ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

森が見殺し 木蔭で睡る 君の鎖骨に 口紅を塗る 薄目で眺め 指が紡げる 呪文を唱え 舌は溺れる 街が見離し 末路で実る 君の名残に 善人を去る 乳房で鎮め 頬が讃える 叙景を与え 肌は亡べる 「ロマンス」

漂白剤の泡に 心を奪われて 輪廻が交わる 鮮烈な午前だ 騒音で悟って 振動に縋って 色は淡くなり 魂を浄化する 万年筆の墨に 命を穢されて 死生が迷える 陰鬱な深夜だ 横紙で黙って 散文に下って 罪は重くなり 紫を希望する 「カルマ」

蛆虫が祈る 平穏な肉へ 僕は殺され 熟していく 森の暗闇で 温い孤独が 静かに謳い 月は嘆ずる 真実が罹る 安全な枷へ 街は犯され 育っていく 骨の幸福で 悪い理想が 僅かに叶い 神は厭がる 「免罪死」

十字架の岬で 僕が視た色を 君に紡ぐまで 恋は残される 愛しい目蓋に 清潔な約束を 雨で微睡んだ 朝の狂おしさ 不条理の命で 君が得た熱を 僕に捧ぐまで 嘘は想われる 空しい悲哀に 寛容な結末を 毒で目論んだ 夜の悩ましさ 「貴い幸福」

淡い酸欠に 畸形の太陽 真実は乱れ 売春をする 逆さの花に 切なる氾濫 臓器は蠢き 嘘みたいだ 永い洗脳に 正義の迷宮 才能は溺れ 推敲をする 悪さの痕に 聖なる想念 論理は慄き 愛みたいだ 「性の病」

看取れぬ心を 罪だと呪えば 百合の嘘さえ 切なく薫った 曇った硝子は 小言で揺れて 貴方の季節が 素肌に刺さる 千切れぬ鎖を 愛だと想えど 無知の露だけ 永らく啜った 迫った真理は 悲愴で満ちて 天使の墓穴が 虚空に埋まる 「ロス」

傲慢な鳩は 死肉に還る 正論だけを 醜く刻んで 蟻の行進に 吸殻が落ち 傷つく歓喜 灼ける信念 貧相な蘭は 堆肥に弱る 芸術だけを 儚く望んで 猫の独裁に 大雨が降り 毒づく歌唱 忌める箱舟 「最小黙示録」

珊瑚礁の底で 溺れた小魚を 静かな永遠は 泡にして悼む 星座が悟った 霊魂の在処に 僕は翅を重ね 天高く落ちる 鉄格子の中で 怯えた姫君を 愚かな幸福は 夢にして描く 賢者が祈った 鮮血の思想に 僕は嘘を育て 心無く混じる 「深淵寓話」

詩の証明に 嘘が瞬いて 苦い雨から 終末を編む 白痴に任せ 混在が咲く 惜別を知り 幻肢で佇む 智の暴虐に 罪が囁いて 聖い痕さえ 本性を忌む 夢想に溺れ 輪郭が散る 妄言を吐き 理由で苛む 「語の自死」

急逝した父は 情けない僕に 雨の堪え方を 仄暗く教えた 凍えた悲愴を 詩情に捧げて 淋しい病魔は 言葉で散らす 肯定した君は 叶わない僕に 恋の生き様を 罪深く結んだ 刻んだ禁忌を 素肌に宿して 正しい歴史は 愛撫で融かす 「混成の泪」

雨の靴音に 焦燥を憶え 気弱な窓は 自傷が続く 歪んだ円を 盲信してる 心は育って 思想に至る 神の好物に 隣人を捧げ 多剤な罪は 依存が恵む 択んだ嘘を 溺愛してる 命は廻って 因子に宿す 「狂う密室」

文字盤で刻む 克明な詩篇に 墨の獰猛さが 罪深く沁みる 美しい装丁は 命すら磨いて 群星に託した 百年後の初恋 気管支で憎む 簡潔な台詞に 空の冷酷さが 心無く落ちる 忙しい肉筆は 暦すら裁いて 折紙に隠した 五秒前の遺言 「朽ちぬ枯葉」

朝の気配が 枷を造って 酷く器用に 泪で微笑む 毛布の外は 残忍として 何を祈れば 神に還るか 霜の死生が 熱を奪って 永く一緒に 心で打消す 依存の底は 薄倖として 誰を殺せば 恋に届くか 「切なる猫」

女なる臓器は 雷光を抱いて しかし体温に 慈愛が湛える 直観を恐れず 我欲に遊べど 屈強な正義は 一等星と成る 男なる機関は 数式を束ねて しかし神経に 空虚が連なる 聖域を認めず 理性に啓けど 繊細な不穏は 肉食獣と成る 「プロト」

図書の檻で 叡智を殺し 褪せた骸は 配列させる 悪い娯楽に 古き犠牲者 全て奪って 墓標を望む 文字の熱で 苦悩を燈し 熟れた瞳は 判然してる 碧い夜空に 聖き地獄図 全て悟って 憂世を恵む 「読本症」

