ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

心の廃墟に 眠る赤子は 乳を忘れて 奇妙に育つ 歪めた瞳は 責苦を信じ 数多な舌で 品無く啜る 縋る亡者を 黙殺せねば とうの昔に 骨と成る母 顕わな欲が 僕さえ毀し 鏡の悪意に 畸形を叫ぶ 「魂の不具」

君が語るは 御伽の恩愛 偽造な僕に 冷血たる雨 触れた泪に 檸檬が薫る 不随の追想 脳裏は断裂 凡そ映画な 乙女座の恋 背く次元に 蝶が食む夢 紅が艶げな 幼い魔女よ 冥護の猛毒 輪廻は不実 「蒼い檸檬」

泣き顔に宿る 残虐な悪魔の 美しさを悟り 僕は隣で綻ぶ 君は一人でも 大丈夫な筈だ 結局淋しさは 雨の中の泡沫 腕を刻んでも 誰もと寝ても 少女の尊厳は 鏡みたく澄む 墓前で乱れる 君の子供心に 存外救われて 僕は旅立つよ 「鏡占い」

平和の唄に 鳥肌立てて 語る善意の 無益を睨む 傲慢なれば 信ずる儘で 独裁の熱と 区別は非ず か細い私は 恩義に重ね 兵隊さんの 浄土を祈る 広島生れの 戦争知らず 薬に依存し 愛など散す 「憐れな私」

檻の中の生涯 見世物は誰だ 年頃な幼げも 泪の痕も隠し 脆い物を恐れ 鋭い牙を恥ず 花に憧れてた 闇夜の影の中 親さえも貪り 白痴を貫いた 畸形故の愛に 心が絶叫せど 最後の舞台は 上等な革靴を 帳尻が合えば 天国は死刑台 「鉄の虫籠」

宇宙の恋は 時空を歪め 星座が胸で 騒ぎ始める 引力に誘い 斥力に悩み 恒星の色で 恋文を書く 法則通じぬ 一目惚れに 光を超す程 夢中でした 君も仰いで 喜べば好い 僕が贈った 銀河の夢を 「彗星の花束」

墓と埋めた 一丁の拳銃 狂った冬に 恋しくなる 雪が重なる 咎人の街で 震える僕は 熱情も無く 骨を荒すは 切な依存に 不能な凶器 不滅な正気 儀式の如く 真剣な顔で 白に赫にと 引鉄を引く 「最小テロル」

死神は嘆いた 目醒めた夢に 嬉し涙を流す 朝が来たから 制服に着替え 寝癖を整えて 林檎一つ齧り 学校へ向かう 友人に声かけ 女子を気にし 授業で呆けて 夕闇から帰る 禁忌を回避し 空回る日々で 一心に想うは この嘘の価値 「死神」

老婆のスウプ 肉塊は弛ませ 骨髄を溶かし 浴槽で煮滾る 貧民のミンチ 丁寧な強圧が 一口大に砕き 線路で集める 青年のラルド 駄肉は削られ 糞尿を絞って 大木に下がる 少女のチーズ 蛋白を注いで 湿る土へ埋め 孤独に強いる 「グルメ」

哀惜だけを 形見に残し 痩せ細る儘 微笑む人よ 全て嘘なら 汗ばむ夜を 二人は裸で 啄み合えた 砂浜を嫌い 海に委ねば 遠い国へと 波が運ぶの 人間て言う 悪夢を僕に 君が齧った 林檎の甘さ 「病床のキス」

弱過ぎた僕は 火星へ旅立つ この言葉らに 頷く人を求め 偏に元気でと 遺物に泪する 楽園を盲信し 慄く指を齧る 浮世は邪悪だ 幸福は絶望だ 僕の存在こそ 解釈の欠落だ 弾道弾の背で 宇宙に恋する 炸裂の炎の中 心から恋する 「僕の火星」

考え無しの 僕達だから 理由を忘れ 不幸と遊ぶ 指輪の痕は 失落論だよ 卑怯な罰を 勲章にして 命は粗末に 流行る哀傷 亡骸触れて 泪に信ずる 無情の人を 憐れと嘆き 悪党気取り 文学を為す 「バカな痛み」

恥らう病に 僕の躊躇い 窓辺は別れ 動悸が煽る 作法に倣い 胸打つ儀式 落下が隔て 遺る留守電 怒号の騒ぐ 夢か浮世か 迫るは激痛 淋しい答え 迷惑厭えて 薄れる好奇 毀傷と葬る 是からの墓 「潰える断片」

全てを看破す 三日月の瞳が 屍臭に甘えた 病魔を見守る 難波船で呪う 憂いた泣き痕 革命児を殺す 血躍る眼差し 下品な夜さえ 死に際の恋に 刃物が喘ぐと 刹鬼は微笑む 僕も狂おしく 灯りに偲ぼう 逆さまの愛へ 亡霊を求めて 「亡き月」

