ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

水滴に一目惚れし 砂漠へ旅立つ前に 健全な肌が恋しく 毛布に残る血を舐める 渡り鳥が空しげに 羽を休める泉で 亡骸になった辞書の 見解を詩のように扱う 雨音の歳を数えて 取り乱した事実の 言葉の意味を求めて 息が詰まる記憶の その果てに佇めば 誠実であ…

老い耄れる時に姫君は 冷えた酸素を幾重に飲んで 体の内側から少しずつ しかし驚くほどに美しくなる 処女の血も皮も肉も骨も 食べ飽きたから手をつけず 純度の低い雨の匂いに 透き通る色を任せはしない たぐり寄せる思い出だけが 美の曲線を調律できる むせ…

高熱に魘されたご褒美に 喉を通るアイスクリーム スプーンは芸術的に曲がり 躰は思わず宙に浮く 幸せの呼び水の甘味から 舌を滑らせて嘘を吐く 枕元には貴方との写真 僕が消せない唯一の物 曖昧になった意識から 世界は綻び始めてる 窓の外の景色をご覧 蜃気…

線路を泳ぐ淡水魚 僕の涙塩で溺れ死ぬ 喰い散らかした肉片に 貴方の面影重ねてる 銀河を渡る熱帯魚 僕の祈りで燃え尽きる 穴だらけになった惑星に 貴方の行方を捜してる 心に潜む深海魚 僕の痛みで目を覚ます 光の当たらぬ秘密らに 貴方の言葉を借りている …

クラクションに背を押され 僕は人を殺したわけです 殆ど誤差のその殺人は 街並みを賑やかす事もないのです 千切れそうなのは僕だけ 千切れそうなのは僕だけ 公園の階段を上っていくと 黒い猫が前を横切り それを奪って猫ジュース 壊れそうなの分かって欲しい…

物語に諭されて 自殺を止めた朝焼けの 陽射しは変わらず迷惑で 口には苦い不安が残る 何かを終わらせる事に どれ程の理由が必要か 雨が大地を湿らすように 僕はさよならを選びたい 可哀想な人たちに 僕は拍手を贈るのだ 他人の過失の被害者に 僕は感銘を覚え…

幸せの夢を 僕に見せてくれるな 残酷な春は 触れる事も叶わず この臍の緒で 貴方を束縛しよう 永遠の愛情でも 血が通わないのならば さよならだけが 人生なのだとしても 束の間の台風で 貴方を密室に仕舞うのだ アア、ダレガタメゾ アア、ナニノタメゾ 草臥…

昼寝をする無防備な君の 汗ばむ躰の夏の香りを 団扇でそっと扇いだような そんな類の幸せたちが 失われたのは何故だろう 失ったのは誰だろう 終末になれば逢いましょう 今より強くなれたなら 紅を引いた君の感傷も 無下にすることはないはずだ 全てが嘘みた…

水たまりから産まれた僕を どうか変わらず愛して下さい 連続性のフイルムたちは 不確かに黒く燃えている 落雷をしたら嫌いな街も 懐かしさすら感じないのか 死ぬことにした土砂降りの中 傘という雑な武器で喉を突く 太陽は天国で休暇をとっていて 濡れた犬の…

僕はとても悪い子です 他人の訃報を知るたびに 今は僕の番ではない 僕の番ではないはずだと 爆弾を飲み込んだ悪魔のように 気を立てながらも安堵して 対岸の痛みから目を逸らすのです 大切な人の死は耐え難く 三度で僕は粉々になりました その砂利を踏み固め…

勘違いした蛙が鳴いた 実はそれは僕だった 毎日食べてる蟲たちの 噂話を真に受けて 穴倉の底で泳ぐには 自意識があまりに肥大して 小さな空を我が物とする そんな野望さえ許された つまりは孤独が害悪だ 番いに成り得る雌など居ない 求愛の為の言葉は抜けて …

死神は決して笑わない それを理解し生きるには 僕はあまりに幼くて 全てを単一に敵と見做して 手持ちの時間を費やしていた 灯火は誰の為に消える そこに解答を求めた僕は 偶発というものに蓋をして 運命気取って溺れてく 狡く汚い生き物となった 世界は僕へ…

三月に産まれた殺し屋は 最初に僕の春を殺した 残酷に芽吹いた命らの その哀しみを切り裂いた 少しこなれた殺し屋は 次に僕の雨を殺した 濡らした憂鬱の犠牲者の その真相を海に沈めた 調子が出てきた殺し屋は そして僕の朝を殺した 陽射しを浴びて焼け焦げ…

目玉をあげます 両方あげます だから返して 本当の情景を 鼓膜をあげます 二枚もあげます だから返して 殺しの音楽を 心臓をあげます 血液もあげます だから返して 故郷の傷跡を 言葉はあげない 一つもあげない だけど気付いて 愛はさかしま 「単純な交感」

玩具を壊してつけた掠り傷 350mlを飲み干した喉 悲しいくらい大きなベッド ジッポオイルの錆びた匂い パソコンが奏でる交響曲 カーテンが開くことの無い窓 野良犬の残した色褪せた肉 苛つく時の爪を噛む癖 薬の服用の為に作られた水 その旨みだけで罪を知る…

