ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

煌めく街並に 翅が生えた蛹 宇宙を流れた 殉教者の霊魂 神々が正した 初春の独り言 幽かな聖歌に 依存する精気 色づく惜別に 夜が沁みた瞳 輪廻を描いた 希哲学の鉛筆 薄雪が眺めた 硝子の片想い 静かな末路に 自壊する怨嗟 「ループ」

被曝の種を 蒔いた校庭 花が薫って 虐殺となる 畸形児達に 一滴の智を 誕生嘆いた 温厚な母親 平和の闇を 知れた教室 恋が育って 輪姦となる 慈善者達に 一塊の死を 贅物与えた 閑静な傲慢 「モラル」

老いた愛犬が 宵闇を吠えて 命は此処だと 神様に告げる 悲愴な畏れを 見つめる瞳は 聖なる無心で 光彩している 負けた怪物に 満月は射して 骸を抱けども 足音が過ぎる 毛並の軽さで 枯れない泪は 夢見る奇跡を 哀願している 「頬舐めて」

僕の毛皮は 外套と化し 甘い少女を 貞潔に成す 硬質な骨で 讃歌を叩き 薄い筋肉は 高音に響く 僕の脂肪を 食卓に盛り 聖い寵児は 祝福と知る 敬虔な脳は 詩情に応じ 熱い心臓で 共鳴を刻む 「想う瞳」

睡魔が齎した 自衛する外殻 真実は掠れて 世界線を編む 僕は女学生で 裾に花の刺繍 天国を軽蔑し 恋だけ残った 僕は非常食で 肉に神の御業 暴食を憧憬し 骨さえ与えた 僕は大宇宙で 君に夜の記憶 幸福を栽培し 空から零した 「善なる夢路」

雨の予報で 厭世が満ち 攫った娘を 気丈に殴る 青痣舐めて 熱は乏しく 愛の夢想を 何度も囁く 春の絵画は 永遠に消え 残った心で 子宮を憎む 生贄焼いて 恋は貧しく 肉の舞踏で 星座が嘯く 「暴力器官」

天使の体温が 届かない街で 優しい毎日を 捜して凍える 人肌を売る娘 寵児で焚く炎 霊水が暴れて 喉に刻む警告 不実の胃袋に 還れない肉は 正しい空色も 判らず迷える 怨恨で鳴く烏 侮蔑を知る暦 面影が遺せず 夢に沈む幸福 「灰の箱庭」

古い重圧は 夕凪を知り 時の静止に 泪が流れる 雑多な恋に 初雪が積る 滿汐の闇は 永遠を描く 硬い叢雲は 沈黙を問い 神の屍骸に 菫が溢れる 可憐な蝶に 正夢が宿る 占星の業は 運命を繋ぐ 「詩の片鱗」

大洋に沈んだ 穏和な石鹸は 荒波を嘆いて 美しく融ける 清潔な血肉が 潮を撫でる程 存在の毒素に 可能性は死ぬ 夕闇に滲んだ 寡黙な口紅は 煉獄を願って 芳しく灼ける 厭世な色気が 骨を揺する儘 黄昏の詩情に 塵理論は熟む 「宿命の枷」

二匹を包む 軽薄な毛布 夢に憶える 愛の抜け道 薬が廻って 浮つく告白 闇で嘆じる 君の甘い舌 明日を否む 静謐な末路 窓に湛える 星の雪融け 心が亡んで 傷つく永遠 胸で詠じる 僕の悪い嘘 「ヴァニラ」

煤けた老婆も 下着を捲れば 露骨な古傷に 性欲が粘つく 静かな暴力で 煮滾る儀式に 腐った歯垢を 唾液と絡める 萎れた乳房が 不浄に誘えば 異様な産声で 贅肉は震える 淫らな醜悪に 事足る子宮が 疼いた乙女も 極地へ花めく 「ケタケタ」

悲痛の檻で 歴史を呪い 記憶や罪に 盲目と成る 苦悩の闇で 理由を求め 名残や痕に 強欲と成る 空虚の海で 不実を感じ 夢想や嘘に 泡沫と成る 児が永遠に 残酷ならば 胎を叩くは 神秘な肉ぞ 「死の曲調」

泣き虫が瞬き 君は微笑んだ 上手に諦めて 鏡を砕く毎日 智は誰しもに 片隅の高潔を 恋した算式が 美しく仕えて 裏切りが轟き 僕は青褪めた 必死に貪って 命を嘆く人々 主は共喰いに 一匙の感動を 古びた偏見が 忙しく演じて 「ウル」

僕を微分し 時が静まる 永い瞬間は 天球に亘る 演算は想い 色相を知る 数の坩堝が 索引に至る 君を誤訳し 愛が高まる 強い文脈は 心臓に廻る 草稿は謳い 運命を縒る 裡の絵柄が 論証に燈る 「パレルゴン」

紫煙の梯子が 天国へ届けば 恋する時間は 乱暴に始まる 虐殺を命ずる 正論に溺れて 性欲で動じる 幸福が腫れて 悪魔の御業が 証明へ誘えど 罪なる苦悶は 存在に交わる 尊厳を悼める 転調に壊れて 愛着で包まる 純真が触れて 「蜥蜴」

