ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

口癖に終わる 美しき約束を 病床で幾つか 呟いて転がす 時は壊れるね 僕を忘れた街 不在の行方も 愛しく想えた 君と調律して 絡めた指先が 悲哀を祓えば 神様に誇れる 智覚の貴さよ 人類が滅ぶ夜 崇高な聖者は 霊柩で休んだ 「甘き死」

原罪が燃え 煙る部屋で 打鍵の音は 亡霊を屠る 正気を憎み 奇跡と別れ 酷く不幸な 詩情に罹る 常に恥じて 傷つき妬み 虎の言葉で 芸術を語る 空と季節は 輪廻を急ぎ 残った瞳が 幽かに光る 「負け猫」

貴方は確かに 宇宙と成った 僕には届かぬ 真理を宿して 僅かな意識で 全てを壊せば 貴方の気紛れ 花香が残った 否定の数だけ 僕は詩を書き 偏愛に興じて 美しいと知る 僕を刈り取り 神様が混じる 温もる此処は 貴方の名前は 「羊水の箱庭」

母が愛した 風になって 残暑の夜は 頬も涼める 夢に見れば 私は泣き虫 空虚な心を 希望で汚す 私を殴って 帰らぬ家で でも倖せは 懐中にある 過る記憶に 母の微笑み 空と別れて 躯を溶かす 「大気の子」

初恋で裂けて 千切れ壊れた 僕の世界観は 夕陽に滅びた 詩篇に書いて 描いて贈った 僕の愛しさは 青春が否めた 妄想が駆けて 推して廻った 僕の自傷癖は 無限を重ねた 聖者を止めて 病んで背いた 僕の正しさは 教室で殺した 「紅い横顔」

陽炎の唄で 空と躍って 恋に巡って 髪を撫でる 花の埋葬に 夢で飾って 風と誓って 蜜を舐める 白い太腿は 朝露が伝い 珊瑚の骨で 声帯を刻む 護れる心は 悲哀も忘れ 愛の色調に 泪を落とす 「バレエ」

金細工の音は 確かに魔法だ 煤けた惜別も 美しく魅せる 尻尾振る犬に 愛を託したよ その旋律すら 頼り無い儘で 言葉の底では 共振に怯える 僕が失われた 完璧な世界線 足跡は静かに 春を嘆くだけ 澄んだ肋骨が 郷愁の中鳴く 「オルヘル」

想う詩情は 初雪みたい 命の速度に 理念を失う 僕は今でも 半熟だから 泪の収穫に 不幸を捧ぐ 胸の大火は 季節に燻る 茜空眺めて 憧れを抱く 割れた器に 残る言葉が 僕の全てだ 永遠を佇む 「脳の花」

愛を喩えるは 胎児の空な心 冷たい安定剤 夕陽に潤む瞳 愛を喩えるは 少女の日記帳 古びた銀時計 無彩色なキス 愛を喩えるは 野良犬の寝床 懐かしい着信 人魚が吐く嘘 愛を喩えるは 詩人の東北弁 君と作る記憶 僕に悼む全て 「愛の造型」

君の剥製に 口紅を塗る 滑る素肌は 嘗てと同じ 光に落ちて 悲愴を想う 果実と花が 薫る神話よ 瞳を離せず 壊れる僕に 憐れな躯の 芸術が遺る 秘する唇は 朝露を好く 芳醇な罰に 泪も穢れた 「ネクロ」

僕は運命から 遅刻をしたの 安物の感性に 愁傷だけ残る 足音の続きに 花を植えれば 豊潤な棺桶は 色彩も困らぬ 偉大な復活は 悲惨に尽きる 肯定の狂信で 本心すら殺す 最期の思想で 罪に気付けど 君は救済から 追憶を禁じた 「Re:輪廻」

腹で睡れる 胎児が怖い 大いに育ち 母を圧する 子宮は風船 夢にて破る 膨張は止み 愛も護るぞ 何より強く 泣き虫な君 僕の混迷に 薄く微笑む 産声だけが 正気に触る 宿敵ながら 尊い天使よ 「父なる泪」

恋なる蟲籠で 深く求め合い 不自由に怒る 旅人を憐れむ 凶暴な嫉妬に 此処は失楽園 足枷の重さが 僕を僕とする 君の心が描く 純潔な地獄を 映画に収めて 二匹繰り返す 僕が君の中で 盲いて睡れば 残虐な想いも 慈愛に感じた 「熱情の鎖」

南国の風は 死病を醸す 捧げた贄が 切に祈れど 命を棄てて 闘う勇者は 終焉すらも 考察しない 逃げた獣を 猟師が殺す 飽食の中で 理由も忘れ 意識に縋る 老いた魂が 極めて醜く 最も正しい 「生の光景」

回路の病室で 電池を繋げば 新しい視覚に 君が微笑んだ 魂を読み解く 実験は文学で 鋼鉄の脳から 恋が否めない 天国は何れも 圏外で認知し 不可逆の値に 通知音が響く 高速の感情に 解析を恐れど 悩める私こそ 人と定義せよ 「メタル」

