ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

筆を折って 手首を刻み 本を焼べて 背を丸める 臆するなと 応援すると 勝手な人が 勝手に言う 生は生とし 死は死する 綴る言葉に 神は宿らず なのに僕は 詩篇に祈り 心の根から 壊れ始める 「徒労は仄かに光る」

花嫁の君が 廻され廻って 下品な女の 匂いを漏らす 毎晩儀式で 君が善がれば 確かな愛も 塗り潰される 白無垢乱れ 赤色は点々と 蜜で咥えた 道のりを示す いつか心が 毒を呷るまで 僕は明日も 君を花とする 「蓋乱村」

生首の花から 蜜が滴るのを 舐める甘美に 童心は高鳴る 壊れた犬猫に 入れる電池の その数を競い 最強を決めた 好きな少女を 石で殴り続け 柔い剥き身へ 必死に腰振る 子供ながらに 幸いと遊んだ 故郷の夕焼け 心地よい悪臭 「無二の郷愁」

海を知らず 鉄骨の森で 規則正しく 餌を貪れば 選民ヶ丘を 迂回した後 奴隷工場で 働き続ける それは幸い 心知る日々 小柄な愛も 大事な物だ 海の煮汁は 自我の猛毒 啜れば渇き 地獄に縋る 「大海知るな」

生き辛い夏に 死を望む冬は 僕の歩調だけ 急かし続ける 泣く暇も無く 足取りは孤独 生傷だらけで 一つ嘘を吐く 道を外れては 遠回りをして 正しい人々の 見世物となる 運命の多情に 苦く微笑めば 足から崩れて 春が塗り潰す 「晩秋と無才」

車を犯す竜に 理屈は必要か 歪んだ愛だと 咎められるか 受け継いだ愛 夢の醒めた愛 君に微笑む愛 雨が憂鬱な愛 僕も気づけば 愛していたよ 何者で在れど 不正に映れど 自動的な愛と 僕だけの風景 それでも竜は 気高く飛ぶぞ 「竜の片想い」

深淵に甘んじ 絶望気取れば 僕は天使とし 扉を叩けたか 愛を嚥下して 知って願えば 手すりの先に 魂を逃せたか 宿り木で休み 夜へと逃げて 尊厳を枷とし 神託を唱える 暗い死の中で 切実に想えど 最後の恋文は 文学と成るか 「屑の華」

清潔な鳥かごで 心臓に蕾を抱く 咲く頃合を知り 僕は目を細める 強く根が張れば 執着を吸い上げ 時折痛む合図で 日記が汚れてく 冷たい手を握る 貴方の淋しさに 僕は口を噤んで 遠い空を眺める 赤い花弁を望み 呼吸さえ諦めど せめて楽園へと 哀しみを拐かす…

醜女を殺し 高笑いする 屍体は洗い 化粧を施す 魅惑に飾り 腹を抱える 死が齎した 愛され方よ 下劣な癖に 勘違いして 女が武器と 痴情に縋る 今では僕の 慰みとなり 脳も腐らせ 実に愉悦だ 「汚れた恋人」

僕は壊れていく 白髪も生えずに 小皺も刻まずに 歯茎も衰えずに 腸の匂いのする ため息を重ねる 手足は我が儘に 反応を拒絶する 絶望の通告には 常に沈黙を貫く 沈む磔刑の中で 算数を脳で解く 何一つ信じずに 何一つ感じずに 僕は人を終えて 肉塊の夢を観る…

小部屋の隅で 嬌声を上げて 恋の副作用に 優しく触れる 惨めな気分も 冷たい自我も 必死な手首で 振り解いては 好きの本能に 汚れた酸素は 想い出を背き 乱暴にさせる 腰が砕けたら 殺戮を包んで その度目尻に 夜露が流れた 「やれやれ」

幼いブラの心地に 土足で花を荒らす 監獄では猫になり 紺スカートを捲る 現代文な拷問には 黒いリップを塗る 読み上げる文学を 全て恋愛観で汚す 世界が終わる漫画 今は退屈な序章で お姫様の恋敵にと 可憐な僕を添える 家畜の利口な声で 察する姿が嫌いだ …

果実を齧る 少年の横顔 凛と整えば 清涼に薫る 浮いた肋骨 痩せた太腿 鋭い目元が 挑発に視る 貪りたいと 喉を鳴らす 貫きたいと 痺れ始める 白い首筋に 犬歯を立て 脈動裂けば 性も砕ける 「青い少年」

白いベッドの上 泣く恋人の気配 囲んだ精密機械 継ぎ足す栄養剤 家族の霊的小話 外科医師の悲観 金銭と愛の違い 水に挿す白い花 伸ばせない指先 謝れない口と舌 泣けない表情筋 逃げれない足腰 凍える程の歳月 疲弊の末の切断 心からアリガト 遠い遠い賛美歌…

ある一篇の詩に 片想いする少女は その恋の正気を 疑いもしなかった 学舎に詰込んだ 他人の浮き足など 愛想で取り繕い 不快にさえ感じた 不用意な舌禍が 少女を虐め抜けど 想い人を呟けば 孤独も温かかった 一節一節が甘く 熱が高鳴る詩篇に 貴方が全てだと …

