美点の翅は
通気性を捧げ
幻で熟む
披針の可決
火輪の多血で
欲が溢れて
旅を競るのは
鏡の逆鱗
悪意の舵は
使用感を結び
魂に湧く
季節の誤見
墓穴の遺薫に
月が敗れて
恋を漏るのは
瞳の鶯舌
「デリート」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
美点の翅は
通気性を捧げ
幻で熟む
披針の可決
火輪の多血で
欲が溢れて
旅を競るのは
鏡の逆鱗
悪意の舵は
使用感を結び
魂に湧く
季節の誤見
墓穴の遺薫に
月が敗れて
恋を漏るのは
瞳の鶯舌
「デリート」
僕の野蛮は
寒凪を纏えど
恋の色葉で
遺失に溺れた
嘆息で興る
空虚の器官は
口実を介し
健常を保った
君の毛布は
崇信を犯せど
夢の屍室に
盲唖で紛れた
怠学で黙る
清書の至善は
推察に誘い
対償に育った
「難の罹患」
錠剤の苦味で
雨が欠いた
剃刀の速度で
夢が醒めた
電車の号哭で
夜が果てた
荷縄の耐性で
色が割れた
屋上の風化で
花が負けた
猛煙の過熱で
劇が褪せた
血汐の敢行で
君が絶えた
惨禍の愛惜で
僕が生った
「スーサイド」
重き鼻炎で
泪を憎み切り
電話に語る
ハローハロー
密かな傷で
久遠を犯せば
指で尋ねて
ハローハロー
歪む前歯で
煙に齧り付き
夜に残した
ハローハロー
乏しき欲で
幻視に倣えば
自壊で描く
ハローハロー
「孔の荒涼」
星雲の尾で
蟻が燈る時
不平に集る
新品の真理
風が裡にて
知を葬送し
暗鬼の責で
殻を穢した
閑窓の蔭に
返事を縫い
遡った荷は
輪舞の名残
芯が酸化し
花香に畏れ
骨を齧る程
機に仇する
「クルード」
次元の琴線は
径の端を歩き
小銭が囁く儘
嘘に擬態する
旅は旅らしく
昏鐘を見送り
極地の麓まで
罪を模索する
混血の因果は
塔の檻で孕み
手枷が佇む程
神を嗜好する
傷は傷らしく
朝凪に頬寄せ
篤疾の底でも
韻に寄生する
「宿世の種」