2013-06-21 ■ (それでも好き)と言いたくて 僕は白い壁に手を触れる そして何度も口ずさんでは その反響を待ち続けている 人に好意を伝える為に 繰り返し繰り返し練習しよう 鏡の戒めを甘受しながら 唇にそっと恋慕の紅をひく ただ触れるだけの幸せに 僕の言葉は行方を暗ます 置き手紙には貴方の髪を 傍にひと束供えておくよ 打ち明けるように恋をする 心に潔い貴方の気丈さに 頷く僕はいつしか透明 情念の気泡が静かにはじけた 「やまびこ」