ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

手首を切る程 美しく成れず 魂の滅亡だけ 祈って迷える 神は泪するか 憎悪を縋って 草臥れた命が 朧げに病めば 心地好さには 屈服しない為 揚羽を煎じて 鼻から服する 修羅は憤るか 思想で慰めて 赦せぬ自らを 耽溺し詠めば 「イントロ」

君の息まで 傘に隠せど 憂世は綺麗 雨音触れて 捧ぐ右肩は 静謐と濡れ 淡い寒気が 僕の全てだ 二人は俯き 答えを探る 恋の融点に 抗えぬ儘で 別れ際には 指を絡めて 夕暮れ前の 夜露が瞬く 「相合の想い」

歪んだ王冠と 天使の骸骨を 教壇に供えて 授業が始まる 返り血浴びて 英文を読む児 屍体の分まで 鉛筆で写す児 先生は強姦を 真の愛と説き 口淫した銃で 脳に指導する 臓物で育った 類の無い色よ 生温い空席に 僕は花を飾る 「先鋭な青春」

断絶の病は 世界を覆い 文脈越しに 詩人が嘆く 失った智覚 殺める思想 自動的な種 或いは楽園 本音は最早 古代の遺物 共鳴すらも 無用な毒だ 解が与えた 完璧な抑圧 個を葬るは 畏れる故に 「ペルソナ」

羞恥が暮れて 育った言葉を 全て飲み干し 無垢に微笑む 錠剤を噛んで 世間に仇なす 油性ペンだけ 決して忘れず 上手に死ねば 美談と化する その刹那すら 時期を損なう 罪悪で駆けた 裏切る昏さよ 人を辞めても 酸素が赦さず 「或る猫背」

拷問の筈が 文学と成る 畸形な青春 猫町二丁目 知性が遅く 聖書を縋る 穢れた少女 死に物狂い 僕たちの事 砂浜に綴る 大海の慈悲 終末讃美歌 故に造られ 爆弾は祈る 叶えた初恋 跡形も無く 「正す炎」

剃刀の刃では 刻めないもの 頓服の毒では 救えないもの 時を戻っても 治らないもの 茨を触れても 赦せないもの 命有る全てに 僕は懐疑的だ 罪無き誰彼に 僕は不愉快だ 神と君の日に 僕を想い出せ 嘘と闇の恋に 僕を外に出せ 「穿った心」

惑星の君に 地球は遠く 孤独な熱で 神と唄った 僕の打鍵は 背信で響き 精巧な死を 夜に給うた たった一度 音が重なり 無限の闇は 輝く舞台に その感傷が 胸で騒めき 僕は未だに 詩篇を綴る 「運命の調べ」

一粒の宇宙が 神を見逃す時 真実は正され 僕と君に廻る 太陽が慎んで 白昼も睡る時 互いを追想し 芯の底は鳴る 豚と葬儀屋が 命を讃える時 本音の傷痕も 僕は君へ語る 永遠が蔓延り 悲愴を失う時 二匹は混合し 青い鳥と成る 「スカボロ」

禿げた獣は 我に屈した 黒い御身を 手厚く磨き 毛玉を奪い 淡く微笑む 肉球よりも 我に侍れよ 宇宙の風で 声が靡けど 語るは我に 幸ある想い 泪が為せば 舌に甘えろ 我の野生は 夢へ還るぞ 「猫姫様」

天使が東京を 壊す筈だった 全ての過ちは 瓦礫で埋めて 思い出に頼る それが問題で 暗がりの声は 突然雨と成る 最高の冗談は 旧友が唄った 恋を護る楽曲 その酷い甘さ 僕を裏切って 街は今も輝く 喩え幻想さえ 我儘に病めど 「玉川フォーク」

醒めた月は 探偵と成り 裸の少女を 燈で照らす 原色の業に 独白を与え 淡く理解し 何れ忘れる 恋も暴けば 蝶よ花よと 下品に煽て 密室を成す 推理は否み 早朝に消え 高慢を酔い 永遠と睡る 「十六夜」

夢で出逢った 名も無き少女 その残り香を 未だに信じる 僕は君の事が 喉は裂かれた 僕は君の事が 腕は捥がれた 水槽の金魚を 海に還すたび 少女が溺れる 憂世と重ねた 想えば君まで 水面は揺れる 想えば君まで 辞別は冷える 「らんちう」

気鋭な豚は 真理に至り 神の不在も 祝福してる 肉の対価に 孤高求めて 学術だけを 寵愛してる 悪臭の詩情 養分の恩徳 病毒の乱舞 畜殺の感応 下らぬ情に 軽蔑を吐き 尊い意思は 発色してる 「脂肪の知」

君を革命する 悪夢に沈んで 君の征服する 肉塊が胸打つ 年頃の骨盤に 灼熱は暴れて 幼気な乳房が 猛獣を惑わす 残酷な女だと 誰もが尊べど 運命の女だと 心魂で貶める 愛して去れば 罪過に喘ぐか 殺して死ねば 安堵で睡るか 「断片オペラ」