東雲の雫に 街は怯えて 鈍い彩色で 憂世を描く 中央線走る 親しい凶器 羽搏く骸を 進軍で刈る 精霊の扉は 天に聳えて 重い吹奏を 奇跡で紡ぐ 神経症孕む 正しい背理 受継ぐ泪で 楽園を忌む 「堕善の国」

嘘吐きの神に 幸せを問えば 径で咲く花が 大切だと語る 夢見る乙女に 幸せを問えば 肌で知る恋は 永遠だと囀る 傷付いた犬に 幸せを問えば 肉で足る夜が 極上だと猛る 頑固な貴方に 幸せを問えば 闇で泣く僕は 残酷だと罵る 「終末論」

筆談で騒ぐ 少女の玄人 授業破綻に 爛漫と興る 校長の臓物 優れた精液 偉大な密教 気高い貞操 善心を隠す 孤独の素人 異端分子は 丁寧に捌く 禁則の青痣 腐った黒猫 愉快な絶望 根深い退屈 「ミニスカート」

朝化粧終えて 樺の枝を折り 窓辺に縋れば 神も見逃した 生憎の大雨に 傘は合唱して 汚れた革靴が 憂世を見通す 共依存止めて 骨の芯を噛み 悪夢に学べば 嘘も見離した 蜜月の結末に 熱は消失して 迎えた秋風が 言葉を見下す 「或る瞳」

全ての業は 後追い自殺 我情で毀れ 時と交わる 遣り直して 隣に居たよ 繰り返して 心を視たよ 古い現在に 骨底は鳴く 温い大雨で 脚色が帰す 微笑む君が 嘘を唱えた 終止は常に 必要だから 「エミリー」

黒い地球儀を 大切に抱いて 僕の運命だと 固く予感する 臆病な詩篇は 賤しく訳され 歪んだ器官が 同調を起こす 聖い不条理を 盲目に浴びて 君の幸福まで 深く理解する 静謐な思想は 哀しく結ばれ 滅んだ季節が 掌編を果たす 「一日花」

僕の鍵穴は 誰も択ばず 温かい雨で 敗血してる 恋は逆しま 心臓の隣に 秘匿と註す 扉が在るの 深い孤独は 高潔と成り 青色の烏が 幸福を漁る 自由は軽率 命に羞恥を 蟲食む儘な 嘘の芸術よ 「新生神話」

戦場の調べは 恋人に捧げて 美しい叡智が 青い空を裂く 死の収穫祭に 兵士が踊るよ 陽気な銃弾で 頭蓋を砕く程 静寂と喧騒が 重なった密林 悪戯を村民に 振舞った爆薬 発情期の娘も 天国へ誘えば 英雄は夢見る 母性を啜った 「エネミー」

集落に降る 歴史の御業 心象で観た 空は何処へ 奇を衒って 踊る被写体 虹色の油が 眼球に浮く 憤慨に足る 焦土の死臭 全能を経た 神は何処へ 血で洗って 交る不条理 銀製の命が 略奪に咲く 「ファイア」

籠の中で詠む 翅を捥いだ蟲 歳月に残され 酷く憧憬する 嘘を吐く程に 感情は混濁し 美しい執念で 脳の底が響く 罪の種で編む 生を懸けた色 運命に貶され 強く閃光する 君を待つ夜に 幻覚は盛装し 忙しい疾病で 骨の髄が騒ぐ 「詩蛍」

肉を傷付け 癒せる指は 背反せずに 存在してる 私の恋する 静謐な舞が 怯える命を 端然と解す 力を入れず 純朴な軌道 瞳で撫でて 臓物の素顔 尊い初夜が 幕を下せば 私は祈るの 神託の智に 「メスの詩趣」

初雪の錠剤で 神様に近づく 喉が溺れる程 聖水を求めて 鮮やかな夜に 時が遅延する 踊るのは爪先 発作的な射精 寵愛の分泌で 実存に遠のく 音が迫れる儘 体熱を高めて 賑やかな脳に 月が指図する 睡るのは祝福 未成熟な輪廻 「沸騰死」

贋物の神が 君を救った 幸福も引く 聖い憂世で 僕は幾度も 散歩に誘う 愛の造型を 描きたくて 疫病の謳が 君を襲った 約束も散る 重い闇夜で 僕は最期も 真理に否む 嘘の体温を 信じたくて 「ペテン」

「ベニー」「Re:ベニー」より

悪意無き瞳に 絆された私は 監獄の窓から 月灯りを知る 正直な凶行を 不明瞭に嘆く 脆い邪魔者は 古びた道化だ 暗む旅で視た 逞しい背中に 同じ発音の癖 ただ純粋な心 貴方の残酷も 子宮で愛しむ 凍えた絶望が 幸福に等しい 「Fw:ベニー」

白き喪服が 列成す朝は 寓話の如く 生を想った 薬液が薫る 鉄窓の中で 否めぬ病に 永遠を悟る 狭き脳裏が 掘出す闇は 刑具の如く 罪を数えた 掌編が埋る 隔壁の端で 望めぬ証に 刻印を削る 「狂した砦」