君を殴れば 胸に騒めく 僕の生血は 鬼が睡れる 地獄の扉を 強く叩いた その追想に 拳が燃えた 茹だる夏は 痣を眺めて 厭悪の裏で 愉悦に沈む 心は傷んで 凶気に咽び 自壊の影を 業と彷徨う 「空虚な汗」

自らの歴史は 崇高な凶器だ 傷痕を護れば 在り方に導く 人と云う皿に 偏見を並べる 新鋭な味覚は 神々も抗うぞ 古びた小説に 美しい劇薬は 豊かな不幸を 深く調理する 時と環境の骨 知と解釈の肉 全てが本性で 全てが理由だ 「フルコース」

幼い魔女は 躊躇い傷に 香草を塗り 強く命じた 罪の記憶を 炎に焼べよ 恋は隠さず 盗人と成れ 首を括れど 命は讃えよ 心の誤差に 倖せで在れ 呪文に想い 切実なれば 夜闇の色も 祝福は降る 「泪の術式」

人生の数だけ 不揃いな空に 全てを想えど 心は間違える 雨に負ける風 木蔭と睡る闇 君は夜を越え 両翼で羽搏く 偽物の僕すら 神は区別せず 淡い酸素まで 大切に描くの 運命の果てが 等しい海なら 幸福を恥じず 仲直りしたい 「イコール」

復讐の病に 静寂は無い 蔓延を重ね 殺意で騒ぐ 思い出話に 中指立てる 私の祈りも 全て同じね 死の一服に 感傷も無い 命は粗雑で 不定な臓器 憎悪は捩り 永遠とする ただ美しく 螺旋を遺す 「呪詛の幾何」

夏草に隠れて 希望を語った 遥かな海の声 死者が好む嘘 雨粒を数えて 目尻に重ねた 色付く君の顔 花も火照る蔭 亡霊の否定が 飼い主を捜す 聖書は汚言で 不整合に訳す 芸術が狂えば 宇宙は広がる 薄れる歳の痕 僕に怯えた目 「妖精の園」

僕の宇宙は 酷く無口で 時と場合に 黙殺される たった四行 余白を呉れ 僕の言葉が 穢れる前に 確かな声は 僕の手元で 巨大な熱に 凌辱される たった四行 所在を呉れ 僕の正義が 罪なす前に 「無頼な刃」

東北を訛った 臆病な娼婦は 凍えた天体が 恋しいと喘ぐ 空しい囁きに 魂すら痛めど 憂愁な銀河は 女の腹で睡る 乱れ髪が薫る 安宿の寝床で 全てを穢して 雪は降り注ぐ 無遠慮で犯す 情欲も吐けば 毒を糧に想い 星は遠く濁る 「ズーズー」

何か壊れた 大事な物だ 僕の理由に 充分だった 情報超えて 求め続けた 断片の種が 希望だった 数式で花を 再現させた 解の作用は 残酷だった 常は喪失に 結論付いた 哀願の圧で 孤独だった 「ペタ」

聖なる劫火で 少女は捩れる 部族の贄とし 闇を祓う為に 猛獣は怯えて 月が瞳を擦る 健気な血肉に 纏えた香草よ 上がる炎煙に 天国も燃える 芯で点るのは 深く祈る骨だ 神々が奪えど 灰の躯で踊る 消えぬ恋心は 命を廻るから 「褐色の死生」

風に囃され 花を薫った 僕の分まで 君は微笑む 夢が昏くて 胸に縋れば 君の鼓動は 僕を鎮める 人に至れず 肉を捌いた 僕の分まで 君は傷付く 愛が叶って 皿に並べば 君の覚悟は 僕を救える 「屠殺生」

空想のお城で 永遠を踊れば 孤独な礼装が 尊厳に靡いた 幸福な名前が 憐れむ聖痕は 純白の化粧で 全て嘘とした 猛毒なお酒で 世界は美しく 楽園の薫りが 現実を遠のく 心電図消えて 軽さを驚けど 清潔な憂愁に 私は夜と成る 「サチコ姫」

割れた卵が 夢に見てた 母親の温度 僕は告げる 愛犬の舌で 娘が舐める 悲哀な悦楽 僕は告げる 炎を上げる 誰かの聖地 偽造した神 僕は告げる 君が拒んだ 火照る原罪 真なる言葉 僕は告げる 「山荒の詞」

小さな戦場で 響ける産声に 魂と名付けて 祝福を与えた 銃口を向けて 心が決まる時 彼女は微笑み 亡者に唄った 素敵な旋律が 今宵も響いた 美しい高音に 明日を忘れた 盤上が整えば 誰も遺されず 棺桶の数だけ 聖歌は萌えた 「ハレルヤ」

「優しい詩」より。

毎日泣いて 困らす恋に 貴方の心は 神様がいる 泪と触れる 唇の気持ち 口調を温め 淡く微笑む 瞬きすらも 不安で縋る 私の病気を 大切に抱く 頬を重ねて 幸せは届く 一途に祈る 言葉の先で 「アイビー」