ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


昼の子守唄が

韓語で訛れば

隔絶的な僕は

夢に人を殺す

 

学問は荷物だ

芯を知る程に

睡魔は散漫し

沈黙が乱れる

 

雨の通勤路が

地獄で曲れば

平行線な君は

傘に肉を恵む

 

恋愛は煙草だ

欲を去る儘に

名残は永別し

猛毒が重なる

 

 

「形骸国花」

水星に往く

帰れぬ街は

信号で溢れ

僕を禁じた

 

文学は死す

韻の亀裂が

海を騒がせ

焚書で悼む

 

雪道に吐く

踊れぬ鬼は

哀憐で暴れ

僕を演じた

 

元凶は魅す

盲の至福が

翅を紡がせ

悪夢で否む

 

 

「脳病」

冷凍庫が詠む

南極の詩篇

貧困な小魚は

鯨に自殺する

 

永遠さえ描き

延命を統べて

沈黙が美徳な

氷点下の死神

 

洗濯機が泣く

初恋の予感で

熱情な生娘は

嵐に研磨する

 

曇天さえ憎み

色物を混ぜて

騒音が気鬱な

石鹸玉の聖人

 

 

「電流の自覚」

失恋の底で

玉葱を刻む

清潔な音に

魂が融ける

 

古い毛布は

名残が薫り

窓を閉めて

初雪に祈る

 

背信の淵で

仏壇を拝む

散漫な熱に

幻が負ける

 

永い歴史は

私欲が宿り

縄を絞めて

桜木に実る

 

 

「幸子の陰」