酷い裏切りです
僕に才が無いとしても
この心が偽りだとしても
言葉さえ意味を為さなくても
僕の奇跡は僕の物なのに
夜がコーヒーになるのも
ネオンが信号になるのも
夢が思い出になるのも
煙草が亡霊になるのも
風が小鳥を捕まえるのも
全ては僕だけの奇跡でした
なのに此処では裏切りだけが満ちている
好きという言葉には躊躇いがあり
痛みという感触には退屈があり
命という症状には劣情がある
そしてその全てが綺麗に着飾って
まるで真実のような顔をして街を歩いている
それらの裏切りによって情念は色褪せ
まるで他人の脳味噌にいるかのようです
裏切りを知る前に湿らした喉から
酸素は見事に奇跡を奪っていくのです
そして残った僕は何でしょう
或いは大げさな傷跡の抜け殻
「裏切りに傷跡を」