ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

貴方に想う 無数の罪を 石棺で封じ 遠く眺める 片道歩いた 静寂の中で 握った星が 指を溢れる 迷子ならば 平気なのに 佇むだけで 幸せなのに 桜散るなら 春が身の丈 泪は正気と 来世に語る 「浮浪雲」

薬漬けの日々 卑屈な嘘吐き 他人を信じず 感情に無責任 屍体に色めく 過眠の逃げ癖 憂慮で潰れて 嫉妬だけ甦る 怠慢な不細工 要領の悪い脳 物語に依存し 思考は薄汚い 君の話を聴く 僕を愛せたら 君の泪を拭く 僕を赦せたら 「醜い恋文」

映画みたく 恋に騙せば 東京の夜も 輝き続ける 廻るたびに 人を壊した 僕が寝過す 罪の環状線 邪悪な奴も 朝は眠いの 温い弁当が 泪を誘うよ 捩れた性を 嘘で濁して 全ての愛に 着信が響く 「ラヴラヴ詐欺」

僕は僕の為に 詩情を描いた 君は君の儘で 愛情を説いた 言葉を失えば 思惑に怯えて 僕らは密室で 観念と戯れる 全員を喰らえ だが不幸です 怨恨を果たせ だが不毛です 神々に逆らい 思い遣る骸が 語らぬ心さえ 強く信ずるぞ 「屍鬼の性善」

苛々したら 口笛する癖 僕は堪らず 心を寄せた 淡い素肌と 流れる睫毛 煙で揺らぎ 嘘が微睡む 虚ろな僕に 踵を鳴らす 捲れば蠢く 下着の蟲よ 育まないで 永遠にいて 業も祈れば 花は散る頃 「芽と烟草」

淡い星々 二つの月 闇を走る 奴隷列車 一夜の恋 老いた瞳 掌編辿る 完全犯罪 苦い潤色 路傍の石 役を巡る 終末戦争 時代の贄 怖じた心 病歴飾る 国家機密 「疲弊の人」

僕の生涯さえ 敵わぬ一節に 禁忌な愛憎で 天才だと罵る 幸せな詩だけ 書く筈だった 気が遠くなる 産声を重ねて 崇高な正義が 僕を殺すなら 原稿の片隅で 狂人だと謳う 美しい詩だけ 書く筈だった 空の裏側には 何も無いのに 「シリアス」

廻る宇宙で 僅かな命が 光を超えて 巡り逢えた 迷宮に病み 自壊する時 君の旋律が 心を解すの 作り話なら 僕に任せて 嘘の数だけ 夢も見たよ 亡霊みたく 想える僕は 静かな夜に 君を感じる 「銀河の伴侶」

深刻なエラー 眠れる森では 姫の処女すら 木々に捧げた 生体のメモリ 草笛鳴らして 恐れる想いを 傷付けて歩む 完璧なコード 殺し屋の花は 色に似合わず 残忍を極める 独断のフラグ 古びた聖獣が 血を流せども 泪は沈まない 「バグ」

深爪してる 女子高生は 心の牙だけ 鋭利に磨く 花柄な下着 刺繍は解れ 生娘の香が 聖性を呈す 教室は刑場 血塗れな嘘 奴らが嗤う 地獄の底だ 耳たぶの穴 鉛筆で空け 眼鏡を直し 修羅が巡る 「少女カッター」

融点の狭間 猛獣は問う 我らの骨が ただ哀しい 調和を求む 神々は語る 命の条理に 息も止めよ 存在に縋る 僕達は問う 奇跡の骸で 何故欲した 無量な嘘に 貴方は語る 夢の在処は 愛と似てる 「運命の塊」

魔女と恋した 二人で泣いた 呪いは熔けて 永遠を望んだ 満月に誓った 想いは育った 魔法のキスで 全てを忘れた 数多の悪意を 必死で逃れど 業火は非情に 僕から奪った 家畜に堕ちた 愚鈍な偽善へ 唄だけ遺せば 君は空にいる 「煙の果て」

風で捲れた 君の秘密に 泪が止まず 僕は壊れた 君が天使で 祝福ならば 僕の犯すは 根源なる罪 理由も失い 何れ死ぬ人 惜別の果て 春は無情で 無理心中を 頷き合えば 魂ごと焼く 二匹の地獄 「鬼の涎」

核兵器の声が 悲哀を囁く頃 僕は錠剤二粒 丁寧に噛砕く 愛を俯瞰する 温かい夢想で 巡り会う嘘は 泪さえ慰めた 慈愛の地獄に 永遠を誓えば 苦悩は蒸散し 甘く透き通る 曲調に合わせ 誰もが踊る夏 美しい炎雲は 悠々と聳えた 「原子の恋」

勇者の剣に 選ばれた後 僕は魔物を 全て殺した 聖なる技は 詠唱をして 経験値の為 随分使った 呪いの鎧で 動けぬ時も 叡智の種は 毎晩服した 魔王は僕の 信心だった 世界を護る 傲慢だった 「現行犯」