魔法瓶の中で 育った僕等は 邪悪な喧騒に 穢れず恋する 隔てた外気に 氷河期を想い 拙い触れ方で 強く共振する 黙示録の底で 紡いだ詩篇は 非情な観念に 罹らず唱する 重ねた美学に 世界史を創り 尊い言の葉で 深く結実する 「無垢な器」

君の悲恋は 永久機関だ 転生しても 必然を惹く 傷つく儘に 心を見つけ 叶わぬ罪で 言葉が遺る 僕の真理は 暴力映画だ 禁圧しても 本性を剥く 亡びる程に 命を散らし 奪えぬ善で 空虚が埋る 「鬼ゴッコ」

心電図だけが 死生を記して 永訣の含意に 正しく答える 透明な余熱は 嘘で塗装して 美談を積れば 花束が色めく 鎮魂歌さえも 詩性は薄れて 残骸の論理で 等しく亡びる 曖昧な差別に 神が作用して 慈愛で包めど 哀惜を息づく 「彼岸の幻」

獄中で縋る 啄木の難は 騒ぐ星々を 他人にする 生温い臓器 貧困の思想 遠のく絶叫 狂える空腹 病床で辿る 久作の嘘は 喘ぐ亡霊を 正気にする 垢臭い毛布 執念の文理 揺めく点滴 呪える独白 「死の活字」

詩で魘されて 深淵を迷えば 言葉の小雨が 頬に流れ着く 音韻が撫でて 文調に更けて 含意で震えて 心象は燃ゆる 楽園と悟れば 夜は美に罹り 才能を憎めど 神が智で正す 静謐な狂信よ 僕の胸で睡れ 厭世した仔に 魂が降るまで 「詞の裡」

癇癪の業で 生傷纏えど 心が渋滞し 暴発する病 少女を孕み 鉄風に触り 刃の想いも 音律と化す 鬱憤の闇で 煙炎祓えど 命が沸騰し 慟哭する瞳 焦土を睨み 遠雷に怒り 骸の呪いも 切言と成す 「血の歌姫」

緻密な眩暈で 故郷を燃やし 悪どい神々に 天罰が落ちる 春の川辺には 桜が咲くから 君を愛しても 雨で痛むから 不幸な言葉で 理由を亡くし 淋しい虐殺に 感涙が満ちる 朝の野山には 兎が跳ぶから 君を遺しても 夢で話すから 「八分の乱」

星を追う蟲 夜は陰鬱で 街燈の瞳も 空虚に濁る 履き違えて 恋に傷つく 翅が歪んで 崇拝を乱す 喉を病む鳥 朝は潔癖で 静謐の刃も 不法に怒る 縒り戻して 罰に息づく 歌が霞んで 存在を犯す 「中庸な苦」

粘つく哲学は 悪魔の論理だ 地獄で唱えて 楽園と信ずる 膣の歯並びに 狂人は恐れる 恋を甘く噛む 寵愛も知らず 警鐘の響いた 脳髄を悼めば 構造に反した 錯覚が微笑む 思想は分裂し 君の指で編む 融けた罪悪が 僕を星に成す 「宇宙神話」

本物を観た 完璧な朝に 嵐が求める 花々だった 僕は荒む蟻 遠回りして 苦悩を犯し 空腹に踠く 冒涜を観た 潔癖な夜に 心が薫らぬ 喪失だった 僕は傷む罪 逆恨みして 憤怒を燈し 切実に背く 「虎に成る」

悩む火達磨は 追憶に融ける 自閉した雨が 空しく癒せど 至上の苦痛を 静謐で経れば 善なる断罪も 滑稽さに還る 妬む避妊具は 鬱憤に肥える 疲弊した紙が 正しく至れど 背理の使命を 大罪で成せば 真なる実存も 醜悪さに下る 「ゴミの日」

片翼の詩が 惑わぬ為に 僕は亡骸で 道程を焚く 死灰に宿る 切望を舐め 杏の花だけ 嵐で散るぞ 雷鳴の目が 恋せぬ為に 君は青空で 静謐を編む 酸素に残る 今更を知り 命の露だけ 泪で割るの 「葬送曲」

水の泡が語る 美しい生涯は 君を困らせて 最上に還った 荘厳な星空に 海は恋焦がれ 潮風の吐息で 肯定を望んだ 銀の月が燈る 芳しい情景は 僕を励まして 鏡面に残った 繊細な波音に 夜は夢見つけ 満天の詩篇で 永遠を結んだ 「彼方のキス」

死神は憂い 命に触れる 思惑も無く 菫が咲いた 感性の吐血 祈る空想屋 冬より暑く 夏より寒く 恵風は詠い 刃に化ける 哲学も無く 瞳が沁みた 裏腹の芝居 悟る走馬燈 藍より赤く 紅より青く 「受難の痴」

夜行性の嘘は 屋上から落ち 初雪みたいに 睫毛を湿らす 僕は淋しくて 全て雨にする 君が微笑めば 甘い死を祈る 黙示録の恋は 心臓すら灼き 芸術みたいに 讃美を想わす 僕は嬉しくて 全て声にする 君が赤らめば 永い詩を綴る 「星に編む」