ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


負けそうになる

この今あることに。
自分の間違いに。
自分の弱さに。
自分がからっぽのことに。
目の前の事が余りに、薄っぺらい事をしている事に過ぎないことに。
何か違う。
なんだか違うんだ。
僕が本当に人に伝えたい事は。
こんな技法の末の事じゃなくて。
こんな記憶に残るためだけにする事じゃなくて。
違うんだ。
きっと違うんだ。


でもそれを僕は今掬い取る事ができない。
言葉、では今の僕では語れない。
今の僕ではできない。
しかし何をすれば出来るようになるのかは。
僕の何かを。
何かに気づかないといけない気がするんだ。
何かに目をやらないといけないと思うんだ。
それがいったいなんなのか。
一体どんなものなのか。
わからない。
僕には全く分からない。
これは一体なんなんだ。
切ない。
幸せ。
痛み。
優しさ。
謝罪。
振動。
享受。
やはり見つからない。


僕は全てに対して傍観者でありたい。
全てに対しての逃亡者、観察者で。
そして全てに関与していたい。
なんなんだろう。
わからない。
わからない。
詩をまた一つ。
深く深く深く。




目から零れ落ちる瞬間
消えそうに闇に溶ける瞬間
終に最大の人に出会える瞬間
罪を全て見定めた瞬間
個を失ってしまうその瞬間


すべての感覚器官は不確かだ
もはや感知は限界に千切れる
指先の熱さだけここに残り
鼓動の名残が解けていき
情報はすべての享受になる


今なにか見落としてしまった
今なにか失ってしまった
今すべて更新されてしまった
今すべて零れ落ちてしまった
何が張り付いてしまったのか


たどり着けない
感知の幕に
世界を覆うことができない
苦痛だ
絶望だ


そこで立っているのは
少年か少女か
立ち向かっている
そして今
すべては透過され塗りつぶされ形作られ嘔吐する




「細長く消え去る」