ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


水星に往く

帰れぬ街は

信号で溢れ

僕を禁じた

 

文学は死す

韻の亀裂が

海を騒がせ

焚書で悼む

 

雪道に吐く

踊れぬ鬼は

哀憐で暴れ

僕を演じた

 

元凶は魅す

盲の至福が

翅を紡がせ

悪夢で否む

 

 

「脳病」

冷凍庫が詠む

南極の詩篇

貧困な小魚は

鯨に自殺する

 

永遠さえ描き

延命を統べて

沈黙が美徳な

氷点下の死神

 

洗濯機が泣く

初恋の予感で

熱情な生娘は

嵐に研磨する

 

曇天さえ憎み

色物を混ぜて

騒音が気鬱な

石鹸玉の聖人

 

 

「電流の自覚」

失恋の底で

玉葱を刻む

清潔な音に

魂が融ける

 

古い毛布は

名残が薫り

窓を閉めて

初雪に祈る

 

背信の淵で

仏壇を拝む

散漫な熱に

幻が負ける

 

永い歴史は

私欲が宿り

縄を絞めて

桜木に実る

 

 

「幸子の陰」

初恋の林檎に

毒蛇は祈った

聖なる切望が

罪悪を重ねど

 

甘露な感性は

運命に背いて

貧しい大地で

寵愛を萌やす

 

痛覚の孤独に

神様は惑った

真なる永遠が

静謐を与えど

 

不遇な天啓は

幸福に嘆いて

等しい讃美で

哀情を満たす

 

 

「エデン」