ライトポエムの最深部。


或いは美型詩の実験場。


彼は物を知らない
だから言葉を大切にした
博士な彼女の切れ長の瞳に
見透かされるのは嫌だから


彼は愛を知らない
だから痛みを大切にした
恋愛中毒の彼女の惚気話に
掻き乱されるのは耐えられないから


彼は事実を知らない
だから想起を大切にした
知り尽くしてる彼女の年老いた感性に
共感するのは惨めで仕方ないから


彼は詩編を知らない
だからメロディを大切にした
文学的に彼女の中で宿る命に
感泣するのは少し体裁が悪いから




「彼は知らない」