ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「ベニー」より

息子の退屈が 記録した悪に 冷たい汗だけ 背広を覆った 穢れた部品に 少女を捌いて 嘔吐が迫れば 正義は震えた 罪深い廃棄も 狂気に届かず 古びた手首を 刻んで堪えた 愛する家庭は 奇跡の全てだ もう直ぐ帰る 幸福が護れる 「Re:ベニー」

花の姫君は 言葉を宿し 美に陥れど 心で微笑む 軽い移り香 静謐な舞踏 風の口笛に 初恋を悟る 翅の隷属は 空虚を犯し 名に蝕めば 瞳で憐れむ 永い想い出 暴悪な戯曲 夢の終点に 毒草を齧る 「春の臓物」

吐息が遊んで 少女を屠殺し 酒場で踊って 闇夜に微睡む 屍骸は黙らせ 映画を停止し 朝食に飽きて 教会で唱する 退屈に安まり 学校へ遅刻し 血肉は任せて 理由を楽しむ 海岸で色めき 親愛に妥協し 大空も晴れて 罪悪を裏切る 「ベニー」

寵児の胸で 生命を聴く 愛しむ時は 夜闇に還る 包丁を当て 追憶に慄く 不屈の泪は 神様が宿る 片翅の蝶は 永遠を描く 芸術が散り 胎内で睡る せめて心は 祝福に擁く 熱病の風で 花嵐を上る 「母性の雨」

探偵の予言に 殺人は生じる 疑惑を嗜めば 凶器が色付く 冷たい直観が 聡明と気取る 終幕で残せど 命は無価値だ 犯行は不全で 知が墓を暴く 非情な必然に 誰も酩酊する 善なす掌編も 理由に残酷だ 空しい祭祀は 正す闇へ散る 「謎荒らし」

僕の地獄で 雨傘が咲く 病も隠して 助かる故に 寒空落ちた 錯覚を観る 旋律の網で 仄暗いから 君の憂世で 初恋は干る 鏡と結んで 歪める儘に 妖精舞った 胎内に妬く 断絶の匣で 心無いから 「若き幻肢」

絶版の祈りに 言葉を捧げて 空虚な血肉は 音も無く凍る 明朝体の脳が 寡黙に示した 恋する定理と 正しい泣き顔 本棚の慈愛は 不幸を透して 気儘な天使に 痕も無く贈る 最終稿の熱で 僅かに遺した 叛する神話と 親しい想い出 「命の文学」

潰れた君を 河辺で拾い 醤油薫らせ 炎に焚べる 悪食な神が 死を蹂躙し 狂信の味に 満足してる 血を流す儘 雨は道連れ 蔭に泣く恋 肉の裏切り 家畜の僕は 翼で羽搏き 遠のく舌に 聖性を悟る 「天使の皿」

寝癖を撫でて 頬へキスした 泣き虫な君で 想いは濡れて 恋は冒涜され 約束が終わる 返事の不在に 空を見上げて 魔法が融けて 僕は結われた 亡き犬の唄を 支えに生きて 神に復讐され 幸せも燃える 静かな秘密が 嘘と混ざって 「淡い星座」

蜜蜂の国は 死兵を愛し 気高さ故に 健常でいる 毒で磨いた 命を捧げて 害なる敵に 地獄が開く 女王は常に 美学で征し 烈しい愛は 独裁をなす 業を畏れぬ 心が重なり 敬する民は 元祖に謳う 「純潔な針」

君は天動説だ 神秘的に睡る 惑星なる僕が 軌道上で泣く 望めぬ断絶に 感傷を宿せば 奇跡の共鳴で 銀河は恋する 君は幸福論だ 死生観に還る 運命なる僕が 絶対性で編む 正せぬ核心に 哲学を連ねど 真理の暴悪で 悲劇は征する 「概念の愛」

路上で薫る 草臥れた娘 残暑が響く 薬漬けな夜 罪深い銭で 愛に悼めば 神も祝福を 見逃す筈だ 古い漫画に 思想を重ね 薄い麦酒で 子宮は悟る 泪の痕など 幸せな夢ね 口実は常に 鏡を殺すの 「キャロル」

季節が永遠に 君を追憶させ 仄暗い死生で 僕は苛まれる 夢見ていたの 汗ばむ体温が 僕の口づけで 還り見る罪を 絵画が軽薄に 君を再誕させ 心無い真理で 僕は貫かれる 信じていたの 憐れむ運命が 君の残り香で 想い知る色を 「紅の化粧」

完璧な嘘は 水晶の瞳で 後記に病む 魂を見入る 大切な人は 悪い夢の中 陽炎と化し 深淵へ去る 失った声は 掌編の隣で 呪術に似た 悲愴が宿る 弔える恋は 遊園地の色 蠍座と燃え 命も忘れる 「活字の夜」

