貴方の事が気になります
その大腸の生真面目な皺
その歯並びの隙間風の匂い
その爪の下に隠れた皮膚の薄さ
貴方の躰は時々地震を起こしては
赤血球やグリコーゲンを驚かせます
そして胃の中に残った未消化の小骨は
気持ちよさそうにぐるりと泳いでいます
貴方は貴方という無数の細胞によって
死に続け、生まれ続け、考え続けます
光が差し込むことのない舞台装置で
全てを敗北者へと変えていくのです
僕も貴方の血肉になりたい
そして都合の良い魂は全て脱ぎ捨て
怖々と脳みその扉をノックした後
永遠に電気信号の奴隷となるのです
「赤い願望」