠喩 重ね抜く黙示 美に封ず禁忌 生き残る理念 贋作な真実が 平行する世界 君は連続した 幾千万の哲学 瞳は僕を視て 鏡の君へ告ぐ 業と共に点る 神が少し歪む 「詩の宣告」
猫贄の壜が 記憶で騒ぎ 救えぬ僕は 深淵を聴く 歪んだ彼は 罰に縋って 同じ呪文を ただ繰返す まだ美しい 裏道を歩む 聖なる君は 共犯に背く 縺れた娘は 自傷に塗れ 黄昏の下で 本心も穢す 「橙の闇」
暗い思春期に 君と交差した 突然の雨宿り 心地好い余白 夕闇が好きで 数学を憎んだ 二匹は陰謀論 花の如き迷子 喧嘩を誤読し 君は風と成る 心根の望遠鏡 若過ぎた悪夢 直ぐに謝れば また倖せだね 約束は置手紙 手を握る永遠 「虹の彼方」
下品な箱で 悪言を吐く 狂った人は 寝坊に凹む 否定も頷き 爪先舐める 狂った人は 仔猫で試す 毒に溺れて 暗黒を隠す 狂った人は 月夜と遊ぶ 末期を患い 生命微睡む 狂った人は 屍骸も腐る 「ケロイド」
青い星は遠く 君と共に廻る 夏草薫る雨が 夢の中で降る 街の燈にすら 銀河を想う頃 僕は無垢な儘 面影と戯れた 旅で闇を流れ 命が淡く光る 神や心は全て 君の中に在る 僕が無重力に 慈愛を祈る時 星は少し近く 痛い程美しい 「ライカ」
棺の中には 闇が広がる 嘘を捜した 無情だった 心は草臥れ 童話を想う 太古の人が 恋に夢見た 雨の真上で 君が微笑む 約束をした 全てだった 僕は常世に 地獄を抱く 暗い苦悩が 必要なのだ 「ペイン」
煙草の死灰が 鱗粉と成れど 痩せた指先で 存在に負けた 火傷した唇に 色香を醸せば 僕の感受性は 精巧と云うの 有毒なる蝶が 月へ上る前に 世界中の窓を 閉鎖して廻る 手摺を離れて 必死で羽搏く 美しい哲学に 讃えるが善い 「詩情の翅」
光の亡霊は 闇に満ちた 冷水舐めて 命を照らす 幼気な君が 遠くで踊る 纏った燈は 天国に近い 川は流れる 魂は過ぎる 熱帯魚だけ 夜風を泳ぐ 偉大な夏を 少し憂えた 空に上れば 墓も残さず 「還り蛍」
恋する宇宙は 少女のように 強かな性根で 星々を燃やす 想い人の為に 銀河を創った 新鮮な天体も 次々と贈った 大きな口から 重力を吐いて 甘える宇宙に 神々は呆れる 僕らの理由は 片想いだった 地球に悩める 密かな真理だ 「ミス・コスモ」
雨に溺れて 楽園手探る 空ろな制服 青春の屍骸 耽美な舌は 花に絡んだ 野獣の合図 涎が泡立つ 乳房を咥え 恋人演ずる 或いは本性 痛覚の在処 嘘で讃えた 君は模造だ 鎖骨の精油 命に叶わず 「妖精の露」
愛が魔法なら 叶えはしない 傷つく不実で 死を想う為に 碧き殺意だけ ただ離さない 小蠅の大群が 喰い破る君よ 僕の悲哀では 雨も降らない 孤独な映画に 縋り付く儘で 嘘を言葉にて 照る事のない 仄暗き憂世が 神に知る闇だ 「破滅の風」
平安の世で 雅に舞える 若かりし君 齢は十二程 美麗な御髪 鬼火も随え 柔き目尻は 幼さが残る 珠玉と焚べ 永劫を祈る 残虐な儀に 呪縛した魂 時が遠のく 孤独な陰で 君は繰返し 恋に泪する 「供物の娘」