臆病な虎は
詩才に縋り
古い讃美を
恐怖で磨く
野生の牙が
肉を屠れば
霊魂は散り
内臓で輝く
凶悪な雨は
悲鳴に踊り
永い破滅を
無償で恵む
虚空の毒が
神を削れば
実存は去り
真景で慰む
「貴き罪業」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
臆病な虎は
詩才に縋り
古い讃美を
恐怖で磨く
野生の牙が
肉を屠れば
霊魂は散り
内臓で輝く
凶悪な雨は
悲鳴に踊り
永い破滅を
無償で恵む
虚空の毒が
神を削れば
実存は去り
真景で慰む
「貴き罪業」
不定な牙で
首筋を齧り
散文の血に
熱く溺れる
恋に聾して
自蔑が廻り
醜い切望で
美味を嗜む
無形な翅で
辻風を下り
黒暗の詩に
遠く逃れる
罰に託して
夢想が交り
幼い追憶で
小夜を導く
「言詞の眷属」
愚盲な家畜は
不合理な春に
聖徒の慈愛を
永く多く毟る
渇望で荒れた
礼讃の僻地に
意味を強めて
審美は病める
無骨な肉屋は
自堕落な夜に
詩人の言語を
甘く深く屠る
鮮血で濡れた
文法の屍骸に
価値を授けて
憂世は往ける
「智の胃袋」
子守唄が鳴る
脳髄の砂浜に
依存した炎は
月見草を育む
平穏な光圧は
苦痛を愛撫し
正しい睡魔に
認識が溺れる
蟻地獄が干る
万物の定数に
黙秘した泪は
火星人を瞬く
特別な哲学は
審美を感化し
淋しい生死に
鎮魂が溢れる
「クランケ」
柔い産毛は
夜空の遺薫
星が愛撫し
睡魔を招く
蕾に触れて
聖歌が瞬く
多才な夢は
浄き幻肢ぞ
熱い目尻は
蠱惑の甘味
嘘が浮遊し
演舞を望む
雫に焦れて
譚詩が蝕む
苛烈な罪は
若き毒血ぞ
「フェティ」