ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


白い壁に耳を押し当ててみる
恋人たちの囁きが聴こえる
愛で濡らした甘い甘い言葉に
僕の胸は切なさで痛みすら感じている


白い壁に耳を押し当ててみる
割れた皿のはじける音が聴こえる
尖った喉が叫び出す悲鳴たちに
僕は涙でこの部屋を台無しにしてしまう


白い壁に耳を押し当ててみる
少女の不器用なピアノが聴こえる
たどたどしい指先が奏でる旋律に
僕が音域によって瞼の色を憶え始める


白い壁に耳を押し当ててみる
モールスの優しい打刻音が聴こえる
−・− ・・ ・・・ ・・・と響いた後に
僕も物語の住人で在った事にやっと気づくの




「ホワイト・モールス・キス」