恵みの病が 街に蔓延り 人は微笑み 頸部を毟る 空から注ぐ 殉教者たち 電車は肉を 喜びで砕く 勇んだ彼は 炎を抱いて 麻縄揺れた 家族の休日 僕は孤独に 刃物を翳す きっと一番 不幸な儘で 「自殺風」

朝礼で噂する 無修正の青春 授業が遠のく 純真な巻煙草 白々しい程に 予言する教材 お揃いの嘘を 紐解く音楽室 毎日落下した 血塗れな屋上 悦楽を弔する 老いた焼却炉 汚い茶髪には 涎を流す教師 必ず死ねると 泪する優等生 「高校囚」

地下鉄では 軋む線路が 絶望の人に 悲鳴を注ぐ 草臥れた嘘 缶の麦酒に 無骨な顔が 明滅する窓 古い電波で 心臓を毀し 生涯賭けて 贖罪したい 不潔な背広 黒い胃液に 死んだ鼠と 皆殺しの唄 「残業囃子」

善なる聖者は 母音を落とし 理解に拒まれ 蟲籠で眠った 或いは孤独で 神々と対話し 美しい真理を 深淵に学んだ 愛情を誤訳し 落下する少年 希望と祀られ 贄になる少女 泣き喚く魂は 必死に語るぞ 半分の言葉で 雑乱の音色で 「尊き白痴」

亡霊が煙る 害毒な密室 宙で忘れた 気休めの恋 退屈してた 憂世の悪夢 薫りに咽る 新しい満月 危なげ無く 不健全な命 昏い肺だけ 写さぬ映画 それ以外は 損をしてる それ以外は 失望してる 「ニコチン」

心地好い泪と 真白なドレス 君は翅を広げ 天使のリング 棒読みの嘘へ 温かい可視光 気紛れに唄い 柔らかな陽炎 父親が縋れば 赦された楽園 母親は咽んで 神聖の静けさ 蜃気楼撫でる 最期のアート 声は届かずに 甘美なベーゼ 「病床の隣」

中也が囁く 雨の喫茶店 愛も忘れて 活字を葬る 窓が縁取る 不快な喧騒 無声映画は 滑稽と想う 珈琲の闇に 淡い泣き顔 時が澱んで 哀憐に頷く 馳走で齧る 一片の檸檬 蜜が溢れて 憂世へ還す 「贅沢な失敗」

君の許へ急ぐ 運命は震えて 遠のく面影に 指が空を切る 僕の心を誇る 宣告は穢され 非道な神々が 生も罪で縛る 春雨が降れば 泥と風と焦燥 悪霊が病めど 恋と嘘と沈黙 残忍な楽曲は 熱い愛を讃え 嵐が宿る泪と 死の魂へ響く 「不滅の斉奏」

古き画廊に 飾った病魔 黒い海では 人魚が泳ぐ 価値は命に 月は孤高に 狂信が咲く 画風の症候 憂世を逸れ 心に慣れず 老獪の色を 死力で拒む 壁に描いた 切なる嘘も 茶目な輩は 冒涜を説く 「傷の個展」

菩薩も欲せば 隠れ宿で一儀 絡み付く程の 嬌声を鳴かす 後光が照らし 善がる肉壺に 念仏を幾らか 囁いて乱した 鳴り物の如く 響く床上手で 煩悩を手懐け 浄土へと高む 金色の渦中で 瞳が潰れても 贄なる少女は 純真に尊ぶぞ 「業姦」

捩じ伏せる キスを待つ 無垢に慣れ はしたない 風邪をひく 視野で知る 見ないふり 割り切れず 不思議がる さんざめく 満ち足りた 負け惜しみ 遣る瀬無い 意味ありげ 手繰り寄せ 死を交わす 「伍に待って」

偉人の泪も 常に見届け 気高さ残る 古びた王冠 静かな柩を 清く磨けば 慈愛と躍る 孤独な木馬 濁った海で 乳房を曝し 闇も畏れる 小さい女神 僕が詩情で 脳裏へ描く この光景に 命をお呉れ 「ゴシック」

鎖骨へ刻んだ 別れの刺繍に 舌を這わせど 素顔は綺麗だ もしも悪夢で 僕と逢えても 聾唖を望んで 忘れて善いよ 移り気さえも 貴方の愛だと 僕はとっくに 壊れていたの 貴方が誓った 無害な自殺は 声だけ残して 哀惜をなぞる 「ただ盲目」

空も隠れる 桜の小径を 一人歩けば 死臭が薫る 恋人の肉か 友の白骨か 或いは冬が 骸を曝すか 画策された 花の色味に 心を奪われ 躍るは狂気 逢瀬を重ね 散らすが幻 睡る季節は 酷に萌むぞ 「桃色の痴」

空き缶の墓で 金属と混同し 僕なる凶器に 暴悪が満ちた 雨に晒されて 錆びた良心が 僕の僕以外を 肯定し始める 君を君とする 添加物は何か 難解な感情に 泪が溢れ出す 殺戮が天命と 硬く理解せど 君の熱を願い 切なさに狂う 「鉄男」