海に狼を探しに行く
喰われてお伽噺になる為に
刃のような波が引いたら
千切れた臓腑が残される
臓腑は息を吹き返し
屈んだ僕に忠告をする
「過去になるのは止めなさい
美しさだけしか残りはしない」
海では臓腑の死神たちも
塩の取り過ぎで高血圧だ
僕は自らの若さを証明するように
スニーカーを返り血で染めていく
真っ赤な僕は献身的だ
真っ白よりも情緒的だ
狼が動脈を甘噛みした後の
咀嚼に耐えうる愛がある
そして僕は狼と出逢い
海には命がなくなった
「赤靴の羊飼い」