2014-05-19 ■ 寝言が漏れる暗闇に 薄く光りし顔が浮く 何か物を言いたげに 口を開けば中は空洞 それは少女と思えしも 老婆などにも思えられ 眠る子供の顔を覗くと 音も立てずに歯を剥いた 獣の顔で喰い散らかすは 級友の暴力で受けた痛みを 自傷の痒みに伴う痛みを 愛を亡くした心の痛みを 朝はまとこに何事もなく 子供はいずれ目を覚ます その軽やかな涙に触れて 寂しい風が一度だけ吹いた 「治癒」