天の川を渡る列車では 猫たちが窓から首を出す 僕は永遠に躰を焼いた 恒星のように傷つきたい 罪の意識で溢れた日には それを神様に承認させる 純潔無垢な罪びとは そうして星座の仲間入り 何が悪いわけじゃない 窓辺は僕の懺悔室 月明かりだけ信じてた 訂正…

恋と嘘 夢と街 声と雨 君と僕 僕は僕を助けられずに 聴こえる声も覚えがない 街はそれでもご機嫌なまま 露わな恋に夢中になってる もしも嘘が赤く変われば この夢だって叶うはず 三月の雨はまだ冷たくて 君を思い出して死んでみる それは隠し通すべきもの そ…

貴方の余裕のない顔が 私を掴んで離さない 割れた皿に手を触れて 切れて痛む傷のように ボーダー柄の貴方の心が 騙されたフリして笑ってる その時涙と血液の絵具で 私の画布は塗り潰される 貴方は必ず嘘を吐いては 私の退屈を紛らわせてくれる そのお礼に軽…

砂埃の羽ばたきに 僕の面影は盗まれる 風船のように微笑んで 欠けてる僕を残してく 考えた末の屋上で 大きく息を飲み込んだ 勇気は思わず目を覆う 「これが僕の人生なのか」 気流が僕を迎えてる 黒い鳥らは確かに笑った 煙草の煙が懐かしく 僕には着こせぬ制…

彼は必ず生きている 叫ぶ少女の確信は 世界で一番正しい嘘で 敬愛すべき真の幻 観測点から離れても その信条は鳴り止まない 獣が負いし傷跡の その栄誉にも似た音楽 あの人はきっと勇敢で 闘う理由も心得て 彼女の笑顔を愛すると 実に易々と理解する 僕は狼…

金星で稼いだ財宝で 水星を十分涼んだら 木星の大気を取り込んで 火星で煙草を点けた時 土星は墓穴で溢れてる 僕は宇宙の侵略者 だから命は奪わない 月はジッと黙っている 太陽はいつも無視をする 手をかざすのは子供の記憶 宇宙は永遠に夜だから 深夜アニメ…

人を裏切りながら 通り過ぎて行く言葉の残響 待ってくれよ 置いてかないで 必死に人々の笑い声を抜け出して 手を伸ばした先 眩しからず、ポツネンが 向かい風のように遠くを見据えて 僕の物ではない場所へ行く 指先は暗がりを触っている 熱い汗はすぐに冷え…

痛みは確かに感じてた きっと泣いても踊っているの エヴァンスの旋律は言葉より はっきり僕を要らないと語る 死んでしまう程の転調 熱を高めていくリフレイン 予定不調和の音は重なり 負け犬の胸の炎を青くしていく 亡霊の囁きのようなベースで 僕の死に方を…

愛する人が泣いている 僕を偲んで泣いている その一幕の美しさが 神様からの僕へのご褒美 僕の戸棚は空になり 部屋は清潔に冷たくなった 貴方は涙で汚さぬように 遠慮しがちにコートに沈む 若き日の貴方の無邪気さが 今は僕の天国への切符になり 残せなかっ…

僕が高い買い物をして この宇宙は誕生した 積もる話もあるけれど 語るべき事は一つだけ 貴方が誰かの物になる どんなに僕が高鳴れど 貴方が誰かに初められる どんなに僕が色めけど 宇宙の理論の解読と この片想いの礼讃は 等価値になって然るべき 手遅れにな…

僕の肺の中の虫たちは 夜になるたび騒ぎ出す 僕の弱音や癇癪を 餌に喰らって暴れてる 僕の心が傷ついて 愛が狂ってしまっても この虫たちは変わらずに 僕の酸素を奪ってる いつか心臓まで旅をして 僕の息の根を止めて欲しい それとも熱い唾液と共に あの子の…

死んだ友の数煙草を吸って 残りで空き家をよく燃やす 苦虫が僕の躰を這い回り 噛み潰されるのを待っている 痛みに慣れた顔をしてると 便器のような扱いを受ける こんな夜は湯船で眠ろう 僕を煮込んでスープにしよう 柔らかく溶けた肉崩れの中で 骨盤だけが主…

居ないものに焦がれ 視えないものに魅了され 聴こえないものを信じてた 僕の敗因は 現実と仲違いしたこと 手に触れぬ情念 鏡に映らぬ恋慕 空気を震わせる事の無い言葉 どれも意味がないと語る あの人の悲しみを思い出す 敗北の痛みに戸惑うならば まだ僕には…

記憶に居ない幸せが 僕の心を励まして 一つ一つの嘘たちが 懐古の甘さを疼かせる そして死んでしまうなら あの愛憎も剥がされて まっさらな常温の中でだけ 言葉を見送る蜻蛉になる 君にもいつか分かるだろうか 剥き出しの魂の吸水性 時の足跡に咲いた花 祈り…