僕は魚になりたい
冷たい水にさらされて
その鱗で全てを傷つけると
そんな呵責を抱いて生きる
臆病な優しさを持つ魚に
水面はとても恐ろしく
海底は寂しいほど暗い
僕の尾ひれは波を切り裂き
フォルムにおいては絶対的に
あの殺戮兵器に似ている
クラムボンを口から吐き出し
その崩れゆく様をじっと見る
僕は一匹でいなければと
恋する海藻に気づいてはいけないと
その密やかな意識を新たにする
ある日僕は海から救われる
この鱗も全て失うことができる
他のものはそれを暴虐と呼ぶが
これこそが僕の最もな魚自身であり
その時、僕の祈りは完成したのだ
「完璧な魚」