2014-04-16 ■ 世界の終わりの丘の上 赤子を抱いた母がいる 街を飲み込む洪水の 少しの猶予に恵まれて その柔らかい悲しみで 泣いた赤子に頬寄せて ただ穏やかに微笑めば 時間の全てに愛おしい 希望になんて縛られず 幸せなどに加担せず 終焉の時に狼狽もせず ただ丁寧に愛をあやす そして赤子は目を瞑り 最後の夢に任される 母はその時少女に戻り 賢治の一節を口ずさむ 「終末の母性」