ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

僕は空虚な 善悪の亡骸 全て綺麗に 跡形も無い 罪の肥満で 瞳は死ねど 君が影だけ 懸命に掴む 僕に十字架 不幸を呪え 君に姫百合 想いを誇れ ただ贅沢に 隣人でした 臆病な恋も 祈りで濁せ 「モルヒネ」

焼却炉で眠る 仔猫みたいに 僕は騒ぐ街の 問いを背いた 耳に響くのは 燐寸の断末魔 時が奪うのは 倖せな説明書 罰に気付く程 罪深くは無い ただ日々の中 多く祈るだけ 死灰となれば 泪さえ忘れる 記憶となれば 或いは誇れる 「現世と炎」

君の空には 雲一つ無く 愛と酸素が 充満してる 青い彼方へ 続く記憶は 僕と交わり 遡行に叶う 繋がる心は 君を縛るの 雨降る前に 僕が離すね 昨日を忘れ 明日に初恋 白い手紙は 時の形見だ 「巻き戻し」

過去の反証を 丁寧に重ねて 残る光景だけ 目蓋へ流した 街を焼く夕陽 蟻が乱れた痕 軽い骨の芝居 愛犬に縋る泪 言葉の中なら 倖せも知れて 睫毛で瞬くは 僅かな真理だ 粗悪な生涯が 耽った物語よ 詩情は嘘吐き 花と嵐に舞う 「文学の定理」

鏡を見詰め 紅塗る僕は 綺麗な嘘に 涙を流した 背徳の指で 彼に触れば 汗ばむ味が 舌を誘った 躯を裂けど 人魚は迷い 全て忘れて 夢に溺れる 広い背中に 重たい声が 遠のく僕の 初恋でした 「碧い肌」

砕いた頭蓋で パズルを遊ぶ 娯楽に飢えた 夢見るゾンビ 教室の奴らは 理解を真似る 何より醜悪で 場違いな笑顔 誰かの遺恨で 燃え盛る廊下 誰かの孤独で 封鎖した屋上 臓物が散ばる 校庭で腐れば 僕らは初めて 友達になった 「ロメロ」

世界が崩れ 神々を失う 光たちの道 静寂な冷気 少年の泪で 天使が踊る 綾波レイは 包帯を解く 透けた髪に 脱色の痛み 情報圧から 僕は僕だね 名前を叫ぶ 真赤な街に 綻ぶ血肉は 海と等しい 「自壊の果て」

家畜は牧地で 文化を育くむ 教えも畏れも 美学も主義も 奪われる事が 我らの慈悲だ 不在な神すら 太陽は照らす 雨乞いをして 芝生が煌めく 殉教に捧げた 空からの宝石 仮初の生気で 偽物の倖せを 屠殺に凍えど 哲学は遺るぞ 「肉塊の知」

一輪の愛で 髪を飾って 無色な朝に 甘い道連れ 恐れの棘が 毛布に繁り 鏡へ映るは 哀しい素顔 無口な目蓋 紅で湿らせ 散る惜別に 寝息を縊る 泪に代って 花蜜よ薫れ 私の木枯し 冷たい酸素 「花心中」

重ねる調律で 君の命を探る 波が寄せる音 恋が火照る音 その温かさが 僕には辛くて 倖せな楽器へ 訣別を告げた 声は遠のいて 唄の名を頂く 祈りも囁けば 何と喩えるか 今は鍵盤の上 足掻く程響く 今は譜面の上 躓く程渦巻く 「瑣末な独唱」

死した洋服 纏って歩く 終末の鐘を 響かす為に 失敗が残る 喉を絞って 啓示の心に 旋律合わす 大過の雨が 正気を与え 邪悪な街は 浄化に至る 光景舐めた 無益な僕に 泪も惜しみ 引鉄を弾く 「処刑囚」

カクヨム始めました。

四行四連詩で今のスタイルとしての美型詩の中で、出来のいいものだけを載せてみました。結果105編程投稿しました。よければご覧下さい。 これからもよい詩があれば、随時こちらにも載せようと思っています。 なお色々あって週末は詩が書けませんでしたが、今…

失恋を唄えば 君は人魚だね 流星が注いだ 四畳半の部屋 星座を惜しみ 季節が重なる 若い波はまだ 判らずに泣く 静寂な海底へ 月だけを招く 独り言が溢れ 熱い泡となる 夜風を拒んだ 胸に棲む貝殻 離れる影画は 空と汐の贋作 「滿汐の愁傷」

愛しい頭と 遠く旅立つ 七つの罪を 股に掛けて 魂と出逢い 肩に誘った 砂漠の夜を 想う鳴き声 雨の底でも 僕は曇らず 胸で甘えた 言葉を辿る 小さき君に 全て贈るよ 海の下着も 空の指環も 「旅と生首」