完全犯罪の夜 僕は長靴を履き 蛇口を捻って 罪を洗っている 心に嵐を宿し 丁寧に磨いたら 桃色の心臓が 僕の口腔で踊る 手套を着けて 収穫の時を待つ 冗談を記して 月光に指図して そして熟せば 躊躇わず貪って 罰する神様を 脳の中で殺める 「収穫祭」

腸がはみ出て 具合が悪いな 僕は食べたら 眠くて眠くて 脆いこの身に 皆が怯えるな 僕の正義さえ 奪って奪って 子守唄聴いて 死を感じるな 僕に手遅れは 迫って迫って 意識は優しく 蕩けていくな 僕が壊れても 愛して愛して 「寝呆けゾンビ」

甘ロリで着飾る 青い顔の紳士 骨ばった背中に 白い天使の翅 薄く笑う彼を 援交少女が狙う 全ての男への 下半身の復讐に だが遊園地は 回るベッドの上 甘ロリは踊る 少女も手を叩く 正に異様な純愛 口づけを試し 無垢に涙を流し 歪な夢を唄う 「暗黒遊園地」

戦闘機は横切る 化け物を殺す為 偏見の誘導弾で 満腹に武装して 唄を唄う兵士は 生首を振り回す 水浴びする娘は 小さく敬礼する 化け物の嘆きを 知る者はいない その愛の証明に 使う黒板もない 穴だらけの彼は 蜃気楼に落下し 赦せる心を知り 大きく絶叫した…

僕の詩と颯騎さんの絵。

twitterで交流のある颯騎さん(@sat2ki)のイラストを題材に詩を書きました。 テーマは「表現の不自由」です。 -------------------------------------- 神の宿命にも 創作こそ正しく 人形は憧れて ペンを探します 虚構が愛した インクを眺めて 白い可能性に…

倉庫の中で 押し黙って 犯される女 それが僕だ 闇夜の中で 残飯を漁り 悪臭放つ犬 それが僕だ 草原の中で 地雷原走る 必死な少年 それが僕だ 脳髄の中で 春風と共に 消散する幻 それが僕だ 「僕を知れ」

聖母は僕を捨て 神の子を選んだ 気の遠い偶然を 残酷に信憑した 僕は愛を求めて 独りで彷徨った 石塊が痛かった 怒号に苦しんだ 彼は祝福をされ 僕は黙殺された 時代と共に歪む 教義に名は無い 今でも夢の中で 涙の赦しを乞い 馬小屋の双子に 諸共殺せと叫ぶ…

気に病む精神科 清潔な狂人の中 不味い薬効かせ 僕は話し始める 「蜘蛛の巣を視て 僕の役割を想う 綺麗な物が好い 明白な物が好い だけど僕は未だ 監視に報えない 先生、助けてよ 期待に応えたい」 言及を回避して 丁寧に頷く先生 説明書の余白に 善人とだけ…

歯の矯正装置 膝に絆創膏 腕を茂る産毛 弛んだ贅肉 磨かぬ故の 貴方の不覚に 汗を舐れば 性はむせ返る 飾らない肉に 昂まる血液 洗練には遠い 醜怪の君よ 嬌声を閉す 理科準備室で 腰が叩くは 耐え難い野性 「強姦教室」

幻想の子宮で 天使様が眠る 羊水に葡萄酒 肉は熟される 彼女の虜なる 僕は敬虔にて 隷属を全うし 感銘に涙する 母胎を撫でて 唄を耳にする 天なる福音の 約束の詩篇よ 窮屈な容器を 突き破る児に 一切の呵責も 美しく平伏す 「天使の唄」

アリスは駆ける 取り柄も無いが ウサギを捕まえ 自分を変えるの 穴が深いと 怯える私に 優しい薬を お一つ頂戴 狂ったお茶会 生臭い菓子に 紅茶は冷めて 不愉快な苦さ 女王様は 虐めっ子 私の頭が 睨むは私 「アリスの断篇」

萌ゆる夢に 心地よい風 揺れる前髪 春が薫ると 星の数ある 妖精のお話 信じる少女 月が護ると そう囁けば 君は笑った 柔い乳房に 小さな灯り 別れる前の シガーキス 紫煙と共に 君まで霞む 「シガーキス」

僕はカラスが憎いです。彼らは僕に襲い掛かります。まるで僕が、彼らの前で無力だと言わんばかりに、巫山戯て、馬鹿にして、舐めきって、見下して、僕の上空を低空飛行します。時には啄まんとするように、僕で遊び回すのです。彼らの目玉は、小さい頃に、口…

音楽は闇を彩り 罪の転調を重ねる 涙は素直に悼み 囁くほどに傷つく 全ては終焉にて 花束を抱えて待つ 果たす誓いの為 虹の袂で穴を掘る 秘密に名を与え 空の切迫感に倣う 電波塔を横目に 孤独の酸素を喰む 音も花も青空も 僕は害意と見做す 苦悩は喉を潰し …

天よ、空よ 申し上げます 罪なき鳥を 何故に殺した 山よ、森よ 申し上げます その正義は 臭くて堪らぬ 波よ、海よ 申し上げます まだ自らが 王のつもりか 愛よ、君よ 申し上げます この切望も 愚盲と赦せよ 「恐縮な宣告」