貴方の積分に
花が嫉妬する
密かな感動で
色を解毒して
美しい文法で
天命を書けば
口癖が結実し
星は盃に睡る
詩人の因数に
夢が落下する
確かな壊滅で
恋を暗示して
難しい音韻で
想望を踏めど
欠落が独裁し
雨は幻に宿る
「高嶺の煌き」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
恋を植字し
恥に溺れる
甘い冗句も
嘆美が深く
手帖の翅に
正しく祈る
眩しい夢を
憧憬で観て
夜を刺繍し
裡に逃れる
浄い多色も
孤立が永く
織布の歌に
淋しく誇る
空しい富を
憂患で得て
「花想う石」
雨で尿が薫り
深刻だと笑む
寝床を彩るは
切実な蓋然性
貧しい農村で
鬼が排他する
満月に憧憬し
心臓は揺れる
汗で情が移り
永別だと泣く
祭祀を偽るは
残酷な観念論
空しい暗黙で
咎が木霊する
天命に到達し
追想は涸れる
「贄姫」
不義な魂の
贅肉は甘い
賢き死神が
溺れる程に
宿った恥は
本心を貪り
地獄の色に
惹かれ嘖む
無垢な屍の
溜息は聖い
幼き恋人が
忘れる為に
悟った熱は
面影を葬り
御業の夢に
編まれ煌く
「美しい噂」
外は不潔に
夜を取引し
苦闘の味で
剃刀が肯く
摂理背いた
恋の強迫に
美は埋没し
再臨を祈る
裡は非道に
神を読唇し
嫌疑の雨で
吸殻が嘖む
句点刻んだ
時の暴虐に
詩は想望し
悪癖を辿る
「濁った春」