ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

君の体操着が 含んだ青春に 美食な僕だけ 昏く絶望する 汗ばむ部室が 嬌声で色付く 白い流れ星は 天国に落ちる 放課後の禊を 患った詩人は 可憐な恋だけ 永く崇拝する 健常な頭蓋は 校庭で花咲く 発禁の漫画が 手垢に塗れる 「惡の貞操」

直観憶えて 自殺に至る 神童の瞳は 美学が瞬く 僕は愚直に 殴り続ける 血煙の中で 主題を捜す 飴玉齧って 理想を砕く 娘は変調が 悦楽と解る 僕は根暗に 噤んで背く 贋者の神を 夢想で愛す 「可燃塵」

奇跡で浄めた 少女の寝息に 宵闇が迫って 私は生まれた 禁忌の核心が 死を着熟せば 神様に逆らい 引力で占った 罪深い臓器を 邪悪に舐めた 裂いた毛皮で 月も赤面した 夜を知る花の 狂える聖性に 私は腸詰だね 泪が見つめた 「ハイド」

屍体の儘で 夢想を瞬く 愛しい君は 言葉が無い 微笑む空が 時雨に背き 星の仕草で 天国を病む 枯れた花を 永遠と嘯く 恋の臓器に 苦悩は無い 山羊の刃は 林檎へ届き 罪なす蟲が 春に憐れむ 「陽炎の隣で」

玉子を剥いて 残る可能性が 舌の上で蕩け 胃に自殺する 或いは秘教を 健気に讃えて 神託の愛だけ 爆弾で奏でる 安置所で凍え 好物を想えば 僅かな追憶に 祝福が満ちる 磨いた感傷に 苦悩は前菜で 自然的な業が 死を調理する 「聖戦の朝食」

闇の眷属は 猛毒な血を 洋酒みたく 脳裏で嗜む 苦い眠剤を 贅沢に与え 母なる命が 醒めた私は 蘇る不死に 夜は美しい 永遠の傍へ 翅を羽搏く 手首の傷も 聖痕と化し 歪な日記を 愛に違える 「悪魔の舌」

歴史は揺り籠 善悪が睡れば 時折眼を開け 受難に泪ぐむ 刹那の生涯に 言葉が残れど 空まで届かず 風と共に散る 恋慕は野の花 豪胆に萌せど 毎晩死を知り 流転が繰返す 無口な掌編を 美麗に愛せば 神すら忘れて 墓で翅が鳴く 「瞬く燈」

黒い雨の中 列車が走る 深層は静寂 煙に咳込む 肌が爛れた 街から離れ 空白な瞳に 言葉少なく 古い鉄の声 正気が霞む 幻想は隣人 病を讃える 恋が穢れた 空すら忘れ 泡沫の心に 汽笛渦巻く 「灰の終点」

原初の思想は 無限に大きく 世界を幾つも 内在していた 景色に奪われ 言葉が縛れど 愚直な生気は 幻肢を感じた 粗雑な区別が 貴石を削って 淋しい知識に 自転は弱まる 小さな星だけ 心に秘めれば 右手で掴んで 私は燃えるの 「叡智痛」

君との恋は 神経みたく 現代医学で 縫合できず 若い野獣が 牙を磨いて 可愛い餌に 謙遜してる 胎児は病と 告げる男が その性欲を 白紙に注ぐ 全て未練だ 哀しい程に 無残な闇も 残り香の中 「不全ポルノ」

暴力の支配に 背かぬ真実が 健気な顔色で 僕を魅了する 弱虫な青年が 壊した模造品 肯定を否定し 模範的に狂う 豊潤な孤独も 殺せぬ切望は 万感の言葉で 君を理解する 傷物の花嫁が 讃えた革命児 否定を肯定し 情緒的に描く 「スケール」

罪の原典が 僕を苛んで 心は遡行し 光景に至る 片足の猛暑 泣く夏野菜 呆ける残骸 遠い蜃気楼 切な言霊は 君へ届かず 青春を犯し 疾患に導く 饒舌な小蠅 詠む独裁者 白ける空欄 古い暗号機 「エニグマ」

下品な神様が 花嫁と背いて 僕から亡ぼす 全ての高潔は 胸騒ぎの中で 霊水を呷って 苦悩が和らぐ 空しい酩酊は 歪な浮浪者が 愛情も忘れて 路地裏で捌く 罪悪の胎児は 刃物の先端で 生命が震えて 終焉に善がる 美しい地獄は 「殺人因果」

凍土の下で 閉じた蕾は 遥かな春が 福音と語る 健気な雪と 慰め合えば 死兵の列も 静謐で送る 風と踊る児 木蔭の牧歌 無垢な噂に 永遠を悟る 気高き神よ 恩恵で在れ 眠り姫こそ 愛に叶うぞ 「リリエンヌ」

自殺の美学は 愛を亡くして 浅墓な盲信に 口づけ交わす 新しい骨壺に 遺灰が鳴けば 神経病の中で ご馳走と知る 猛毒な観念が 意識を占めて 至上の歓喜で 末路に駆ける 仄暗い恩情で 天が触れども 半透明な嘘に 堪え難く死す 「心中葬」

