ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


あの鍵盤の匂いがする

無色透明の旋律が

僕の心を植物にしていく

あの娘は儚げに手を当てて

音階が醜い僕に目を伏せる

 

時に心を溺れさせては

時に心に神性を与える

外気に触れた感性で

あの娘は強く呪うのね

僕は上手に生きられないよ

 

お願い、音楽を止めてくれ

愛しいあの娘を思い出すから

不用意に酷く傷つけた後に

それを薄く笑った無暗さを

思い、出して、しまうから

 

別れの言葉を交わさずに

別れた時はどうすればいい

ただ罪びとの感受性だけを

胸に残した愚かな僕でさえ

擦れた音色に涙ぐむのに

 

完璧で残酷な演奏は永遠に

僕の後悔の傷跡へと奏でる

そして高まる即興の階段に

自らの指先を合わせながら

きっと僕は死んでいくのだ

 

 

Bill Evansを忘れたい」