あの娘の季節は冬が良い
囁く声は白さを宿し
触れ合う肌は燃えている
雪はあの娘を素直にさせて
裸を重ねて朝を待つ
彼の季節は夏が良い
陽射しが鋭く降り注ぎ
白い歯だけが信じてた
その焦げ茶色の野生さに
誰もが彼には敵わない
貴方の季節は春が良い
命が芽吹く残酷に
花たちはこんなに乱れてる
愛を貪る貴方の胸に
新芽の想いが咲き誇る
僕の季節は秋が良い
疲弊していく感傷に
情景は全てに情緒を含ませる
そして時には他の季節を
追想しては真っ赤に染まる
ああ、まことに驚く程に
誰もが誰かの季語になる
「誰もが誰かの季語になる」