蝉は地獄で
鳴いている
犯した罪の
その告発に
かの鳴き声は頭に響く
地獄と現実の境界線で
僕の躰を
探し当て
全ての穴を
喰い進む
僕という名の膜を破らず
最適な罪を住処と居着く
――出口はないぞ
――中は温いぞ
――鳴こうぞ鳴くぞ
――此処も地獄だ
告発に群がる蝉らはやがて
其処に桃源郷を見つけ得る
夏の陽射しに
高らかに鳴く
僕が罪過の
体現者なりと
いつかの蝉の鳴き声がする
とても近くに、とても近く、に
「罪と蝉」