ライトポエムの最深部。


或いは美型詩の実験場。


僕の紫煙よ雨雲となり

黒い雨らを街に注げよ

僕の解も不安も愛情も

全て残らず降らせてくれよ

 

仲睦まじい恋人たちも

爛々と輝く若者たちも

目を細めて笑う老婆も

痴呆の愛に溺れる老翁

高くに肩車する父親も

ケーキを指さす母親も

坊主頭の青年たちも

ミニスカートの乙女らも

お金をばら撒く政治家も

お金で謝る工場勤めも

愛を唄った唄うたいも

平和に酔った革命家らも

砂場で遊んだ幼児らも

羊水に浮かぶ胎児らも

まだ種のままの何らかも

尻尾の曲がった黒猫も

残飯を漁る野良犬共も

世界を守った少年たちも

世界が恋した少女たちも

僕の懐かしいあの人さえも

 

全てを害し、爛らせ、蹂躙し

汚し、苦しめ、傷つけて

壊し、呻かせ、光を奪い

地獄の如くに毒で満たそう

 

誰もが曇り空に絶望を視て

自壊に至る病が蔓延するまで

この街が僕らの墓場になるまで

僕が何者かになれるその時まで

――僕は煙草を吸い続けよう

――僕は雲を作り続けよう

――僕は詩を書き続けよう

――僕はまだ、生きていよう

 

 

「黒い雨のち憧憬」