ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部だったトコロ。


或いは美型詩の実験場だったトコロ。


お母様に謝まります
僕の不在を
其れに加担した
僕の不実を


愛情と名づけた
存在を存在たらしめる
アスファルト
水をまきすぎた僕を


お母様、お母様
僕の身体は
今や心ですら
僕のものでは在りません


誰彼の思惑に気付けず
心を間違えた僕は
お母様の些細な祈りすら
叶えまいと脈打つもので


お母様に意味を列挙する
この大人気ない僕を
僕の幼児性を可笑しと笑う
お母様の強かさは


赤い窓ガラスが僕を急かし
膿んだ白目で失い
僕の爪は肉で詰り
お母様の期待を裏切ります


お母様、僕はいけません
僕の不正さが
或いはこの僕の
不運で意味の無い生命が


屋上にて電車で礫をされ
首に縄をかけて溺れ死ぬ
ああ、ああ、お母様
僕はようやく大変苦しいです


ああ、惨めです、お母様
悲しく寂しく酷く不明瞭です
僕はだから惨めな男です
お母様はお元気ですか?


僕の妄想が尽きた頃に
お母様の僕になります
誰彼が僕をバラバラにして
お母様どうかお許し下さい


僕の不在も不実も不浄も不運も
全てこの僕が悪いのです
今、挫けてしまいました
不幸だと、今知りました




「自殺問答」

惨めな私は足が定まらずに
口を開きながら声上げる
ああ、これほどまで事実が私を平らに引き伸ばすのならば
いっそ死んだしまえばよかったと


舞台は急速に夜へと向かい
私の頬を赤く染めて想う
お前の神経は確かにお前自身のものであり守るべきものだが
お前の味方とは限らないと


今日は星も月も存在しない
心焦がす貴方の不在が言う
苦しめば苦しむほど自分の軽率さに心惑わされて私を俯け
多くの場合は私は一人だと


窓ガラスに女性の顔が付着してる
その顔がヒステリックに叫ぶ
お前は忘れていようとも確かに私を汚し殺したお前などお前など
いっそ死んでしまえばよかったと




「黒い窓の近くにて」