2013-06-13 ■ 彼は物を知らない だから言葉を大切にした 博士な彼女の切れ長の瞳に 見透かされるのは嫌だから 彼は愛を知らない だから痛みを大切にした 恋愛中毒の彼女の惚気話に 掻き乱されるのは耐えられないから 彼は事実を知らない だから想起を大切にした 知り尽くしてる彼女の年老いた感性に 共感するのは惨めで仕方ないから 彼は詩編を知らない だからメロディを大切にした 文学的に彼女の中で宿る命に 感泣するのは少し体裁が悪いから 「彼は知らない」