もしもあの娘に逢ったなら
幸せだったと伝えて欲しい
この不器用な僕の嘘で
あの娘の胸の棘が優しさに変わるなら
乾いた布きれから滴る雨水
真っ赤な炎をあげる石製の砦
永遠に草を食む事の無い牛
そして貴方と僕が愛し合うこと
もしもあの娘に逢ったなら
明日を願えと伝えて欲しい
この冷え切った僕の影が
あの娘に繋がれる鎖にならないように
熱いスープを飲み干す仔猫
縫い痕の無い向日葵の刺繍
盲人に見える故郷の夕暮れ
そして貴方と僕が愛し合うこと
「焦がれた置手紙」