ライトポエムの最深部。


或いは美型詩の実験場。


君の細い腕が心配だ。握ればポッキリ折れてしまう気がして。誰かの悪意の前では、自らを守ることすら叶わない華奢で筋肉のない腕。僕はいつでも君の傍にはいられないよ。だから、どうか自分を大切にして欲しい。君が僕に腕を伸ばすたび、僕は不安になるんだ。君の指先が僕の袖を掴むたび、それを守れないかもしれない僕に腹が立つんだ。君は笑って平気だと言うね。だけどこんなにも儚くて切ない生命の入れ物が、その腕で十分に支えられるか心配だよ。僕は君の笑顔が、まるで遺影に映る顔のように見えて怖いんだ。心の底から安心して、心の底から油断している。君を僕の中に閉じ込めたいとさえ思うよ。お願いだから、自分本位でいて欲しい。僕なんて二の次でいいから、献身なんて二の次でいいから。

 

彗星は夢を見る

僕らは祈る他ない

憧憬は傷を知る

僕らは祈る他ない

 

いいえ、私の腕はいつか赤ん坊を抱く、力強い腕です。生まれたばかりの命を育てる、何よりも逞しい腕。世界も、未来も、幸せも、頑張れば宇宙だって掴める腕。それに貴方のキスが魔法をかけたもの、不幸の方が怯えて逃げてしまうわ。きっと貴方がいなくても、貴方はいるのね。伸ばせば貴方がしっかりと握ってくれる大切な腕。私の我が儘を袖を掴むだけで叶えてくれる、とても頼りになる指。怖いことなんてないから、私は笑っていられるの。細くて愛らしいこの腕を、貴方にも愛して欲しい。それに例え私が自分を支えられなくても、貴方が寄り添ってくれるならそれでいいの。だから、そんなに泣かないで。貴方の中にはいつだって私がいたはずだから。貴方の為なら、何だってできるわ。貴方の為だから、嬉しいの。

 

果物は雨を見る

僕らは祈る他ない

惜別は恋を知る

僕らは祈る他ない

 

 

「腕は祈りに」