君の甘雨が 嬉しかった その懸命に 救われてた 君の囃子が 眩しかった その調子に 微笑んでた 君の紅葉が 愛しかった その内気に 期待してた 君の初雪が 切なかった その輪廻に 純愛してた 「ヒトトセ」

僕の生涯は 稲妻の如く 激しく求め 無益に没す 青春盛りの 映画を厭い ただ永遠に 心を寄せる 俄かに笑い 自我を失う 僕は孤独な 性の道化か 別れに紛れ 口癖と成る 醜い畸形は 語りで騙る 「要介護」

僕らは切な 死刑囚なり 必ず了える 慕情を以て 心が赦すは 偽物の星座 名前を与え 神話に唄う 審判の刻は 愛を証する 最も罪なる 純度で保ち 腐った器を 墓に渋るな 想いは既に 天使の餌ぞ 「生刑」

白亜紀の焔 呪う残滓が 脆い化石を 荒々と砕く 骨に性根は 含有されず 砂と還れば 夢も忘れる 路地裏に闇 少し淋しい 蛆の踊り子 偏食をせず 肉の行方は 花と喩えよ 淘汰に育ち 万物で咲く 「終息の調べ」

撫でて可愛い 甘える貴方に 髪こそ絡まる 名残惜しげに 他人の儘では 不安な素肌が 胸で泣き出し 繰り返すだけ 台無しな夜は ただ心地好く 僕の手つきに 震えて噤むを 孤独に慣れた お別れだから 微笑む寝顔は 残して往くよ 「臆病な蝶」

屍鬼の群生は 通り雨を嫌い 或いは十二月 人の夢を見る 雪が覆うのは 淋しい喰残し 全て隠れたら 嘘を狂信する 瞳を逸らせば 泪も流れるか 冷気を食めば 渇きも止むか 残虐な桃色が 顕れる恐怖よ 何れ春は来る 何れ春は来る 「終焉の雨」

死を背負い 愛を論ずる 善人なれど 敬えぬ手法 切り札なる 命を贄にし 語る言葉は 醜いものぞ 死後は無く 世は滅する 少女が縋る 最終の哲学 日記に綴り 萌した真理 その美しい 核心の瞳よ 「死想の娘」

常夏の通学路 制服は海の風 青春に回り道 感傷が大騒ぎ 地中に眠る塔 天使を狩る鬼 弱虫が護る街 僕達の罪と罰 友人が屍体役 選民は哲学者 愛着の失楽園 結末も他人顔 十字に結ぶ焔 苦悩を蕩る水 祝福と信ず君 混成が神の型 「新世の糧」

眠剤に逃れ 自らを廃す 舌打ちした 世界の終焉 物語を演じ 理想に惑う 僕の翅では 空は遠くて 心髄の底に 根拠が宿る 必要なだけ 改変は続く 本物の躯が 呼吸を迫る 泪してみた 影も忘れて 「楽園レム」

指輪に誓った 言い難い約束 彼女は其れを 呪いと言った 少年を辞めた 僕の闇夜には 多情を気取る 文学が在った 猛毒の避妊薬 真鍮の髪飾り 透明な下穿き 最低な金三枚 君を縛る物に 僕は財を捧ぐ 知る為の伽が 僕達の地獄だ 「買った少女」

手首を削る 安全刃の愛 貴方は唄い 湯船で眠る 線路の上で 汚れ役の儘 陰気な僕は 詩情を語る 落下音には 奇妙な伴奏 炎の熱さに 醤油の薫り 暴力映画に 羨望で泣く 理由を頂戴 声は閉した 「フィブラ」

繰り返す夜 君の涙声に 心で誓った 全てを騙せ 僕の世界で 僕の時間は 僕の叛逆を 僕に償わす 君の仕草も 君の匂いも 君の温度も 君に充分だ 嘘が降る空 真実の海で 僕は不正に 魂を費やす 「運命の悪」

オンラインストアの案内。

先日、文学フリマで販売していた単独処女現存詩集「連続性に乏しい僕ら」がこのたびオンラインストアで販売される事になりました。 本を簡単に説明すると、ネット上で「ライトポエム」と銘打ち書いた四行四連詩を纏めた詩集と成ります。 文学フリマに行けな…

胃腸は想う 主の不安を 全て嘔吐し 観る風景を 腎臓は想う 主の怒りを 毒を啜って 濁した朝を 精巣は想う 主の失意を 孤独に眠る 暗黒の恋を 心臓は想う 主の幸せを 我が宿命に 背きし刻を 「臓物の心」

巧い我儘 使い分け 迫る彼が 嫌いです 短い映画 人が死ぬ 永い恋も 人が死ぬ 大切な人 奪われて 倖せ祈る 馬鹿の儘 僕は善人 地獄行き 敗北の朝 彼のキス 「惹く乱暴」

生の余罪は 死の冤罪に 葬られたら 残るは花束 我在る故に 思念が至る 気配の心は 憐れな創作 終焉は時を 無限へ広げ 脳は刹那と 迷子に陥る 唯一示すは 美醜の哲学 詩人は墓で 羞恥を語る 「シゴナシ」