僕との交感のたびに
貴方は耳元でそっと囁く
甘く正しく熱っぽく
僕を切り裂くあの言葉
「この人痴漢です」
「私を触りました」
僕は貴方に赦されず
満員電車の心に震える
ピロトークが愛憎の証明
僕の恋慕は必然的で
「この人痴漢です」
「私を愛しました」
僕の愛は頑な過ぎて
貴方は罪の意識を捜す
触れられた事が罪ならば
愛する事もまた罪とする
それを知り尽くす貴方だから
ベッドの上でも他人を装い
死ぬまできっと告発にすがる
ならば死ぬまで僕も叫ぼう
「僕が、僕が、やりました」
「この人痴漢です」