ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

運命は螺旋状に 細く収束していく 不平不満の人が 目を回すを眺めて 善い時と悪い時 勘違いの波打ち際 決定稿を選べば 疑問すら無意味だ 奇跡と呼ぶまで 誤差は愛されない 信号の走り方も 確定された世界で 魂の悪足掻きが 何より尊く気高い 幾度醜く泣けど …

芸術を模すか 芸術に至るか この敗北の為に 戦争が始まる 教養の範疇が 僕を呪えるのを 創らぬ作家は 自尊にて喜ぶ 娯楽を鼻で嗤い 崇高な差別で 僕を取り払い 値札を千切る ならば挺すぞ 時間と共闘し 血肉も見放し 屈辱すら纏って 「遠回る野心」

君の細い腕が心配だ。握ればポッキリ折れてしまう気がして。誰かの悪意の前では、自らを守ることすら叶わない華奢で筋肉のない腕。僕はいつでも君の傍にはいられないよ。だから、どうか自分を大切にして欲しい。君が僕に腕を伸ばすたび、僕は不安になるんだ…

立ち眩む現実に 個室便所へ逃げ 熱苦しい息の中 ただ涙を堪える あの人は会社員だ 彼女は大学生かな 彼は土方の職人で なのに僕とは何だ 年相応に苦労し 人並みに偉そうで 普通の恋に騒ぎ 暗黙に認め合うの 僕は殺さないと 知って貰えないよ 僕は死なないと …

蝶蝶は狡いです 生きる程に美しく 誰もが指先にて 佇む幸運を喜びます 思想に喩えられ 科学に遊びを与え その上天命の為 花の蜜を吸うのです ここまで恵まれた 完璧な生態なのに 後ろ暗くなど思わず 彼らは春風と戯れます だから禁忌の如く その翅を摘まんで…

犬は鳴く鳴く 笑い転げたら 木陰の匂いに 想いて想われ 犬は泣く泣く 御髪を梳きし 飾らぬ幸から 別れる故には 犬は失く失く 神憑きながら 外道へ結ぶは 罪なる人らぞ 犬は亡く亡く 喰い散らす折 血濡れた櫛の 痛みを知りて 「神梳く犬」

私の天使よ 何処へ行く 翼を捥いでも 夢は見るのか 私の天使よ 止めてくれ その眼差しで 懺悔を知るな 私の天使よ 何が欲しい 紳士な想いに 酔う時もある 私の天使よ 打ち殺せば 孤独な色した 紫苑で飾ろう 「無骨と天使」

真面目が拘る 規則の中で 僕らはゴキブリ 侮蔑にカサカサ 不良が殴って 罵るたびに 僕らはゴキブリ 獲物でジタバタ これから翅を 広げて飛ぶよ 不快な造姿も 赦される処へ そして僅かな 人間らしさは 窓枠蹴っても 拒まず落ちた 「ゴキブリ」

砂漠に落ちた スポンジは 熱い風から 雲を待っている 雨を浴びたら ゴクゴクと 渇いた肌が 使命を得るはず まあるい皿を ピカピカに 磨けば何か 分かると信じて それまで砂に ハレルヤを 譲りし僕は 死ぬほど清潔だ 「スポンジの哲学」

救世主の出現で 見合う闇を選び 育ちの悪い者は 神の名に殺される 魔の者は死ねば それが使命となる お姫様のキスは 呪しげに心を焼く 聖なる剣を掲げて 正義が僕等を貫く 嘘みたいに痛い 子守唄が聴きたい 今は科学を崇拝し 月は一つしかない 神話の曲解の…

病室で泣いた 其処は屋上だった 踏切へ身を投げ 足元の台を蹴った 愛してくれた 雑踏で手を掴んだ ベッドに包まれ 海を二人で泳いだ 命は赦された 切に恋文を書いた 天国は物静かで 死ぬなと懇願した 僕らは幸せだ 悪意で気が触れた 祈りを重ね合い 神様は居…

