あんなにも世界は綺麗なのに
僕はそれを伝える術を持たない
猫がニャーしかないように
宇宙に雨が降らないように
裸の少女の無邪気さに
心が酷く打たれたとして
兵士の決死の散り際に
涙が感覚を失ったとして
僕は穢れを穢れと答えた
穢れの美しさを見ないふりして
僕は悪夢を悪夢と答えた
悪夢の正しさを蔑ろにして
美観に美術で首輪をしてる
厳しい芸術家にはなれないよ
ただ汚れた瞳を閉じた時にだけ
心がほんの少し軽くなったの
「世界の芸術の温もりの底面で」