細かく砕けた「ごめんね」が
端から端から唇を経て
泡の如くに溢れてしまう
「それから成層圏が吸い込んで
今夜も命を濡らしてしまうでしょう」
僕の非力な細胞たちが
記号の配列を怠ったばかりに
誰も愛さない言葉が残って
空が星を隠してしまう
空が月を隠してしまう
空が僕を隠してしまう
大抵の物は音も立てずに壊れると
それを知っていたのだから
僕はもっと誠実であるべきだった
僕はもっと素直であるべきだった
気が遠くなる程の罪悪の果てで
足取りを止める程の過ちの前で
僕は、僕で、一人で、いきます
冷たい夜風に背を押されながら
湿らす雨に目覚めを強いられながら
知らない貴方を指でなぞりながら
足りない世界を愛し続けながら
「ごめんね」