貴方の顔の火傷が恋しく
堪えて苛つき幾晩過ごす
その触り心地は実に淫靡で
僕の情緒を狂わせている
――火傷は、燃える我が家に戻り
――姉の代わりに負ったと聞いた。
舐めて爛れた傷を味わい
血のむせ返る故郷へ帰ろう
トワニオトメの証と誓って
辱めにすら寛容な女よ
――嫁入り前の姉の罪悪は、
――自らを殺すのも厭わないと知る。
沸かした雨は幾千に及ぶか
割った鏡は幾万に及ぶか
煙草を燃やす僕に吼える声は
何より甘美な喘ぎ声に等しい
――父母たちは焼かれて死なれ、
――姉も亡くすに至る火傷よ。
温度が煮え立つ負の勲章に
僕は短絡的な愛を催している
恐らく誰しもがその類の淫らさで
恋慕の泉に肉情を沈めていくのだ
「火傷の恋情」