牧歌で憩い 悪魔と潜む 幼い素顔は 無垢に蠢く 涙を食んだ 蛍の如くに 憂愁さえも 強欲となる 夜道の雨は 本性を磨く 刃物が沈む 可愛い生贄 開錠すれば 宇宙が溢る 口笛響いて 神は黙った 「羊飼いの舌」

蝶が刻まれた 乳房曝す娘は 月経周期数え 金を胃に注ぐ 石壁に埋めた 骸を想うたび 筆が醜く走り お伽話と化す 基礎体温調べ 前菜を孕めど 最早財宝以外 拒絶する喉よ 美しき臓器に 殉教した君を 芸術品の如き 孤独で讃えた 「高価な女」

銀貨三枚の 罪を盗んだ 哀しい震え 纏った指で 君の為だと 死神が云う 不正で育む か細い命よ 全て厭味な 酷い脚本さ 犯せば闇に 拍手が響く 僕の時間は 銃弾浴びて 冷たい風が 朝を誘った 「昏き泥棒」

星が声上げる 彼方のギター 雲を散歩して 音色に重なる 南十字が淡く 僕を導いてる 白鳥に憧れた 丁寧な仕草よ 花畑に囲まれ 切望は熔けた 不治の果実も 迷い無く齧る 唯一胸を刺す 硬い涙が痛い 慈愛で慰める 詩篇の失恋ぞ 「天の園」

才無き恋は 臆病な虫歯 記憶を押え 芋虫になる 敗北さえも 微笑む君が 無口に隠す 祈りの生傷 必要と一言 大切と一言 教えて呉れ 甘えて呉れ 僕も一緒に 空を上れば 残る想いは 掌編みたい 「遺る人」

愛は臓器だと 定義する学者 その本性さえ 有益な描写だ 僕の喉を裂く 文学主義な猫 違和感は馳走 韻文こそ呪い 君は君の儘に 全てを与えた 役割で強いて 壊れた後が夢 焚書の薫りが 渇望へ促せど 残る白骨から 心に洞を知る 「活字の煙」

中古の核で 傷つく気分 瓦礫を齧る 私は振られ 心の銀鱗は 綺麗な肌で 紫外線だけ 天敵とする 炎を吐くよ 街も潰すね 寝巻の儘で 空に哮った 通学路には 正義の残骸 私は駆ける 牙を隠して 「怪獣少女」

鳥は羽搏く 獣は駆ける 魚は潜って 草木は育つ 永遠の在処 生を辿って 永遠の在処 祝福すべき 人は無力に 音色の風を 天国嗜好な 鼻唄とする 求む僕らに 銀河が咽ぶ 時の停止は 酷く美しい 「永遠の在処」

愛した架空と 死ぬ程遊べば 活字に外れた 不遇も映らぬ 正しく出逢い 名前を呼んだ 愉しく親しみ 台詞に照れた 下手な別れに 脳は繰り返す 花と咲いてる 骨身を忘れて 罪が昼下がり 私刑も横目に 僕の手を引き 物語は閉じる 「永遠の掌編」

告白します 認知します 僕は性器の 化け物です 通学バスの 吐息を含み 公衆便所で 待機します 熟練された 奴隷を殴り 女帝の糞に 平伏します 何より慰む 娘の恥辱に 僕は殺され 完璧でした 「無毒ポルノ」

深夜特急 東京行き 鬼も眠る 薄明かり 祀られて 損なって 遂と逃れ 呪詛の国 仏の誓い 詩人慕情 胸へ刻み 人と成る 大きな手 コマ送り 親の愛情 背に残す 「東北遁走」

傘の中では 淋しい女と 優しい女が 混成してる 車窓に縋る 数多の雨粒 恋する程に 在処も失う 雲より高い 天国は常に 水不足の為 悲哀を搾る 曇りの後に 逢引しよう 泪は気紛れ 秘密日和だ 「雨の戯曲」

犯行の文学は 幾歳も道連れ 駆け巡る罪に 夕闇で指切り 不幸な夢には 君が居たから 僕も嘘を吐き 逃亡に誘うよ 獣がる好意で 絡んだ君と僕 夏も形無しな 熱い熱い鼓動 醒める約束に 永訣のキスを 今や不在さえ 現世が奪うぞ 「レムの恋人」

蛍は泣いた 穢れた命に 燈を灯せど 歪なだけと 涙を流して 軽くなる躯 か弱い翅は 空に恋した 凍えた風が 頬を叩けば 街の俯瞰は 贅沢に降る 孤独な窓に 闇が吐息で 薬の薫りを 天へ運んだ 「冬の蛍」