2014-04-10 ■ どうにか花びら散る前に 桜の木の下に埋まった死体を 眺めてやろうと思ったのだ 色濃い花を咲かせるものは 沢山の血を吸い上げている 根元を掘るなどの下品はしない 彼らはじきに這い出てくるぞ 木枝に首を括った白骨たちは 埋もれる事なき臆病者で 春一番にゆっくり揺られて 時には蛆の雨を降らせる 翳りを胸に抱いた頃に 気安い陽射しで歩いて知った ――世界とは死体の材料である 「桜色の死体」