ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


(それでも好き)と言いたくて
僕は白い壁に手を触れる
そして何度も口ずさんでは
その反響を待ち続けている


人に好意を伝える為に
繰り返し繰り返し練習しよう
鏡の戒めを甘受しながら
唇にそっと恋慕の紅をひく


ただ触れるだけの幸せに
僕の言葉は行方を暗ます
置き手紙には貴方の髪を
傍にひと束供えておくよ


打ち明けるように恋をする
心に潔い貴方の気丈さに
頷く僕はいつしか透明
情念の気泡が静かにはじけた




「やまびこ」