貴方の咳が気がかりで
もう気軽には笑えない
蝕む不安は予感を嘯き
僕の秘密らが咽び泣く
貴方の咳が気がかりで
安心しながら眠れない
明日の明日の明日まで
正確無比な季節を睨む
貴方の咳が気がかりで
言葉も切実に選ばれる
病める臆病で色に触れ
寂しい冗句を貯蓄する
貴方の咳が気がかりで
貴方の背中を眺めてる
小さく丈夫な肩部から
酷な翼が芽吹かぬ様に
そして貴方が僕に気づけば
優しく健やかにただ微笑んで
僕の心配症を可愛がる瞳に
全ては徒労と呼ばせておくれ
「貴方の咳」