時に紅さす 季節を誇れ 移ろう花の 耽美な自傷 君を残して 無様に闘う そんな夏も 命は混ざる 残酷なるは 想った心だ ひと際軽い 果ての産声 我を忘れて 墓前で泪す そんな冬に 誓いは上る 「死期折々」

花園で色付く 断頭台の悲鳴 非才な詩人が 末路に望む罪 脳漿の海にて 瞬きを続ける 命は証明され 老親が憐れむ 無残な呪いを 誰もが投じた 砕ける果肉は 唯一の祝福か 糾弾の声すら 静謐に縋る頃 地獄が再演し 魂は筆を折る 「死の王」

眉間を貫く 無垢な銃弾 荒む花壇に 墓標が並ぶ 泪の生血で 理性を失い 餌が誘えば 初恋は背理 君は此処で 幸せと遊び 僕は何処か 哀愁を遺す 悪魔の舌を 指に絡ませ 青い狂熱は 偏愛と至る 「禁ずる児戯」

廃線と成った 肯定の神経に 僕は苦悶して 芸術を演じる 美しい嘘だけ 花言葉を与え 詭弁の誤りが 庭園に広がる 心に獣を飼い 躯に愛を託す 不憫な生涯も 彩色は綺麗だ 二人は大丈夫 完璧に死ねば 醜い独白さえ 泪と育たれる 「美観寓話」

多感な胸に 哲学を彫る 苦悶孕んだ 死者の口癖 初恋に似た 暴力を知る 心は渦巻き 青痣へキス 感嘆符多く 未読少なく 貴方の分も 泪を流すよ 土を離れて 空に紛れて 国は忘れて 翅が躍った 「イェンタウン」

自己矛盾の中 電脳繋ぐ僕は 希薄な現実に 訣別を告げた 罪多き数式は 深刻に間違え 情報の娼婦と 夢を囁き合う 統合に囚われ 強く打鍵せど 外界の酸素は 未だ圧を宿す 脊髄の回路に 炎が薫りだし 境界を失えば 魂も暴走する 「プログラム」

広がる血痕 死神の絵画 狂った時計 静かな独房 夢の淵では 小さな子供 蟲も殺さず 笑い転げた 薄倖は刻む 過ちは迫る 直感は騒ぐ 疾病は犯す 照る太陽に 怯えて綴る 今更悟った 生への恋文 「或る極刑」

夏草の毒素に 死を想う娘は 慰めに囀るよ 懐で銃が泣く 雨宿りの闇に 愛を結ぶ恋人 星々は憧れた 懐で銃が泣く 前世の追憶に 悲愴描く詩篇 全ては絶望か 懐で銃が泣く 心に富を秘め 幻は風と去る 誰しも疑わぬ 懐で銃が泣く 「ピストル」

先ずは言葉 不死の人格 為さぬ弔い 繰り返す夢 才に及ばず 祈りは怪物 神も裏切る 屍肉の不正 終わる御霊 価値は哀情 煌めく指環 被験する僕 傷を纏った 犠牲の胸中 君は常しえ 信じる限り 「義魂の器」

乳房の谷間で 寝息を立てる 貴方が愛しく そして淋しい 月と告げては 私に依るのに その温もりが 何だか怖いの 砂糖が融けた 夢を廻るなら 私と出逢わず 不幸でいてね 濡れた睫毛は 貴方を望むよ 夜の質さえも 無縁な部屋で 「昏い余韻」

白紙を恐れ 育む落書き 苦し紛れに 文学と云う 道端のゴミ 黒い排ガス 醜さを問う 僕は美術家 綺麗な色に 何が救えた 淡い詩情を 壊して回る 泪が出る程 死を望む程 尊く想うよ 君は暗がり 「ジャンク」

紅を差す僕が 不実に濡れて 背徳の鎖骨は 青白く汗ばむ 蟲が湧く花に 自らを重ねど 違和感だけが 人生の本性だ 憧れで穢れる 悪趣味な恋に 小指を繋げば 呪いが彩った 幻肢の子宮が 矢鱈と痛んで 偽物な真実に 心は夢精する 「孔雀の鏡」

鎖で縛った 寵児と歩く 身重な母の 可愛い笑顔 愛犬轢かれ 壊れた僕が 烏の目玉で 至った思想 制服乱して 頬寄す二匹 天使も騙す 恋人の仮面 其れは常夏 永遠を知る 喩え罪さえ 絶滅しても 「ワンカット」

仮定を楽しむ 副産物の生涯 僕は貧乏性で 論争に白ける 病の一目惚れ 患者が囁けば 自らを棄てて 理想で演ずる 情を掴む声に 本心は不感症 知られ蔑まれ 音も無く孤独 蝶は色に集り 恋は色に盲目 狂宴で誰かが 獣を懐妊する 「ヘイト」

光へ墜ちる 辞世の声に 遠のく空が 歪んで黙る 君が神なら 全て道連れ 交差の前に 約束をした 粒となる躯 波となる命 早々に逢い 想定に別れ 粘つく唾を 聖性へ吐き 甘い冒涜に 夜が照らす 「ネオン」