仔猫は睡った
楽園の毛布で
生贄を祈祷し
完璧に溺れて
温厚な福音に
心は鈍化する
熾天使を詠む
暗喩が忠愛し
野犬は猛った
真実の牢屋で
神様を違背し
衰亡に怖れて
深刻な怨望に
命は誤認する
三日月を弾く
黙示が中絶し
「聖獣夜曲」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
偽物に愛着し
混生を護って
聖なる暴君は
口癖で旅する
低能な奴隷は
地雷原を渉る
熱の耽美さに
右足が遺って
妄説に反響し
削減を図って
善なる人鬼は
古傷で恋する
惨忍な紳士は
解毒剤を啜る
神の暗愚さに
面影が宿って
「バランス」
教室の闇で
睡る詩人は
肉を酸化し
恋に嘆ずる
花を縋るな
天使の黙示
強い厭世が
余白に宿る
屋上の空で
祈る奴隷は
唄を連鎖し
夢に奉ずる
霊を罹るな
夕陽の美学
暗い熱望が
無音に実る
「学校の底で」
片翼の真理が
正義を縫合し
烈しい名君は
木霊に猛った
哲学者の夢は
無欲な満月で
常世を逃れて
優美に語った
盲聾の奇蹟が
憤怒を埋没し
淋しい生贄は
死灰に縋った
創造主の罪は
稀薄な本能で
暗示を忘れて
不実に踊った
「思惑の色素」
善き隣人は
定型に満ち
不滅の夢を
永く重ねた
論式は熱る
依存の蕾で
魂を管理し
正義が肥る
亡き愛犬は
神聖に落ち
無実の罪を
弱く訊ねた
天命は睡る
記憶の炎で
幻を讃辞し
公理が遺る
「幽寂中毒」