点滅する舞台照明の下
僕は随分と演じてきた
それは群衆を笑わせ
時に臆病者を驚かせ
暫くは貴方を泣かせた
この頃は怒号が響く劇場で
観客の安心感を焦らしている
空っぽの脚本の中からは
考え付かない法螺を吹いて
儚さは何故美しい
張り子の樹木が呟いた
代償は何を終わりとするか
付随音楽が問いただす
それから物語は破綻を迎え
不揃いの重圧に小道具たちは
錯乱して互いを殺し合うのだ
予定調和の独白劇の
準備はついに整った
幻想に触れてダンスを踊ろう
命の代わりに役割を貰おう
そして貴方がその一幕を
何と名付けるか尋ねてみたい
喝采の無き暗転の中
僕の半分は泣いていたから
「舞台装置は笑わない」