経血を舐める度 心は鉄となり 糠喜びの懐妊に 意思も蝶結び 破水を啜れば 雄叫びが暴れる 逃避を止めた 目付きは野生児 子宮に齧り付き 血肉を満たす 吐く息は赤赤と 夜を塗り潰す 胎児を咀嚼し 永遠とのお別れ 転がる母体に 愛の詩篇を刻む 「命の道」

君のせいで 夜更けになった 君のせいで 言い訳が増えた 悔しいほどの 優しい想いで 生傷だらけの 気持ちが痛い 君のせいで 運命さえ忘れた 君のせいで 信じるを信じた 切ないほどの 毛布の中では 柔い沈黙だけ 十分に流れる 「夜のベッド」

涙のそばを歩き 引き返すのは真実 形見に依存すれば サリンの雨が降る 純度の高い悪意を 服用したら昼寝 夢は全てを理解し 僕を悩ませ続ける 信じる言葉数えて 造形する詩の一節 人々の知に怯え 疚しくも崇拝する 石も怒声も拳骨も 授かるは神の好意 傷つく…

傘を盗んだ男が 部下を従わせる 雨に濡れた僕は 軽蔑の中を歩く 信号無視の女が 恋人とキスをする 待ち続ける僕は 病気だと言われる 虐めをした大人が 我が子を遊ばす 私怨で生きる僕は 不信に縛られる 不幸な色のペンを 少しだけ借ります 今日も善い天気と …

咳払い一つで 青ざめる人々 繰り糸掴んで 地獄に繋げる 季節外れの涙 秘密秘密秘密 殺した順から 花言葉を得る 僕の影を敬い 万能を求める 全ては在りし 全ては無きし 死骸臭い慈愛 禁忌禁忌禁忌 赦した順から 法螺話を吐く 「神性のウツ」

夏の酒宴の返り血で 祭囃子は調子が狂い 青姦覗けば舌を出し 金魚を丸々飲み干した 花火で手足は散乱し 見世物小屋が肉を売る 外れ籤屋に火を放ち 神社の鳥居で首括る 浴衣姿の野菜の群れに 醜女が一人犯される 憐れな狐は世を恨み 割り箸使って目を抉る 団…

笑顔の優しい セクサロイドに 僕は貯金の 全てを貢げた 名前を尋ねて ドレスで飾って 花に喩えて 口づけせがむよ 微笑みながらも 無口な態度が 泣くほど愛しく 泣くほど寂しい 君に届けば 届けばいいな 心の機関も 熱する想いよ 「サリー」

可憐な天使を観る 電脳の海に沈んで 僕は匿名に甘んじる 電気信号が重なる 性の哲学に憂いて 顔写真に見蕩れる 僕の理想が包み込む 箱庭での甘い通信 更新が途絶えたら 裏切る記録を探す 善心に深い躊躇い傷 まるで墓荒らしだ 今は過去を慕って 時を止めた密…

日本語を日本語に 翻訳するが如く 僕は聞き齧る愛を 視え易くしたい 名文は人を救って 忠告は心を冷やす 祝辞は柔く白くで 遺言は物を想わす ペルセウスの火に 届かないが如く 僕は窓の外の愛を 奪えなどしない 喧騒は追い立てて 対話は裏切れども 孤独は僕…

壊れ易い物を 愛せないまま 完璧な部品で 着飾る夢を観る 物持ちの良い 精神病に罹り 終わりが無い 物語に安堵する 有限は疲れる 喪失は不快だ 自らを完結し 全て放棄したい 心情を知れば 僕の葬列には 不定の奴隷が 行進するはずだ 「早死の永遠」

桃色の嵐が 情の哲学を呼ぶ 軽率な人々は 花に媚びて騒ぐ 蕾が咲く理由 満開の矜持には 懸命に鳴く猫の 敬虔さがある この愉悦らと 麦酒に酔えば 極めて確かだと 大口を叩く 花弁が散る度に 番いは消え失せて 緑色の落胆が 僕に地獄を視る 「理屈屋な葉桜」