世界に倹約な神様よ
この臆病で丈夫な僕に
失う勇気と傷つく覚悟と
信じる理由と生きゆく口実を
下さい。下さい。下さい。
僕の手が憎しみに染まるなら
或いは突然過ぎたなら
こんなにも日々が痩せることはなく
まるで今は広がる砂漠のように
静かに駄目になっていくのです
世界に偏屈な神様よ
この生真面目で愚かな僕は
不幸の意味も不安の価値も
絶望の利潤も明日の色も
知らない。知らない。知らない。
どうか僕を置いてかないで
平穏な顔が何より耐え難いのに
心の喪服に調和を着込んで
語り理解し泣き暮れることの
何に意味があるのでしょうか
世界に満足な神様よ
この無能で健康な僕には
癒すべき詩編や省みる余裕や
微笑む器量や享受する懸命さが
足りない。足りない。足りない。
「惜別のワルツ」