自由は粗雑で 腐った果肉だ 甘美と誤解し 毒を食んでる 思想が罹れば 楽観を慢ずる 浅墓な底だけ 盲目に噤んで 我欲を無様に 誇った穢物よ 堕落で消費し 神が死んでる 疎外に怯えど 安直で甘える 醜悪な舌さえ 芸術と信じて 「青空の罪」

弱虫は暗む 私怨と育ち 逞しい腕に 復讐を捧ぐ 灼熱の頬で 生命は騒ぎ 愛を想わす 口癖が萌む 敗北が睡る 臓器に怒り 美しい唄を 深遠へ浸す 幸福な色も 文学で殺し 空が否めば 冒涜は実る 「神噛み」

国語が得意で 哲学を着崩し 腕は傷塗れな 僕だけの恋人 悪戯が下手で 空想を愛して 夜に不謹慎な 僕だけの恋人 性根が無地で 終焉も微笑み 胸は控え目な 僕だけの恋人 遺言が奇怪で 病床も汚さず 生に軽やかな 僕だけの恋人 「墓前の花」

淡い隠喩は 心を透けて 空の彼方で 神々と逢う 純潔な君が 殺した嘘を 虹の根元で 埋葬したら 古い美文は 泪を舐めて 人の不実で 爛々と咲く 裏腹な僕が 恋した韻を 時の背理で 断絶しても 「小柄な詞」

深意の罪悪は 存在を絶やす 手品が鮮烈に 帽子へ幽して 正しい約束は 結実を果たす 野獣が聡明に 灯りへ率いて 大切な奇跡は 日常を満たす 道化が滑稽に 臓器へ捧げて 美しい慈愛は 初恋を栄やす 神話が永遠に 想いへ重ねて 「サーカス」

秋の悪意は 文学が薫る 傷つく娘に 恋する詩人 賢い言葉で 独善に描く 臆した瞳は 主題を殺す 切な相違に 痛覚は残る 浮つく心を 呈する手帖 拙い夢想が 愛惜を招く 熟した病で 夜闇に還す 「離別の痕」

靴の底は神様 憂世が沈む雨 喧騒を拒んで 今宵旅に出る 写真を懐中に 甘美な楽園へ 真の勇敢とは 三匹で至れる 土の穴は命題 屍骸が望む嘘 哲学を担いで 全て君に因る 煙草を相棒に 自由な幸いへ 善の証明とは 心臓で語れる 「逸れ蟻」

僕の国では 花より肉が 美を顕して 憧憬される 寵児は日夜 老衰を責め 歳の醜さで 澱に暮れる 骨を齧って 悼める風習 墓に切望し 帰せる童謡 黒い雨こそ 善き安穏で 病の薫りに 神を憶える 「心の里」

お知らせ。

今日から三日間程、旅行の為に詩が書けないです。 毎日楽しみにしている人すいません。 また月曜日から再開するので、宜しくお願いします。

返り血浴びた 新品の戦車が 素敵な悲鳴に 静謐を与える 宝石の砲弾に 花柄が刻まれ 可愛い脳漿が 泥土で讃える 微笑む捕虜が 恋する銃殺に 重ねた屍骸は 天国を想える 懸命な戦争は 幸福に興じて 美しく育った 性善で栄える 「芸術軍」

舞える埃に 光が射せば 僕の怠惰は 亡霊となる 遠く微笑む 残酷な恋人 見境も無く 幻視に至る 揺れる心を 指で掴めど 朝は非情に 贋物とする 淡く嘘吐く 花嵐の天使 祝福で病む 誤想に縋る 「コロイド」

煙草を焼いて 大気は温もり 降り注ぐ雨で 睫毛が濡れる 悪を犯す鬼も 花を食む娘も 静謐で融けて 天と地に別つ 名残が過ぎて 想い出を諭し 風無き景色は 詩情で満ちる 柔い物は蓋で 苦い物は底で 連鎖を讃えて 慧く聖く詠む 「万有譚歌」

恩恵の海で 溺れる神童 幸福は時に 正気を殺す 古い言葉が 花に塗れる 緑の指では 叡智も罪だ 温厚な母が 刃物で貫く 僕の心臓に 毀れた笑顔 聖い悪意は 一途な羽音 尊い病魔で 血反吐の蛍 「薄命カルテ」

卑屈な葉桜は 夏に困憊する 美しさが欠く 運命を呪って 埋れる屍骸が 色彩を侮蔑し 養分は恐らく 叛逆の理念だ 心を隠す程の 醜悪な希望達 枯れた芸術に 盲信は醒めぬ 季節が廻れば 死相は鮮明で 憐れみも多く 初雪に憧れた 「青々と」

君の美貌に 狂えし仔猫 僕も何れは 恋心と化す 脈打つ肉に 糸引く唾液 その根底で 咽返る母性 鋭い歯牙で 首筋を愛す 歪な小指は 泪に触れる 哀しい程に 夜めく天使 遺った骨が 謳う神聖よ 「死の怪物」