人の不幸を種にして
僕は言詞を育てます
文脈の中に潜んだら
何者にもなれるのです
虐めを受ける不細工や
戦場へ行く少年兵は
僕の感傷を乱反射して
酷く鮮明に映すのです
死没の遺恨の無色の人や
愛を知らない危険児は
僕の打鍵に刺激を与え
傷の快楽へと酔わせます
薬を頬張る腕切り女や
悲痛な病の植物の人は
僕の心の鼓動を早めて
甘い毒素で満たします
それらを全て花にして
世界の片隅に飾ったら
僕は詩人で誰よりも
罪悪の人となるのです
「不幸せに水やりを」