君の証明に 脳を捧げて 何れ数式は 詩篇と成る 切実な嘘は 机上に蘇り 淡い約束を 仮定で結ぶ 致死量の生 唄う抗鬱剤 野蛮な演算 美しき空論 不正な幻を 理学が顕し 僕の帰結で 命は瞬いた 「観念の旋律」

大気の遺骨が 憂世を覆って 白銀に惚れた 聖人で溢れる 叛逆した僕は 回帰線描いて 貴方の空まで 動力を燃やす 無垢な生命を 疫病と云って 形骸に果てた 哲人は皮肉る 共振した恋に 合言葉捧げて 寡黙な闇まで 熱情が満たす 「コロニー」

霊素の儘に 物を言う僕 真なる声で 信念と説く 無垢な鏡を 夜と廻る君 善なる指が 終焉に痛む 理性の罪も 死に下す恋 美なる心は 掌編で死ぬ 憂愁な知が 贄で招く神 幸なる痕を 深淵へ残す 「哲なる骸」

孤独感辿って 聖い君の元へ 無愛想な雨が 神を殺す前に 粗悪な箱舟で 罪人は祈った 種が瞬く儘に 命を懺悔して 暗い藍色には 霊魂が重なる 二匹の頭上で 永遠を感じる 星は崩壊の時 僕に微笑んだ 廻り逢う夜が 奇跡を囁けば 「宇宙の下で」

睡る花嫁に 恩恵の風が 少し妬んで 貞潔を命ず 罪で造った 憎悪は苦く 僕の心すら 不実を灯す 愛の磁石は 歪な木蔭で 星が幕引く 予言を信ず 旅に果てた 輪廻は遠く 幼い二人も 観念を反す 「アムール」

桃色の脂肪は 頭蓋に愛され 痛痒い感性を 嘘で分解する 作用に屈せば 狂乱を早める 思想が廻れば 論争は始まる 僕の法であり 神が宿る臓器 苦い唾を吐き 少し声に背く 不運な隷属が 独創と信じて 詠んだ恋心の 愚盲を讃えよ 「支配肉」

傲慢の肉は 闇に煌めき 賢い堕落を 脳で味わう 不満に甘え 欲望は腫れ 土足の心で 哲学を騙る 恋人の穴を 罪で塞いで 醜い正義が 神へ刃向う 善意が犯し 信念で酔い 懺悔の病は 芸術に至る 「ピュア」

明後日の瞳に 淡い朝が映る 言葉は死んで 善い風を残す 神の血も吐き まるで彫刻だ 面影が消えた 幸福に還れば 井戸穴の蛍は 永い夜に縋る 貴方を詠んで 気が少し挫く 手の平を触れ まるで聖人だ 蝋燭が照らす 喪失に畏れど 「幽かな現」

麻縄の輪は 夜風に軋み 痩せた魂を 喰い荒した 空疎な花に 理屈は脆く 正した病が 惹き招いた 生塵を溢し 茎幹が砕け 蒼白な顔も 美しい君よ 淋しい朝は 何を与える 冷たい舌に 何が語れる 「ベゴニア」

君を喩えたら 悲愴は還るの 宇宙の片隅に 平和な楽園に 僕は遺されて 花片を紡ぐよ 毛布の深淵で 寡黙な密室で 街並に慣れる 人と似せた心 祝福で満ちる 時が過ぎた病 月も憐れめば 墓標へ愛しむ 詩情の芳香に 不滅な憂愁で 「淡い恋人」

幸福棄てて 失った苦悩 追想すれば 恋文みたい 返り血の中 始まる晩餐 罪を味わい 礼節に依る 因数殺して 損じる定理 解剖すれど 運命みたい 僕の我慢が 造った神々 点を集めて 空白に病む 「不証明」

僕を見殺せば 祝福に満ちる 憂世が色めき 傷心は癒える 美に育まれど 思想で穢れる 貴石を寵して 胎内へ入れる 暗転する街で 声は狂い咲く 終焉する夜に 神を信じ抜く 君の真理では 善悪も着飾る 亡者に微笑み 産声が混じる 「聖なる深淵」

痣の合間に 夢を重ねて 歪む慈愛で 成立する物 蟲籠焼いて 命と遊んだ 不全な業に 内在する物 春の末路に 風は背いて 霞む写真で 追憶する物 幻肢触って 躯が痛んだ 一途な君に 切望する物 「シン」

蠱惑な秘密を 内在する君に 刃先は撫でて 愛しく求めた 切取る部品の 聖性を知れば 食器に並ぶは 極上なヌード 臓器の中まで 美しく洗って 甘い躊躇いに 肋骨を齧った 狂人と賤しめ 神々も黙れば 赤い熱こそが 絶対のキュア 「解剖ソナタ」

朝の市場で 薬草を買い 枯れる姿に 毎日祈った 空想に泣く 健康な葉は 神を讃えた 悲劇が薫る 君の蘇生に 煎じる命よ 善き復活は 雨を好んだ 心も知れぬ 花の風なら 毒蟲噛んで 恋に還るぞ 「セージ」